第2話 おきてやぶり
〜メアリー アクアブルー王宮 大広間 にて 〜
「はぁ…アンはどこへいってしまったのかしら?」
「おや?どうかなさいましたか、女王様。」
「あら、エミリア。御機嫌よう…では無くて、アンを見かけませんでしたか?」
彼女の名前は エミリア = ミッチェル 。この王宮で宮廷魔道士として働いていて、お医者様と協力して様々な薬を開発している。
「アン様なら、先ほどずいぶん慌てた様子で
「その事なのですが、アンの勘違いですので王國付近に人間の反応はありません。お騒がせいたしました。」
「そうでしたか。わざわざご報告いただきありがとうございます。」
「いえ、こちらこそ驚かせてごめんなさい。」
「大丈夫ですよ、女王様。間違いは誰にでもありますから。では、
そう言ってエミリアは大広間を去ろうとした。私は何故か、反射的にエミリアの裾を掴んで
「待って!」
と叫んでいた。
「どうかなさいましたか?」
「あっ…えっと…」
何か言おうと考えていると、ふっとあの人間のことが頭に浮かんだ。魔道士のエミリアなら、もしかしたらあの人間の居場所が分かるかもしれない。人魚が人間と関わるなど掟の中でも禁忌中の禁忌だった。それがバレたら私は……。
「ふふふっ。女王様、ここで話すのはあまりに危険。私の部屋で詳しくお聞かせください。」
「え?どうして危険だなんて分かったのですか?私はまだ何も……。」
「
怪しく瞳を輝かせて笑いながら、私をエミリアの部屋に案内した。
「さあどうぞ、女王様。散らかっておりますので足元にはお気をつけください。」
エミリアの部屋の中は、古い書物や奇妙な形をした道具、金色に輝く粉末や怪しい薬などが所狭しと並べられていた。
「ふふふっ。どれも最高傑作のものばかりです!女王様もおひとついかがですか?」
そう言ってエミリアは、棚から薬や道具を取り出して説明し始めた。
「こちらは人間の小さな島国に古くからある『刀』と呼ばれる
「えっ…?えっと……。」
目を輝かせて道具の説明をするエミリアの顔を困った顔で見つめていると、バツが悪そうに
「あっ…申し訳ありません。薬や魔法に関することになるとつい…。それで、お話というのは?」
「実は……。」
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