第9話

抵抗を続けていると、あるものが自分の側に投げられてきた。

先端の折れ曲がった傘だ。

すかさず手に取り、寸のところで二体の怪物に傘を突き刺した。

傘を投げてくれたのは大柄だった。

死骸を外に放り出し、喫煙所に入る。アンモニアとスカートルのニオイがツンと三人の鼻孔をついた。煙草が燻るときに発するものだ。

「……なんなんだ、あいつらは」

 聖二は問いかけるが、二人とも知っているはずがなかった。

連中はなんなのか。今朝の急病人と関係はあるのか。外はどうなっているのだろう?家族は、真美は無事なのか?

不安が頭を占める。

これからを早急に決めねばならない。そのためには、今共にいる二人の名前を知るのが先決だ。

「おれは臥雲聖二。18歳で、新大学生になる予定。二人の名前を教えてくれない?」

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