「槍なのに帯刀って!?・③」

 放課後、1年1組の教室。帰り支度をする忍者に刀子が聞いた。


「なあ、お前の名前って、なんで”忍者”なんだ?おかしいだろ!?」


「とっ、刀子ちゃん!そういう根元的な発言はしちゃダメだよ!!」


 鞘乃は大慌てで刀子を止めた。


「だっておかしいだろ!?」


「おかしいけど!おかしくないの!!」


「いや!だから、おかしいだろ!?」


 刀子の疑問は止まらない。なので鞘乃は叫んだ。


「だから、立ってなくても立ってます!ってくらい、おかしくないの!!」(←草風水樹作、ドキおぱ!第7話「私立おっぱい学園」を参照!)


 でも、刀子も負けじと叫ぶ。


「いや!忍者は女なんだから”くのいち!”だろ!?」


 刀子の疑問に鞘乃は目を丸くして言った。


「えっ!刀子ちゃん、そっ、そこーーーっ!?」


 すると忍者が言った。


「それは違うでござるよ!」


「違わねーだろ!だって女の忍者を、くのいちって言うんだろ?」


「だから違うでござるよ。くのいちは忍者にござらんよ」


「どういう事なんだ!?」


 刀子が言うと柄恵も聞いた。


「えっ!くのいちって忍者じゃないピョンか!?」


 すると忍者は答えた。


「まあ、しいて言えば拙者せっしゃは、女忍者でござる!」


「だから、なんで女なのに、くのいちじゃねーんだよ!?」


 イライラした口調で刀子が言った。


「知りたいでござるか?」


 忍者が言うと刀子と柄恵がハモって言った。


「「知りたい!知りたい!!」ピョン!!!」


「では、言う通りにノートに書くでござる!」


「分かった!」


 刀子は学生カバンからノートを出した。


「まずは、平仮名のく!」


「く!」


「次は、片仮名のノ!」


「えっ?次は片仮名になるのか!?」


「黙って書くでござる!片仮名のノ!」


「ノ!」


「最後でござる!漢字の一!」


「漢字の?一?」


「書いたでござるか?そのバラバラの字を重ねるでござる!」


「???」


 忍者の言葉の意味が解らず、頭をひねる刀子。すると鞘乃が言った。


「あっ、分かった!こうでしょ?ええと……く、ノ、一って重ねて書くと……ほらっ!女って言う字になった!!」


「そうでござる!正解でござる!!女と言う字をバラバラにするから、くノくのいちでござるよ!!」


「「スゴーイ鞘乃!」ピョン!!」


 またまた刀子と柄恵はハモって言っていた。すると鞘乃が忍者に聞いた。


「でもなんで、くノ一と女忍者は違うの?ねえ、忍者ちゃん?」


 鞘乃に言われると、忍者はすごーく嫌な顔をして言った。


「女でござるよ?女!!」


「だからなんだよ?」


 またまたイライラしながら刀子が聞く。その時、鞘乃が何かに気がついたようだ。


「あっ!もしかして!?」


 鞘乃は忍者の耳に手を当て、内緒話をした。


「って事?」


「そうでござる!正解でござる!!」


「確かにそれだと名前は、くノ一にしたくないよね!」


 鞘乃はウンウンと深くうなずいていた。


「えー!なんだよ?どんな秘密があるんだよ!!オレにも早く教えろよ!!」


 イライラの頂点の刀子が机をバンバン叩きながら言った。


「大きな声だと言えないよ!!」


「悪かったよ!小さい声で怒る!!」


 鞘乃に注意され小さい声になる刀子。


「そういう大きな声じゃなくて!」


「じゃあなんだよ!?」


「もう!……ゴニョゴニョ」


 仕方がないので鞘乃は刀子の耳に手を当て内緒話をした。


「ええーっ!?それを武器にするのか!?」


 話を聞いた刀子の顔が一気に真っ赤になった。そして、チラチラと見ちゃいけないものを見るように忍者の胸を見た。忍者のおっぱいは普通おっぱいだ。


「にっ、忍者お前……おっぱ!いや、ソレを武器にするなんて!?」


「ちっ、違うでござるよ!だから拙者は違うでござる!」


 そして、刀子の目は忍者のお尻に!!


「そして、忍者お前……おまっ!いや、ソコを武器にするとは!?くノ一っ!エロ過ぎだろ!?」


「だから勘違いでござる!せっ、拙者の武器は違うでござるよおおお!」


 忍者は必死に全否定した。


「だから刀子殿!拙者は、そーゆーこと!を武器にしないから、忍者なのでござるよ!!」


 そこまで忍者に言われて、やっと理解した刀子。


「あっ!スマン!そういう事か!!」


 すると刀子はジャンプしたかと思うと、フラーーーイング土下座をし、忍者の口調を真似て言った。


「ごめーん!理解したでござるよおおお!!くノ一だなんて言って、びるでござるー!!!」


 とにかく頭を床にこすりつけて謝る刀子。


「とっ、刀子ちゃん立ちなって!!」


 鞘乃が呆れて言う。あまりの低頭に後ろから見ると、ガーストの後ろの紐と、黒いパンツの後ろクロッチラインまで、丸見え状態だったからだ。


「刀子殿!分かれば良いござるよ!さあ、頭をあげるでござる!!」


「忍者~!!ありがたいでござる~!」


「ちなみに拙者、姓は忍者!名は服部はっとりでござる!!」


「そうか!お前のフルネームは、忍者服部なんだなあ!!」


「そうでござるよー!!」


 忍者は刀子の手を取り立たせると、二人でヒシッ!と抱き合った。そうそう忘れていた!忍者の身長は160だ。そして、おっぱいは小さめだ。


「美しいピョン!なんて美しい女の友情なんだピョン!!」


 両目からダラダラと涙を流す柄恵。その様子を見てアホらしそうに見ていた鞘乃がつぶやいた。


「もう私……






 先、帰ろかな!?」


◇◇◇


 放課後の中庭。そこに一年生を表す桜色のバータイをしたセーラー服の女子が二人いた。


 いたが、二人ともセーラー服を着崩していて、桜色のバータイは、先端の方で結ぶだけで、首元はダラリとし、そもそも、セーラーの胸カバーが外されていて、かがむと胸元が見えてしまうほどで、そして二人とも付けまつ毛や唇にラメなど、濃い目の化粧に茶髪だった。




 つまりは「ギャル」だ!!




 そんな二人が帯刀しているのは刀ではなく槍で、手に持ったりベンチに立てかけて話していた。


「加藤っちの槍ってさあ、片側に鎌が突き出てて、カッコ良くて、超ウケルwww!!」


「マジ!んな事ないって!?てか、元はといえば、宝蔵ほうぞうっちの、十文字鎌槍じゅうもんじかまやり?みたいに両方出ていたらしんだけど!?」


 加藤の茶髪は、巻き髪セミロングで、長さ4メートル50センチの片鎌槍かたかまやりを持っていた。


 宝蔵っちと呼ばれたギャルは、正しくは宝蔵院ほうぞういんと言う名で、加藤と同じく茶髪だが色は薄くショートカット、そして持ってる槍は、両方に出ている刃が鎌で十字を作っており、長さは短く2メートル50センチだった。


 二人仲良く話しているが、それぞれクラスは違っていて、加藤は3組、宝蔵院は5組だった。


「あーっ!ソレ知ってるwww!!確か、虎を退治する時に、折れたんだっけ?超ウケルwww!?」


 宝蔵院はクスクス笑った。すると、加藤は自分の巻き髪を指でクルクルしながら言った。


「それがさあ!虎と戦って、マジ折れちゃったって、言い伝えられてるけど!でもホントは、マジ違うらしいんだよね!?」


「そうなん?それウケルんですけどwww」


「実はさあ!元からこういう形だったんだって!!でも、虎退治はマジ本当にしてたから、かなり!話を盛っちゃったんだってー!?」


「へー!やっぱウケルwww!!」


 するともう一人、槍を持ったギャルが現れた。


「ごめぇー!遅くなりぃー!!」


「あっ!本多ほんだっち、謝らなくてもオーケーだよ!!マジ今、来たところ」


 現れたギャルに加藤は答えると、宝蔵院と目を合わせ。


「「なあー!」」


 と、笑った。


「そっかあぁ、良かったぁ!ところでぇ、何の話してたぁ?遠くからぁ、槍って言葉が聞こえてぇ、来てたんだけどぉー!?」


 本多はホッとしつつ、二人の話題を聞いてきた。本多も同じく茶髪だが濃く、顔も地黒で濃かった。髪はロングヘアで、槍はみんなの中で一番長く6メートルあった。そして本多は7組だった。


 三人とも身長は160前後で、おっぱいは普通より、少し小さ目おっぱいだった。そして、みんな明るい茶の厚底ローファーだ。


「加藤っちの槍が、カッコ良くてウケルwww!って話してたんだwww」


「マジんな事ないって!?宝蔵っちの槍だって、マジ素敵だって!!」


「いやいやwww!」


「マジそうだって!」


 と、盛り上がる二人だが、ほどほどの所で宝蔵院が本多に話を振った。


「ところでさあ、本多っちの槍!蜻蛉切とんぼきりって凄過ぎで超ウケルんですけどwww!?」


 すると続けて加藤も言った。そうそう、三人とも白のルーズソックスで、そのすねには、それぞれカラフルな脛当すねあてをつけていた。

 



「ルーズソックス」!!




 1990年代、渋谷や原宿といった若者の街を中心に、爆発的に広がった緩い靴下、ルーズソックス。さて、ルーズソックスを説明する前に、女子高生の制服!特にスカートについてまずは説明しよう!!1980年代後半になると、スカートを短くする女子中高生が増えていったのだ。それは、不良こそがそうで、それまでは物凄く長かったスカート丈が一気に短くなっていった時代でもあった。


 それに伴い、露出された脚にアクセントとして現れたのが、このルーズソックスなのだ!そのルーツは、とある地方の登山靴下の「ブーツソックス」と言われていて、防寒の為に買って緩めて履いていた所、靴下のモコモコ具合から、相対的に脚が細く見えた事から流行したと言われている。だが!しかし同時期に東京においても、学校規定の「白いハイソックスを故意に緩めて履く」事が確認されている。


 その後、ルーズソックスは商品化され、さらに緩い形状の「スーパールーズソックス」や、200メートルという長さの、「スーパーロング・ルーズソックス」なども登場した。なので、ルーズソックスとは「長さの」名称では無い。


 そして全国にルーズソックスが広がった2000年代になると、ルーズソックス禁止の学校が増え、その姿を少なくしていったのだった。




「そうそう、マジ!トンボが止まっただけで、切れちゃうんでしょ?」


「まあぁ、そういう言い伝えだけらしいけどぉ。でもこれぇ、レプリカなのぉ!ホントの蜻蛉切は残ってないのぉ!!」


 本多は頭をかきながら、加藤に恥ずかしそうに答えた。

 

「でも!レプリカって言っても、蜻蛉切じゃん?それって村正むらまさ並みにヤバくね?ウケルwww!?」


 宝蔵院がヤバイと言うと加藤が言った。


「マジで!?村正ってあの正宗まさむねの弟子のー!?」


「そうそう!で、こんな逸話いつわが残ってて、超ウケルんですけどwww」


「えっ!なになに?マジでナニ?




 村正ってマジで、ナニーーーっ!?」


 加藤に聞かれた宝蔵院は、話を続けたのだった。


つづく

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