1日目─小説─
wordを開くと、そこには、無数のプロットと短編小説があった。
私は目に着いた短編小説を開いてみた。
その短編小説の題名は───
『君に私の想いが届け!』
だった。
タイトルを見るだけで大体の話が予想できてしまうタイトルだと思ったし、私は彼のことが本当大好きだったんだな。と思わせてくれる小説だと思った。
たぶん、話しの内容は、素直じゃない女の子が好きな男の子に自分の想いを伝えるために奮闘する話しなんだろう。
それから、私は自分が書いた小説をたくさん読んだ。
その中には、いくか、数は少なかったけど長編小説って呼べるほどの分量がある小説もあった。
でも、大半は短編小説で恋愛ものだった。
「……そんなにこの時の私って、恋愛に飢えていたのかな?」
私は独り言のつもりで言ったけど、どこからか返事が返ってきた。
「そうなんじゃないか?というかこの時ってなんだ?」
「だ、誰ですか?」
「俺だよ。ここの顧問の斎藤」
「なんだ、斎藤先生か…………先生いつからそこにいたんですか?」
斎藤先生とは長らく会っていないからこれもやっぱり懐かしく感じた。
「さっきだよ。神林があの時の私がどうとかこうとか言ってた時からだよ」
「そうですか……」
「で、あの時なんだ?あの時もなにも恋愛小説を書いているのは、今の神林しか俺は知らんのだが?」
ああ、そうか。私がさっきあの時とか過去を思わせることを言ったから、こんなことを聞いてきたのか。
「あの時って言うのは……………えーと、なんと言いますか。この小説を書いていた時って意味ですかね?」
「なんで疑問系なのかは知らないが、そういうことか。ま、確かに神林は一時期の間俺に恋愛についていろいろと語ってきたもんな」
その節は、すいません………と心の中で先生に謝っておいた。
「ま、いいさ。で、どうなんだ?」
「どうなんだ?とはなにがですか?」
「初めて長編小説をハッピーエンド完結に持っていけそうだとか言ってたやつだよ」
「私そんなこと言いましたっけ?」
「言ったとも。それも昨日にね。………なんか今日の神林少し変じゃないか?」
私は内心でひやひやしながらも
「どんなところがですか?」
と聞いた。
「例えば、さっきのあの時とかだいぶ過去のことを言うような言葉の使い回しをしただろ。それと、昨日自分で言ったことを忘れているとか、それに、今日の昼はどこで食べていたんだ?」
屋上です。と一瞬答えそうになった。
でも、そんなことを言った暁には、先生に怒らることなんて目に見えている。
だって、この学校の屋上は生徒立ち入り禁止なのだから。
「えーと、学食で………」
「はあ?学食だ?あの人がゴミのようにたくさんいるところを嫌う神林が、学食で食べたって言うのか?」
あれ?私ってそんなんだったけ?
最近は、人がゴミのようにいるところが私の住みかとなっていたためそんなことすっかり忘れていた。
「あ、えーと……………」
「それに、
藤森っていうのは巫女のことだ。
「で、藤森は学食も一応探しにいって、そこにもいなかったって言ってたんだけど?」
「………………………………」
私は、黙るしかなかった。
これ以上なにか嘘をつこうとすればするほど、おかしなところが出てきてしまうから。
「なあ、神林。俺は怒るつもりないから、正直に答えてくれないか?」
こんなのは、怒るっていうフラグだ。
というか、これ言ったあとに怒られてないところなんて見たことがないと言ってもいいと思う。
…………ま、でも先生の怒られるってのもいいかもね。
「屋上で食べましたよ」
…………はあ、これで私怒られるよ絶対。
「そう。屋上でか。本来なら、そこは生徒立ち入り禁止でしょ!とか言って怒るんだろうけれど、俺神林と約束したからね。怒らないってさ。だから怒らないさ」
私は驚いた。
怒られるとばかり思っていたから。
「それのさ、立ち入り禁止のところに入るのは悪いことだけど、でも俺は嬉しかったりするんだよね」
「な、なんでですか?」
「だって、神林って真面目だろ。悪事を働かないって言うかさ、悪事を知らないって言う方が当てはまる女の子だろ。だから、しっかり悪事をすることがあるだと分かって、嬉しかったんだよね」
先生は、少し髭が伸びて実際の年よりも老いて見えるだろう顔で私に向かってはにかむように笑ってくれた。
私は朝巫女に言われたタイプリープとタイムマシーンで過去に戻るならどっちがいいかってことと昼に屋上で彼が言った愛について聞いてみることにした。
「先生は、先生はもし過去に戻れるとしたら、元の時間軸に戻ることができ、未来を変えることのないタイムリープと元の時間軸には戻ることのできなくて、未来を変えることがあるタイムマシーンによる時間を遡るんだったらどっちがいいですか?」
「俺は、タイムマシーンで過去に戻りたいかな」
先生はそう言った。
だから、私はその理由を聞いた。
「なんでそう思うですか?」
と。
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