第2話 少女との出会い

「……っと……ちょっと!」


女の子の声が微かに聞こえる。

「ううっ」

「あ! やっと起きた、あんた大丈夫?」

俺はゆっくり目を開けた。

――そこには、さらりと茶色の髪の毛を肩に流している、華奢な女の子がいた。

「「……」」

「だ、だだ、大丈夫です!それじゃあ、僕はこれでっ……うっ」

「え? あ、ちょっ!」

俺はまた倒れた。

足に力が入らない、目眩と吐き気が酷い。

これ、マジでヤバいやつだ。

「無理しちゃだめだって、ゆっくりしてないと」

「そうだな。悪いが、俺のポッケにスマホ入ってるから、救急車呼んでくれ」

「スマホ? 救急車? なにそれ」

「なにとぼけたこと言ってんだ、早くしてくれ」

「とぼけたってどういう事? 今までずっと治療してやってたのに!」

「治療? あんたが?」

女の子は怒った目をしながらコクコクと頷く。

そういえば、さっきから俺のおでこに手を当てているがこれが治療なのか?

確かに、ちょっと楽になって来たかも。

「そうか……ありがとう」

「うん」

機嫌が少し良くなったようで、よかった。

「よし! これで大丈夫。もう立てるよ」

女の子はおでこから手を放し、俺に立つように促した。

俺もおそるおそる立ち上がった。

何の問題もなく立ち上がることができた。

あれだけ頭を強く打ったのに完治している、たんこぶ一つないぐらいに。

……この女の子いったい何者だ?


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