第2話

「は、はい、これ・・・」


「あ、ありがとー♪」


女子生徒たちは湊に渡していたノートを受け取り、ぱらぱらとめくる


「さっすが、優等生は違うねぇ」


茶化すように女子生徒たちはにやにやと湊をいじる


「また、頼むよ。白間さん」


「・・・うん・・・」


湊はそう短く返事をして、自分の席に戻る


それを見た女子生徒たちは


「・・・やっぱ、考えてること違うよねぇ」


「えー?どういうことー?」


「だって、まったく仲良くない人から、こんなこと頼まれて、いやな顔せず受け取って、ちゃんと書いてきてあるし、挙句の果てには次回もよろしくって伝えたら、素直に”うん”だって。あたしはそんなことできないねぇ。あはは!」


「うちもーw」


「まじで、頭のつくり違うよねぇw」


湊だけでなく、周り中に聞こえるような大きさの声で話し続ける


それを聞いた周りの生徒は、湊をかばうでもなく、ただくすくすと笑っていた


当の湊はというと、まるで聞こえていないかのように本を読み進めた


そのまま、時間は流れ、放課後・・・


湊は帰る用意をしていると、一人の男子生徒が近づいてきた


「なぁ、骸骨」


「は、はい・・・」


「お前、暇だろ?俺たちの代わりに、教室掃除しとけよ」


「え・・・、でも、私担当じゃ・・・」


「あぁ?」


男子生徒は湊が反論しようとすると、低い声を出し、湊を睨んだ


「わ、わかりました・・・」


「じゃ、よろしく」


男子生徒は湊の返事を聞くと、満足そうにカバンをもって教室から出て行った


「それじゃ、よろしくー」


「え、あ、あの!?」


先ほどの男子生徒のほかに、教室掃除を割り振られていた生徒たちが全員帰ってしまい、結果、湊は一人で掃除することとなる


「・・・」


湊は自分の気の弱さを恨みながら、掃除を進める

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