第1章 転生

第1話 ふしぎな感情

 〜メアリー アクアブルー王宮 鏡の間 にて 〜


「……さま」


「…姉さま」


「お姉様!」


「きゃっ!」


 耳元で大きな声がして、私は驚いて転んでしまった。


「だっ、大丈夫ですか、お姉様!」


「ええ、大丈夫よ。ちょっと驚いただけだから。」


 彼女は妹のアン。この國の王女様で、美しい桃色の髪をしている。実は私と双子。いつでもたみのことを思っていて、自分よりも他人を優先させる優しい子。


「ごめんなさい。驚かせるつもりはなかったんです。」


「分かっているわ。私がボーとしてただけだから。」


「……最近のお姉様、何か変です。遠くを見つめて話しかけても気づいてもらえないこと多くて…。一度お医者様に見てもらった方がいいと思います!私が連れて来ますから。」


「大丈夫よ。別に熱があるわけではないのだから。」


「でも……」


「アンは優しいのね。でも本当に大丈夫よ。自分のことくらい自分で管理できるわ。」


「そうですか…。でももし何かあったら言ってくださいね。私はいつでもお姉様の味方ですから!」


 そう言ってアンは笑顔で私の手を取った。


「私、お姉様の為ならなんでもします。だから疲れたときはきちんと休んでくださいね。」


 アンの笑顔はきらきら輝いてみえた。もしあの人間が笑ったらどんな顔をするのだろう。


「あれ?どうして私人間のことなんて……。」


「人間?もしかして近くに人間がいるのですか?大変!すぐに追い払わなきゃ!」


「え?あっ、ちがっ……」


 アンは私の話を聞かずに走って行ってしまった。


「待って、アン!」


 私は騒ぎになる前にアンを止めようと、慌ててアンを追いかけた。

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