「鞘乃の恋?女槍騎士来日!?・④」

「ああ、あれから意気投合してな!歳は、21だってさ!!」


「21才なの!?」


 刀子の言葉に、鞘乃は身を乗り出して反応した。


「身長は185だピョン!」


「185なの!!」


 柄恵の情報に鞘乃は嬉しそうだ。


「そんでもって、研師の兄ちゃんは、来月」


「そうそう、来月ピョン!」


 なんだか、含みのある刀子と柄恵の言い方に、鞘乃は我慢出来ず、かすように聞いた。


「来月って何?教えて!!来月、何なの!?」


 二人に、つかみかからんばかりの鞘乃の様子に。


「「えっ!?」」


 と、目を合わせ戸惑う刀子と柄恵。


「だからー!!来月、何なの!?」


 目を真っ赤にして、二人に詰問する鞘乃。


「えっとお!」


 圧倒された刀子は口ごもる。


「ちょっと!落ち着くピョンよ!!」


 慌てる柄恵。


「だから!!来月が何ぃいいいーーーっ!?」


 鞘乃はもはや、叫んでいた。丸眼鏡がその勢いで弾んでいた。すると、柄恵が意を決したように言った。


「来月……




 結婚するピョンよ!!」


 違う意味で、またもや鞘乃の時間ときが止まったのだった。


◇◇◇


「さあーて、従者!ゴーホームよ!!」


「はい、お嬢様」


 今日の授業が終わり、ランスは従者を従え、玄関ロビーに向かった。ロビーには青年研師がいて、頼まれた刀を女子生徒たちに手渡していた。


「凄いピョン!曇りがなくなって、新品みたいだピョーン!!」


「おっ!オレの刀が、スゲー綺麗になってる!?やべー!これなら何でも斬れそうだ!!」


 すると、青年研師が刀子に言った。


「ああ!お前の腕なら、ブロックぐらい一刀両断さ!!」


「「マジ!?」ピョンか!?」


 そんな騒がしい声を聞きながら、ふとランスお嬢様は思い出した。


「そうデシータ!中庭デース!!ヤーリの人を見に行きマース!!」


 そうランスが言っていると、従者が廊下の壁につけられた案内板を見つけた。


「お嬢様、こちらのようですよ?」


「そうデースカ!それでは、行きマショーウ!!」


 ランスは従者の後に続き、中庭を目指して歩き始めた。しばらく歩くと、廊下の窓から広い中庭が見えてきた。その中庭には、長い棒のような物を持っている女子生徒の姿が、数人見て取れた。


「オオ!あれはモシカシーテ!?」


 ランスは、長い銀のランスのの先、石突いしつきを床にカンカンと打ち当てながら、小走りで中庭に向かった。するとそこには、道着と袴を履いたお爺ちゃんが居て、槍を持った女子生徒たちに何やら話していた。


「では改めてじゃが、基本的な槍の使い方を確認しようかの!」


 ヨボヨボの居合爺ちゃんは、各クラスから槍を持って集まった、槍ギャル3人組に言った。


「マジ居合ジィ!早く早く!!」


「楽しみで、ウケルーwww」


「アタシぃの槍!喜んでるんですけどぉ!!」


 加藤や宝蔵院、本多など槍ギャル仲間が嬉しそうに言った。現在の市立セーラー高等学校では、刀の授業はあっても、槍や他の武具について、詳しい使い方の授業はなかったのだ。その事を知った居合爺ちゃんは、せめても!と思って、こうやって放課後に他の武具の師範も勤め始めたのだ。


「さてさて、槍を持つ手の事なんじゃが、右手でも左手でもどちらでも良い。ようは突き出ししやすい手、まあ大体が利き手になるがの、それが後手うしろでになっておれば良いのじゃが、さて皆はどうかの?」


 すると加藤が言った。


「私は右手かな!?てか、マジで利き腕じゃねー!!」


 続いて宝蔵院が言った。


「私も右手じゃね!?てか、同じ利き腕で、超ウケルーwww!!」


 すると本多が、居合爺ちゃんに聞いた。


「アタシぃは右利きだけどぉ、剣道もやってたしぃ!だからぁ、左が使いやすいからぁ、左が後手になってるけどぉ!居合ジィ?これ、マジ大丈夫ぅ!?」


 すると、すぐに答えてくれた。


「本多さんと言ったかの?それで大丈夫じゃ!とにかく使いやすい、突き出ししやすい手が後手じゃ!!」


 居合爺ちゃんに言われ、本多はホッとした顔をした。


「ではでは、皆の後手の確認が終わったから、次に進もうかの。では基本のきをやろうかの!!」


「「「ちーっす!!!」」」


 すると、3人は槍を構えた。


先手さきのての握りは優しくじゃ!なぜなら先手のてのひらの中で、槍柄やりづかを素早く滑らせて突くからじゃ!こんな感じじゃ!!」


―――シュンッ!!


―――シュンッシュンッシュンッシュンッ!


「マジ居合ジィ!ぱねーっす!マジ見えねーよ!!」


 加藤の口があんぐりとした。


「では各自、突いてみい!!」


「「「ちーっす!!!」」」


 3人は後手で槍を押し出すと、先手を滑らせ槍を突いた。その姿はビリヤードのキューを突き出すのに似ていた。


―――ブンッ!!


――ブンッブンッ!


「細かく、素早く!!大きく、狙いをつけて!!これは中遠距離で有効な突きになるのじゃ!!」


「「「ちーっす!!!」」」


 3人は相手を想定して、色々と変化をつけながら、繰り突きをした。どのぐらいの長さを突き出すのか?どのぐらいの速度がいいのか?それらをどう織りまぜるのか?考えてみると、突き方は無限にあった。


「さて!続いて、諸手突もろてづきじゃ!!」


 その時だった。


「たーのモーオオオ!!」


 大きな声が中庭に響いた。


「「「おわっ!!!」」」


 その声に、槍ギャル3人娘が驚いた。


「さてさて、誰かの?」


 居合爺ちゃんは動じず、穏やかに聞いた。


「ワターシは、今日、テンコーして来ました。なまーえは、ランス・フランス・ランスロットでーす。そして、このランスに、ミアーウ自分になれるよー、ニポーンでもショウジーンしたいと思いまーす」


 と、言って銀のランスを出すと、石突きで地面にドンッ!とやった。


「超スゲー!これ、外国の槍じゃね~?」


 加藤が声を上げた。


まで金属じゃん!超ウケルーwww!!」


「マジ重くねぇ!?」


 宝蔵院と本多がビックリして言った。


「ほう!これはなんとも面白い槍じゃのう!!騎乗槍きじょうやりじゃな!!」


「「「騎乗槍!?」」」


 槍3人娘はハモって聞いた。


「馬に乗って使う槍じゃよ!!物凄く強力で、鎧ごと突き刺してしまうものじゃ!!生身で受けようものなら、下手したら体が引き裂かれるかも知れんのお!!」


 居合爺ちゃんは、ニッカニカして言った。


「所でぇ、後ろにいる人はぁ?」


 本多が顔を少し赤らめながら、ランスに聞いた。すると、ランスの後ろにいた従者が前に出て、自己紹介をした。


「初めまして!私はランスお嬢様の護衛兼世話係として、イギリスより付き添いに来ました従者です。どうぞ宜しくお願いします」


「マジ!日本語じゃねー!?しかも!私たちより巧いしー!!」


 ランスお嬢様と違い、従者は流暢な日本語なので、加藤は驚いていた。


「超綺麗!ウケルwww!ハァwww!!」


「信じらんなーいぃ!アタシたちとぉ、おんなじぃ人間だよねぇ?はぁ~!!」


 宝蔵院と本多は、従者の服装とその容姿に、ため息をつきながら言った。そんな二人がため息の中、ハッ!と加藤が気づきランスに聞いた。


「そうそう!ランスだっけ?さっき、日本でも精進したい!って言ってたじゃん?」


「ハーイ!言いマシータ!!」


「じゃあ、ランス?」


「なんでショーカ!?」


「私たちと一緒に、マジ……




 槍してみね?」




 その言葉に、ランスの目がパッと輝き出した。


「ソレをマテーました!!イショにヤーリして、クダサーイ!!」


 そうランスは言うと、加藤に抱きついた。


「ちょ!いきなりマジかあ(/▽\)♪」


 抱きつかれた加藤は、とっても嬉しそうだった。そして加藤は、ちょっと涙目になりながら、宝蔵院と本多に言った。


「マジ嬉しくね?みんな!!あと、一人で部になるんじゃねー!?( ;∀;)」


 そして抱き合いながらウンウンとうなずく、宝蔵院と本多だった。


つづく


☆次回予告



「なんでオレたちの担任教師って、いつも訳の分からない事を言ってから、授業をはじめるんだろうな?」

「いや!あれってまさに数学なんだピョン!!世の中には2つの形しかないんだピョンよ!団子とドーナツ状だピョン!凄いピョンよ!!」

「確かにそうだよね!私も思うもん!!世界は丸か穴状なんだよ!!ねえ、刀子ちゃん?

そうは思わないっ!?」

「えっ!?鞘乃、オレに聞くな!オレに!?微分積分、やな気分だぜ!!」

「そうだピョン鞘乃!顔だけハリボテ超絶美少女には、理解出来ないんだピョン!!」

「くそー!バカにするな!バカに!?」

「じゃあ、言ってみるピョンよ!」

「えっと、確か担任は……全ての物は抽象化すると、球体か円環状になる、で、それが数学のセンスで、そのセンスをもっていかに、文字や数、数式、図で抽象化するかが、数学全体のイメージなんだ!!って言ってたけど……意味わかんねー!?」

「刀子ちゃん!ようは、粘土で考えればいいんだよ、粘土で!つまりは、穴があるか無いかなんだよ!刀子ちゃん!!」

「粘土~!?」

「そうだ刀子!例えばお皿は団子で、取ってのついたカップはドーナツなんだピョン!」

「はあ!?」

「刀子ちゃん?穴のあいた三角定規は穴になるでしょ?で、真っ直ぐな定規は丸ね!」

「じゃあ、人間は?」

「えっ?いきなり何だピョン!?」

「じゃあ、人間はどうなるんだよ、柄恵ーーー!?」

「くっ、口とお尻がつながってるから、ドーナツピョン!!てか次回!


 日本刀の使い方!?


 だピョン!!」

「なんだと柄恵!!マジか?オレは……


 ドーナツの仲間だったのか!?」

「てか刀子ちゃん、驚くのそこーーー!?」



――また読んでね!

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