第8話

 女性は驚いたような表情を見せたが、大人しく身を引いた。大柄と共に近くの武器を探しに向かう。

聖二は深呼吸すると、瓶を高くかざし、慎重にドアを開けた。

真っ先にサラリーマンもどきと目が合う。

人間のものとは思えぬ奇声を発しながら、それは襲いかかってきた。

先ほどの恐怖がひしひしと蘇る。

自分の感情全てを打ち消すようにして、聖二は瓶を怪物の頭部に振り下ろした。ぐぶっ、とのめり込むような感触が瓶越しに伝わり、サラリーマンもどきはくずおれた。

聖二は素早く瓶を引き抜くと、返す刀でもう一体の頭部にそれを叩きつける。

息をつく間もなく、今度は二体が襲いかかってきた。凶悪なまでのスピードだ。

一旦距離をとるべく聖二は飛び退く。そのはずみで、瓶を怪物の頭部に突き刺したままになってしまった。

一体に蹴りを見舞うが、全く通用しない。もしや、頭部への攻撃でないと効かないのだろうか。

聖二の運動能力では頭へのキックなど不可能である。その上、武器である瓶も手放してしまった。

またもや聖二は倒されてしまった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る