1日目─話し合い─
彼は急にこう言った。
──俺さ思うことがあるんだけどさ。
「なにを?」
と私は返す。
「愛ってなんだろうってね」
「愛?」
「そう愛。愛情とか溺愛とかで使われる愛」
例として愛情をだして来るのはなんとなく分かるけど溺愛を出してくるとは思わなかった。
「それについて思うことがあるの?」
「うん。よく愛さえあれば大丈夫とか言うやつあるでしょ。でもさ、それってなんか愛を無機質にしている気がしない?」
「無機質にしている?」
「そう。だって、愛ってさ愛情とは違って愛は誰にでも抱けるものであって特別な物じゃないと思うんだ。それを愛さえあればとか言ったらさ、どんなに低い?って言い方が合ってるのかわかんないけど、低いとしたらさそんなで人と人が繋がっているって言われるのは違うかなって」
言われてみればそうだ。
愛が世界を救うとか愛で繋がっているんだから大丈夫だよとかそういうのはある。
でも、どれ程の愛なのかは表すものなんて殆どない。例えば、皆の愛で力が増加するなんてヒーローが居たとしよう。
そのヒーローは世界中から愛を受けとる。
その中には、ヒーローと親密な関係な人やそうでない人がいる。
でも、ヒーローに愛を与える。
親密な関係な人の愛は深いと思う。でも、そうでない人の愛は浅い。というか愛を深く持てるはずがない。だって関わってないのだから。
その人がどんな人でどんなことが好きだとかそういうことを。
「……確かにそうかもね。愛って誰にでも抱けるものだけど、その大きさは違うくて、大きい人も小さい人もいる。だから、愛さえあればいいなんていう一言でまとめてはいけないものだね」
「そう。…………ってなんか急に真剣な話ししてごめんね」
「いや、別にいいよ。なんか私愛について考えられた気がしたからさ」
「そう。それはよかった。この弁当おいしかったよ。ありがとう」
そして空のなった弁当箱を返してくる。
「うん」
その時だった。
強い風邪引きが吹いたのは。
私は咄嗟の判断でスカートを押さえたが、スカートを押さえのが少し遅れてしまったみたいだった。
だって、私が彼を見たら目線を反らしたからね。
「あ、チャイム鳴った!早く教室に戻らないと!」
彼は、逃げるように屋上から出ていった。
「……別にそんな逃げなくてもいいのに」
パンツを見られたのは恥ずかしかったけど、別にあれは事故でなにか言うわけでもなかったから、逃げるように帰られると後味が悪い。
「………私も教室に戻ろう……」
*
彼女が過去へ戻ってから3分程たった。
過去と現実の時間比率はおよそ168倍。1秒経てばもうあっちでは、3分程たっている。
だから、こっちでの3分経てばあっちでは、9時間経っていることになる。
「………もう、想いを伝えて終わっていたりして。ま、ないか。だって彼女あんな性格だもんね。素直じゃないっていうか、勇気がなかなか出ないタイプだよね。だから、9時間でどうこうなってるわけがないか。ま、気長に待とうかな」
そして、僕は紅茶を入れるためにお湯を沸かしに行った。
*
午後の授業を終えた私は部活へと足を運んでいた。
私が所属していた部活は、『小説部』だった。
とても珍しいと思うし、どこを探してもないと思う。
『小説部』の部員数は少なくて私を含め2人しかいない。
……もう1人の子来なくなっていたけど。
だから、実質『小説部』の部員は私1人ってわけだ。
そして、私は久しぶりにパソコンを起動させた。
そのパソコンは私が普段使い慣れているものとは違って起動するまでに時間がかかって少しだけおかしな音が聞こえた。
でも、それが時間を感じさせてくれている気がして無性に愛しく思ったしまう。
パソコンが起動してから、まず画面に出てきたのは、パスワードを入れるところだった。
だいぶ前のことだからパスワードを忘れていそうだけど、私はこの頃からずっとどんなものにも同じパスワードを使っていたから別に困らなかった。
パスワードを入れ終わると、アイコンが出てきて、それもどこか懐かしさを感じた。
私は、このパソコンを使うのは小説を書くためだけに使っていたから、入っているアプリも小説を書くために使うものだけだった。
「今じゃあ、考えられないな。こんな、小説書くためだけにパソコンを使うだなんて。それに、もう小説は書かなくなっていたし」
私は、年が上がる事に小説を書かなくなっていた。正確には書く時間がなかっただけれど。
「……ひとまず、私が書いたであろう小説たちを読むとしようかな」
そうでもしないと、部活ができないわけだし。
そして、私は、wordのアイコンをダブルクリックした。
そして、ファイルを開くとそこには無数のプロットと短編小説があった。
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