第8話
森を抜けると、そこは家の前だった
湊は驚き、後ろを振り返るとそこは森がなくなり、いつも通り家が建っていた
「・・・なんだったんだろう」
先ほどまでの出来事を思い返しながら、湊は家の中へと入って行く
「ただいま・・・」
小さな声で、返事のない薄暗い空間へと言葉を投げかける
湊は靴を脱ぎ、自分の部屋へと向かう
部屋へ向かう途中にある部屋の扉が開かれていた
その部屋は空き缶や瓶がそこら中にまき散らされており、空いたスペースに女性が寝ていた
「・・・」
また、酒飲んで寝てる・・・
・・・さっさと部屋に戻ろう
湊の部屋は一番奥の小さな部屋で、ベッドと机を置いただけでもぎゅうぎゅうになってしまう
湊はカバンをおき、制服を脱ぎ始めた
「あっ、つつ・・・」
ズキンと痛んだおなかをおさえる
そこには、大きく内出血ができていた
湊はその痛みをこらえながら、ジャージに着替えた
そして、机に向かう
「今日は・・・、これ勉強しよう」
湊は黙々と勉強を始めた
聞こえるのは湊の呼吸する音だけ
・・・また、朝帰りしてた お母さん・・・
ふと湊は先ほど見た母親の事を考える
昔からあのように酒を大量に飲み、日中から寝ているような人ではなかった
湊が小学校低学年くらいまでは普通の母親だった
しかし、病弱な湊の看病のために仕事を休んでいると、クビにされてしまい、仕事を失ってしまった
それだけではなく、父親は愛人を作り、出て行ってしまったのだ
そのため、なんとかお金を稼ごうと水仕事を始め、そのストレスや苛立ちを湊に当たるようになった
湊はそうされるのは、自分のせいなんだ、と受け止めてしまい、今はできるかぎり怒らせないよう静かにしている状態だった
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