「槍なのに帯刀って!?・④」

 加藤に聞かれた宝蔵院は話を続けた。


「ある日、師匠の正宗は村正と共に、自分が作った刀を持って、川に行ったんだって。そして先に村正の刀を川の真ん中に刃を川上に向けて刺し、それから川上から1枚の葉っぱを流したんだって。すると、村正が作った刀にドンドンとひきよせられ、ついにはスパッと真っ二つになって切れたんだってさ!その様子に師匠の正宗は、マジやべーって!恐るべき切れ味じゃね?ウケルwww!?って、驚愕きょうがくしたんだってwww!!」


「マジやば!凄くね?マジ!村正の刀!?」


 宝蔵院の話にうなずく加藤。


「で、続いて師匠の正宗の刀を、同じように川の真ん中に刃を川上に向けて差し、それから川上から1枚の木の葉を流すと、流れてきた葉っぱは、なんと正宗の刀の刃に触れると、そこで止まったんだって!!師匠の刀なのに超ウケルwww!!」


「マジか!?師匠の刀、切れなかったんか?マジ、立場ねー!!」


 目を丸くする加藤。


「でも!それを見たた村正は勝ち誇った笑みを浮かべたんだけど、師匠の正宗が大きな声で、かっつ!と叫ぶと、止まっていた葉っぱは、真っ二つに切れ、流れて行ったんだって!!そしたら師匠の正宗は、村正に言ったんだって。刀って、テメー守るものだから、必要な時に切れば良いんじゃね?だけど、お前の刀は自ら災いを招いててんじゃん!超ウケルwwwwカス!!って言ったんだってwww」


「なんかマジぇええ!村正~マジやべーよ!!」


「思い出した!あと、村正の刀って徳川にあだなす刀なんだって!超ウケルwww!!」


「マジ!なにそれ!?」


 加藤は、宝蔵院の「徳川と村正」の話に身を乗り出した。


「徳川家康は祖父を村正で殺されちって、息子の切腹で村正が使われたしー、自分も子どもの時に村正で手を切ったりー!大人になってもー、関ヶ原で仲間が槍で敵を討ち取ったと言うから、ちとその槍を見せろー!って、持ったら手を切っちゃって!で、刀の名前を聞いたら村正だったとかwww超ウケルwww!!」


「なにソレ!?マジ!こわっ!!」


「とにかくー!村正の名前を聞くのも嫌!で、超ウケルくらい、村正がマジ仇になったのwww!!」 


「うわ~!マジ!?」


 二人の話を聞いて、本多は困ったふうな顔をして言い返した。


「えっとぉ!村正ぁ、村正ぁって言われてもぉ、アタシ的には、ちょっとねぇ?てか、アタシの槍、そんなに血を好くないからぁあ!!」


 すると宝蔵院はヤバイと思い話を変えた。


「だよねー!さあ、話もこのぐらいにして、今日も超ウケルくらい!槍の練習をしよwww!!」


 そう言って槍をグルグルと回した。


「マジ、そだねー!」


 宝蔵院に続き、加藤も槍を持つとグルグルと回した。それを見た本多は、いつまでも言っても仕方がないと、自分も長い槍をブンッ!と、ひと回しした。


 それからお互いに軽い、槍の突き合いをした。相手の突きを払ったり、また打ち下ろしや横払いされた穂先ほさきをギリギリでよけたり、槍を槍で巻き込んでの跳ね上げや跳ね下げ、槍の尻の石突いしつきを使っての突きなど、みんなでウォーミングアップをした。すると加藤がいつものごとく言った。


「あー!マジ早く5人になって、同好会から部になって欲しー!!」


 すると、本多も毎度ながらのいつものセリフを言った。


「ウンウン!中庭やぁ、教室じゃなくてぇ、体育館とかでぇ、やりたいよねぇ!!」


 と、本多が言うと空気が凄くやわらいだ。なので、これも毎度の事ながら加藤がソレに突っ込んだ!


「やっぱマジ……




 槍だけに!?」


―――グサッ!


 そして加藤は毎度お決まりの、でも、どことなく重い蜻蛉切の一撃を食らったのだった。


「やっぱ、マジ!怒ってたんじゃん!?」


――ガクッ!!


◇◇◇


 鞘乃たちが帰る時だった、校門には上級生の女子が二人で立っていた。


 一人は門に寄りかかるように立ち、もう一人は普通に立っていた。校門に寄りかかる上級生のバータイの色は、シルクの黒なので3年生と分かった。もう一人はバータイが白なので2年生だ。二人とも槍ギャルほどではないが、バータイを緩く結んでいた。


 校門に寄りかかる女子は、左手をスカートのポケットに突っ込んだままガムを噛んでいた。黒い髪はサラサラのワンレンショートヘアで、うつ向いているので、目が隠れている。腰にはベルトがあるものの、見えてる左腰には日本刀は無かった。


 もちろん、槍も持っている訳でなく、ベルトをしているものの一見、何も持ってなく丸腰のように見えた。ただベルトには、段ボールの中身の、波みたいなのが付いていただけだった。


 背は刀子と同じ。でも、胸は普通おっぱいだ。刀子と同じくストッキングを履いてはいるが、ガーターではなく、腰まで履くパンティストッキングだ。




 「パンティストッキング」!!




 そうだ!とうとう登場したパンティストッキング!略して「パンスト!」だが、そのイヤらしさは、レッグウェアの中でも、王道中の王道だろう!!あの、スカートの中に両手を入れ、着脱などモゾモゾする姿を想像するだけで、ムラムラだ!また、踏まれるのも一興いっきょうだろう!!


 ちなみに、パンストには伝線防止の「ランガード」と言うのが、股下を通るように両足についている。もしパンティ部分が伝線しても、レッグ部分にまで行くのを食い止めるものだ。


 このランガードは、パンツのクロッチラインと並ぶ、魅惑のおびで、スカートを上に手繰り上げた時に見えようものなら、ウハウハだ!!


 そしてまだまだ、パンストには魅惑のゾーンがある!それが「ダイヤマチ」だ。股の部分の縫い目の事で、菱形ひしがたのマチなのでダイヤマチと呼ばれている。このダイヤマチの効果は、股下のズリ下がりを防止していると共に、パンティ部のフィット感の向上だ。


 このダイヤマチは、大股開きの時にしか、その全容は確認出来ないもので、確認出来た時の喜びは、人生最上のものの一つとなり得よう。


 また、ダイヤマチもクロッチライン同様、魅惑のラインとなろう!そう、「クロッチライン」「ランガード」「ダイヤマチ」の3つは、人の造りし、三大アンダー芸術と言っても過言でない!!




 冷静になって、話を戻そう。


 3年女子はパンストに、爪先に金属のプロテクターが入った黒の安全靴(ブーツ)を履いていた。その3年女子の横に立つ2年女子は、頭にシッポからタヌキと分かる、本物の毛皮の帽子をかぶっていた。


 その帽子から少しはみ出すように黄色のショートヘアの髪先が見える。実は3年女子と同じワンレンショートヘアなのだ。2年女子も3年女子と同じくパンストで、同じ安全靴(ブーツ)だ。それは3年女子への憧れの現れでもあった。身長は柄恵と同じ、そして普通おっぱいだ。


 2年女子は腰には左右に二本、帯刀していた。が、日本刀とは違っていて、鞘の長さから刃渡りは一尺(30センチ)もない小刀こがたなのようだった。だが、鞘は四角く太い事から、日本刀よりもなたに似たものだろうと分かった。そして、なにより特徴的なのは、が金属で、それは刀身からつながった金属を、筒状にしたものであった。


 そうそう、二人ともストッキングのデニールは、「20デニール」だ。


「あっ!校門に二人、上級生が立ってるよ!!」


 先に気づいた鞘乃が言った。


「ふーん!誰か待ってんのか?」


 と、他人事に返事をする刀子。


「人がさけるように過ぎて行くピョン!!ヤバイ!ヤバイピョンよー!!」


 柄恵は二人の上級生の事を知っているので、ドキドキだった。


「ヤバイって!柄恵?なんでヤバイんだ?」


 聞かれた柄恵は、小さい声で刀子に言った。


「あの、毛皮の帽子をかぶっている2年生は、叉鬼またぎ先輩って言って、2年生最強なんだピョン!左右に差した通称マタギナイフは、熊と戦う時に使うナイフで、正式には叉鬼山刀またぎながさって言うピョンけど、 又鬼先輩の山刀ながさは刀身からまで金属になってるピョン!そんでもって、柄は筒状になっていて、そこに棒を差して槍みたいにして熊と戦うピョンよ!!そうそう、この山刀は、柄が筒!袋状になっているから袋山刀ふくろながさって呼ばれてるやつピョン!日本刀と同じく斬れ味が凄いピョンよ!!そして叉鬼先輩は二刀流だピョン!!」


「へえー!二刀流か!!凄そうだな」


 どこまでもアッケラカン!としてる刀子。


「で、うつ向いてガムを噛んて、垂れた髪で目が見えない3年の方は、銃夢がんむ先輩なんだピョン。ちょうど右腰が見えないから、”銃”が見えないピョンけど、銃夢先輩は今年4月の誕生日に、刀から銃に代えたピョン!その時から、3年全員を文字通り、撃ち倒して3年最強になったピョンよ!!」


「マジか!やっぱ銃はスゲーな!!」


「ちなみに、銃夢先輩の腰ベルトに付いてる段ボールの中身の波みたいなのは、カートリッジループって言って、銃の弾を差し込んであるピョン!!」


「そこから、一発ずつ弾を取って銃に入れるのか!!」


「そんでもって、銃夢先輩の相手の倒し方がエゲツないピョン!銀色の愛銃あいじゅうはコルト社の、シングル・アクション・アーミー!通称SAAの6インチ!!またはピースメーカーって、呼ばれるものなんだピョンけど、使う弾が凶悪で、体に撃ち込まれた瞬間に、体内で散乱して内臓をズタズタにする、”ダムダム弾”を使ってるピョンよ!!」


「マジか!内臓をズタズタは、やべーな!!」


 そんなこんなを話しているうちに、3人は先輩二人の前に通りかかった。すると2年の叉鬼先輩が刀子に声をかけた。


「 えっと、おめが、刀子とうごだべか? 」


 秋田弁だった。


「ああ、そうだけど?」


 すると、校門に寄りかかっていた銃夢先輩が刀子に近づいて言った。


「お前、ちょっと顔貸しな!」


 銃夢先輩は左手をポケットに入れたまま、ついて来い!と、自分の顎をクイッとやった。


「ああ、いいけどなんの用だ?」


 すると心配した鞘乃が刀子に言った。


「刀子ちゃん!大丈夫?私も一緒に行くよ!!」


 すると叉鬼先輩が鞘乃に言った。


「 まあ、わりいようにしねぁがら! おめらはせぎどご外してぐれ 」


 そう叉鬼先輩は言うと刀子の背中をポンと軽く叩いた。可愛い顔の叉鬼先輩と秋田弁のギャップは萌えるものだある。


「 じゃあ、行ぐべが 」


 刀子は叉鬼先輩、そして銃夢先輩と共に、帰り道とは逆の方向に歩いて行った。


「大丈夫かな、刀子ちゃん!!」


「うん!心配だピョン!!」


 その後ろ姿を心配そうに鞘乃と柄恵は、見送ったのだった。


つづく


☆次回予告



「所で刀子ちゃん!おまって何?何て言おうとしたの!?」

「ちょ!待つピョンよ鞘乃!!何を聞いてるピョン!?」

「だから、おまって何?って」

「それを刀子に言わせるなんて、とっても危険なんだピョン!!鞘乃!!伏せ字になるピョンよー!!!」

「えっ!何で?もしかしたら、おまんじゅうかも知れないよ?」

「そんな訳ないピョン!時々、鞘乃は無茶苦茶な事を言うピョンね!!」

「柄恵ちゃんが慌ててるから、たまには私が言っちゃおうっと!次回は!!


 オシャレは帯から!?


 だよー!!」

「あっ!鞘乃!!私のセリフを取るなピョ~ン!!」

「おまっ、おまっ、おまっ///!」

「ワー!刀子、マジでやめるピョーン!!」



――また読んでね!

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