3章 愛
第11話 パーティ
〜 リリィ マリン城 大広間 にて 〜
今日は、もうすぐ妾とラファエルが婚姻する為、お祝いのパーティが開かれ、マリン城に来ていた。普段ならお祝いごとのパーティは、マリン城よりも大きいアクア城で開くのだけど今回はマリン城なのは何か特別な理由があるのかもしれない。
「これはこれはリリィ王女。わざわざアクアマリン帝国にお越しいただきありがとうございます。鏡の間でラファエル皇子がお待ちです。どうぞごゆっくりお過ごしくださいませ。」
従者達と城を歩いていると大広間に出た。するとアクアマリン帝国の大臣の一人が妾に寄ってきた。
「うむ。ならば妾を鏡の間まで案内してはくれぬか?」
「もちろんでございます。どうぞこちらへ。」
大臣は私を鏡の間まで案内すると、深々と頭を下げて妾が部屋に入るのを見ていた。どうせお礼が欲しいのだろうと思い、少しばかりくれてやるとそくささと懐にしまい、ご機嫌そうな顔をして何処かに行ってしまった。何故身分の高いもの達はお金ばかり欲しがるのだろうか。幼い頃から、なんでもかんでもメイド達に用意させていたため妾にはお金の価値がよく分からなかった。
鏡の間の中は、ラファエルとミカエル皇子、侍女長のハク、それに侍女の格好をした見知らぬ水色の髪をした美しい女性が出迎えてくれた。
「ラファエル、そちらの女性は何者なのか教えてくれないか?」
私が水色の髪をした侍女を見ていうと、ラファエルは
「ハクの養女のサリエルだよ。記憶がないみたいだから、サリエルの家が見つかるまで侍女として住み込みで働いて欲しいってお願いしたんだ。」
と優しく教えてくれた。サリエルは頭を下げて
「初めまして、リリィ様。サリエル = ホワイトウルフ と申します。本日は、リリィ様の付き人として城を案内するよう仰せつかっております。よろしくお願いします。」
と改めて自己紹介をしてくれた。
「うむ。知っているとは思うが、妾の名はリリィ = リオアント 。今日はよろしく頼むぞ。」
妾も改めて自己紹介をして、サリエルの手を取った。なぜかサリエルとは仲良くなれる気がした。
「珍しいね、リリィがちゃんと自己紹介するなんて。普段なら貴族相手でもしないのに。」
「妾はサリエルが気に入ったのだ。サリエルはお母様とおんなじ香りがするからな。一緒にいると落ち着くのだ。」
そういうとラファエルは、今までに見たことがないくらい怖い顔をして
「サリエルは渡さない。」
と呟いて部屋を出て行ってしまった。左手にはナイフが握られていたのは…………。
「妾が何かいけないことをしてしまったのだろうか…。あんな怖い顔したラファエルは初めてじゃ……。」
なんだか不安になり、サリエルに問いかけるとミカエル皇子がぶっきらぼうに
「婚約者に向かってなんだあの態度は…。」
と呟き、作り笑いを浮かべて
「大変失礼いたしました、リリィ王女。最近、ラファエルは機嫌が悪いのです。ですからどうかお気になさらないでください。」
と言った。ミカエル皇子もなんだか機嫌が悪そうだった。2人の間に何があったのか気になったが、あまり部外者が首を突っ込むのは良くないと思い、サリエルに城を案内して欲しいと頼んだ。サリエルは笑顔で妾を案内してくれた。
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