2日目─相談─

「ただいま」

そう言うと、リビングから妹が駆け寄ってきておねえちゃんおかえりなさい!といいながら、抱きついてきた。

「おかえりなさい、琴葉」

「うん」

それから私は、手を洗い、荷物を部屋に置いてきてから、リビングに戻ってきた。

そして、自分の席に座る。

今日の料理は、お母さん特性ソースをふんだんに使った、ハンバーグだった。

お母さん特性ソースがハンバーグいっぱいに掛かっているところを見ると今すぐにでも食べてしまいたいけど、食べることを我慢する。

私の家では、夕御飯は全員が揃ってから食べると言うことにしているから。

そして、その夕御飯の時間の中で今日なにがあったのか話し合うのだ。

ちなみに、昨日私は、屋上で昼御飯食べたということを言った。

私が席について数分後、玄関の扉が開く音がした。

その後に、低い声でただいまと聞こえてきた。

「やっと、帰ってきた」

お母さんは、そう呟くと椅子から立ち上がって、リビングを出て行く。

そして、お母さんはお父さんと手を繋ぎながらリビングに入ってきた。

その光景を見るとお母さんが本当にお父さんのことが大好きなんだなーと思う。

そして、少し妬いてしまう。

私も敦君とあんな風に手を繋げたらなーて。

「ただいま、琴葉、瑞木」

「うん、おかえりなさい、お父さん」

「おかえり、おとうさん!」

お父さんの頬が緩む。

「じゃ、ご飯にしましょうか」

「そうだな」

そして、みんなでいただきますと言うとみんなして初めに、デミグラスハンバーグに手を付けた。

「おいしいな」

「……ふふ、そうでしょう?」

お母さんがとても嬉しそうに微笑んだ。

「琴葉、今日なにか良いことでもあったのか?」

お父さんがいきなり聞いてきた。

「なんで?」

「いや、なんかとても嬉しそうにこっちを見ていた気がしてな」

今日なにか良いことなんてあっただろうか?

昨日ならすぐわかっただろうけど、今日はよくわからない。

………うーん、でも確かに嬉しかったことはあったんだよねー。そう、確かに放課後だった気がするような気がする。

放課後……先生……

「あ!たぶん、先生から私の小説のことが好きって言われたことかな?」

「え?琴葉って小説書いていたのか?」

「もう、お父さん。琴葉の部活忘れたんですか?」

「いや、忘れてなんかいないと思うが………」

「じゃあ、言ってみてくださいお父さん」

「………………………………」

「ほら言えないんじゃないですか?」

「…………すいません」

「琴葉の部活は『小説部』ですよ」

「小説部?そんな部活あるのか?」

「はい」

「そうか………それで琴葉の書いて小説が先生が好きだと言ったと」

「そういうこと」

「そうか……まあ、人に誉められるのって嬉しいものだからな」

「それでね、先生がこんなことも言ってくれたんだよ。小説投稿サイトに小説を投稿してみたらってさ」

「ほー、最近はそんなサイトまであるのか……」

お父さんなにも知らなすぎでしょ。

「で、今日会員登録してきた。学校のパソコンで」

「そうか」

「それでね、私初投稿を新作にしようと思っているの」

瑞木が私の袖を引っ張ってきた。

「なに?瑞木?」

「えーとね、おねえちゃんしょうせつってなに?」

瑞木は首を傾げながら聞いてきた。

「えーと、なんて言えばいいのかなー」

小説ってなんて言うべきなのだろうか、簡単に言ってしまえば、文字だけでできた物とでも言うのだろうけど、そんなこと言ったて瑞木にはわからないだろうし………

「大きくなったら分かるよ」

と、濁すのだった。

でも、小学2年生って言うのはまだ純粋なのだろう、みずきはやくおおきくなる!と手を上げていた。

「で、お父さんとお母さんにお願いがあるんだけど、いいかな?」

「私は、構わないけど、お父さんは?」

「俺もいいぞ。と言っても俺が出来ることなんてないと思うけどな」

「ありがとう。で、お願いって言うのなんだけど、新作の小説のテーマを愛にしようと思っているの。だから、愛について自分の考えを語ってくれないかな?」

「愛について?」

「そう」

「愛かー、辞書とかで調べるとたぶん、愛とは一方通行なの物だとか書いてあると思う。けど、私は違うと思うの。愛と愛情は違ってよく言うけどさ、本質的には一緒だと思うの。

だってさ、愛情にも愛ってついてるでしょ、つまり情という1つでは意味が違ってくる。確かに愛は一方通行通行なものかもしれない、けど、それは愛情にも言えることだと思うの。例えば、お母さんが子供に愛情を注ぐでしょ。でも、子供はお母さんに対して愛情なんてあるわけがない。これって一方通行って言えると思う。だから、私が愛とはと聞かれたたら、全部をひっくるめて愛とは一方通行なものって言うと思う」

「じゃあ、次は俺だな。俺はお母さんとは真逆だな。愛と愛情は似て非なる物だと思う。愛は一方通行で、愛情は双方が持つもの。お母さんはさっき子供とお母さんって言う例えを出していたけど、それは子供自身はまだ、愛情というものを認識していない。だから、それは例えとしてはよくないと俺は思った。まあ、俺が愛とはと聞かれたら、うーん………愛という単体では一方通行な物で、それになにか付くと双方が持つものになるじゃないかな?」

「お父さん、それだと。溺愛とかでも双方が持つものになってしまいますよ」

「そうだった……じゃあ、愛とは一方通行な物で、愛情となると双方が持つものになる!」

お父さん、もっとそこは自分が言ったことに自身を持とようよ……

でも、そうか溺愛って一方通行なものだもんね。

やっぱり、こうやって聞いてみる面白いな。

人それぞれ、意見は違う。

「ありがとう、お母さん、お父さん」

「どういたしまして」

「これで、参考になったのならいいのだが……」

「じゃ、私お風呂入ってくるね」

「あ、じゃあついでに瑞木も入れてあげて」

「わかった。じゃ、瑞木行こうか」

「うん、おねえちゃん!」

そして、私はリビングを出た。

誓慰せいいちさん、びっくりしましたね」

「そうだな。いきなり愛ってなんて聞かれるとはな」

「でも、少し嬉しいですね。あの子があんなことを聞くことがあるって分かって」

「そうだな」

「…………今日は一緒に入りましょうか。お風呂」

「………おう」

誓慰と翠の顔は、共に真っ赤だった。

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