第7話
『こんな話を聞いたことはないか?1年で地球の誕生から今までを表したら・・・』
「人類が生まれたのは、最後の日だといわれている。でしょう?」
『おぉ、よく知っておるな』
「歴史の先生が言ってた・・・」
『そうか』
湊は目線をテラにあわせる
「でも、その発展を進めたのは、一部の人間だけだよ」
『たしかに、先頭に立ち、皆を導いたのは一部のものかもしれん。しかし、そのものが周りを導いたとしても、そのものについていくことができなければ、今ここに人類は存在しておらぬだろう。他人に合わせ、他人とともに成長する。それもまた、ある種の特別な才能だ。その才能は、だれもが持っている。たった今生まれた、新しい命も、おぬしも』
テラの琥珀色の瞳が湊をとらえる
『いきなり、それをわかれと言っても容易にはできぬだろう。しかし、そなたは変われる。なぜなら、私がついておる。それに、ここまでこれたのも、私の声が聞こえるのも、そなたがなにか、他人とは違うものを秘めておるからだ』
「私が・・?」
『あぁ。ここの森は、人を選ぶ。害をなすものは入ってこれん。そして、森が受け入れた人でも、私の声が聞こえたのはそなたが初めてだ』
湊は目を見開いた
「・・・そう、なんだ」
私にも、特別な才能があったんだ・・・
湊は手を握り、口元に持っていく
『少しは、変われそうな気がしてきたか?』
テラは優しげな目線で、湊を見つめる
「・・・ちょっと、だけど」
湊は詰まりながらも、そうしっかりと応えた
『ならよい。私の話で少しでも気持ちが変われたのなら。今日はもう帰りなさい』
「・・・ありがとう、テラ」
湊は立ち上がり、元の道を戻って行った
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