第7話 メイド服

〜 ラファエル アクア城 使用人室 にて 〜


あれから、倒れていた彼女を抱き上げてくるくる回っていたところにミカエルと兵士たちが駆けつけてきて、彼女を医務室に連れて行ってくれた。


そしてミカエルにあの女性が着る服を侍女長から借りてきてほしいとお願いめいれいされて、侍女長のハクのいる使用人室に来ていた。


「ハク、予備のメイド服を1着かして欲しいんだけど


「構いませんが……サイズはどれくらいですか?」


少し引きつった笑顔でハクが聞いてきた。そりゃ、180センチもある男がメイド服を借りにきたら引くだろう。


「ハクと同じくらいのサイズはあるかい?」


「はい、こちらです。」


そう言って、ハクは僕にメイド服を渡してくれた。


「ありがとう。後で洗って返すよ。」


「いえ、洗濯も私達の仕事ですのでそのまま返していただいて大丈夫です。」


「そう?じゃあ洗濯もお願いしようかな。」


「はい。かしこまりました。ところで……そのサイズですとラファエル様には少々きついと思われるのですが……」


「ああ、これ僕が着るわけじゃないからこのサイズで大丈夫だと思うよ。」


「そうでしたか。余計なことを聞いてしまい申し訳ありません。」


「大丈夫だよ。そうだ、一つ聞いていいかい?」


「はい。私に解る範囲でしたらなんでもお答えいたします。」


「実はさっき砂浜に女性が裸で倒れていてね。とりあえず医務室に運んで手当てをしてもらっているんだけど、もし意識が回復したら彼女の話を聞いてあげてくれないかな?僕ら男が話しかけるより、ハクが話しかけたほうが多分会話しやすいと思うから。」


「もちろん構いません。使用人室で空いている部屋を掃除して待っています。」


「ありがとう。それじゃあ頼んだよ。」


僕は使用人室を出て医務室へと向かった。


「ミカエル。メイド服を借りてきたよ。」


「ありがとうございます、兄上。」


「それで、あの女性は?」


「まだ意識は回復していませんが、一命はとりとめたようです。」


「良かった。あ、そう言えばハクが空いてる使用人室を使えるようにしてくれるって。彼女も、男の僕らより女のハクの方が話しやすいと思ってさ。」


「では、手当てが終わり次第使用人室に運ぶよう医師に伝えておきます。」


「うん。お願いするよ。」


「それともう一ついいかい?彼女、王家の紋章が描かれたワッペンを持ってなかった?」


「分かりません。それも聞いてきましょうか?」


「うん。お願い。」


「兄上は何故あの女性が王家の紋章が描かれたワッペンを持っていると思ったのですか?」


「僕のワッペン海に落としちゃったからさ。もしかしたら拾ってくれてたりするかなと思って。」


「それなら新しいものをおつくりになれば良いではありませんか?」


「あのワッペン気に入ってたんだよ。」


「そうですか…。じゃああの女性は兄上の探している女性ではないのですね。」


「え?ああ、たぶんそうだと思うよ。」


「何ですかその反応は。とにかく兄上には婚約者がいらっしゃるんですから他の女性にうつつを抜かしちゃダメですからね。」


そう言ってミカエルは不服そうな顔をして医師のもとにメイド服を持っていった。


「たぶんあの子だろうね。僕を助けてくれたのは……」


もう二度と会えないのかもしれないと思っていた分、とても嬉しく感じて僕は1人で笑ってしまった。

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