「再生機でオッタマゲー!?・②」

 さてさて授業も終りの時間になる頃、再生棟から女子生徒たちがワラワラと出てきた。それは、先ほど怪我や命を落とし、血染めやボロボロのセーラー服になった女子生徒たちだったが、今では再生棟の更衣室で、自分の置き制服に着替えていて、とっても元気になって出て来ていた。


「あー!クッソ、鞘乃にやられた!!」


 片腕をグルグル回して体の動きを確認する刀子。そして隠れた耳を出すために髪を、左右かきあげていた。


「私は伊達にやられて、今日は二度目の再生だピョンよ!てか、ブラにも大穴があいてたピョン!!お気に入りのブラだったのに~!」


 悔しそうな表情の柄恵。そして、それをムッとしてにらむ刀子。そんな二人の後ろから。


「私、臨死体験しちゃった!!」


「私も!」


「えっ!どんなの?」


「三途の川を渡りそうになったよ!!」


 という、他のクラスメイトの声が聞こえた。


「あれっ?てか、なんか目が変だよ?」


「えっホント!?鏡、鏡~!あー!目をプチ整形して、二重にしてたのにー!!首跳ねられて全身再生したから、整形が元通りになってるよー!!てか……




 あなた誰だっけ?」


「えっ?私、河合だけど……もしかして私も元通りに!?」


 真っ黒アフロヘアーに低くつぶれた鼻、そしてショボショボの目(*3д3)の河合は、クラスメイトに言った。ちなみに身長は160だ。


「えっ!てか、あなたホントに、あの河合さん?ホントにあの、河合苦無子かわいくないこさん!?Eカップのおっぱいも、ちっぱいになってるよ!?」


 クラスメイトは信じられない!といった表情で河合に言った。


「そうだけど」


「別人じゃん!だって河合さんは、目はパッチリ二重で、鼻だって高いし、髪は綺麗な金髪ロングストレートじゃん!!でも、眉毛は金じゃなかったけど!!」


「そうだけど」


「それが!ぺちゃ鼻のボンバヘッドだなんて!?」


「そんなに酷く言わなくても!!」


 シクシクと泣くボンバヘッド河合。


「超~!整形してたんだね!!(ホントは知ってたけど!!眉毛、黒かったしー!!)」


 と、クラスメイトが言うと河合は怒って言った。


「もう!小学生からずっと、おこずかい貯めて、春休みに整形したのにー!!全身再生なんて、超~最悪っ!!」


 そして大泣きになった。ちなみに苦無子の名前の意味は、忍者の苦無くないの用に丈夫で強くという思いからだ。


 とまあ、そんな騒がしい声を女子生徒たちか上げながら体育館に戻ると、体育館の中央では点呼がされていた。


「よし!再生された者も含め、全員いるな!それじゃあ、みんな体育館から出ろ!!館内洗浄を行う」


 五里田は女子生徒全員が体育館を出たのを確認した所で、体育館の扉を閉めると、扉脇のスイッチを押した。


 体育館は通常の体育館と違っていて、天井部から洗剤を含んだシャワーが出せるようになっているのだ。そしてその後、強力乾燥装置が稼働し、最後に消毒が行われ休み時間内に体育館内の洗浄と乾燥、消毒を終えるのだった。


 体育館から教室に戻る女子生徒たちの群れは、校舎に入ると次に体育館に向かう集団とすれ違った。すると、刀子と前から来た女の子と、互いの刀のつかがぶつかりそうになった。


「うわっと!」


 そして、刀子はよけたのだが、なんと自分の足につまずいて転んだ。


「イテッ!」


 刀子が声を上げた。


「大丈夫?ごめんね」


 すると、ぶつかりそうになった女の子が言った。


「ああ、大丈夫だ!」


 と、立ち上がった刀子が言った。その時、ぶつかった女の子のクラスメイトが、遠くから手を振り、ぶつかった女の子に声をかけた。


「先に行くね!」


「ごめーん、物子ぶつこ!先に行って!!」


 ぶつかった女の子は、そうクラスメイトに言ってから、刀子に向き合い改めて謝った。


「ごめんなさい、大丈夫?」


「ああ!オレが避け損なって転んだだけだ、気にすんな!!」


 と、刀子は言うと、ぶつかった女の子に向けて、グーにした左手の親指を立て、首を左8度に曲げてウィンクした!!すると、ぶつかった女の子はお辞儀をして体育館へ向かって行った。


「もう大丈夫、刀子ちゃん?おっちょこちょいなんだから!!」


 鞘乃が心配してるのかバカにしてるのか分からない声をかけた。すると柄恵が言った。


「てか今の、ぶつかった女の子。このセラ高校最速抜刀の奴だピョン!!確か、8組の貧子ひんこって言った気がするピョンよ。抜刀から納刀まで、本当に一瞬なんだピョンよ!!」


 柄恵の言葉に鞘乃が言った。


「最速!?凄いね貧子さん。でも、凄く気になってたんだけど、貧子さんのセーラー服、ぎだらけだったよね?」


 貧子のおっぱいは普通より、ちょっと大き目で、それで胸の継ぎ接ぎが強調されていたのだ。そして身長は165だ。


「継ぎ接ぎだらけだから、セラ高のシンデレラ!って呼ばれてるピョン……」


 ちなみに普通おっぱいとは、手の中に納まる、ほどよい大きさのおっぱいの事で、一般的にはCカップと言われている。


「たぶん、貧子の家は生活がキツいんだピョンよ……だから、汚れが目立たないよう、グレーの運動靴を履いてるピョンよ」


 柄恵は切なそうに言うと、それを聞いて刀子が言った。そうそう、貧子の靴下は、今日は紺のハイソックスだが、もらい物ばかりなので、日によって違うのを履いているのだ。


「そっか!家が貧乏だから貧子なのか!!」


「ちょっと!刀子ちゃん!!そういう事を大きな声で言わないの!!!」


 鞘乃に注意される刀子。だが、そんな話を聞いてはなく急に叫んだ。


「あー!!膝が擦りむけて、血が出てるー!」


 右膝からの出血に気が付き、騒ぐ刀子。


「てか、メッチャ痛-い!!」


チューチュー


 刀子は、しゃがんで立て膝になると、破れたストッキングの、血が出てる左膝を舐めていた。


「てか刀子ちゃん!黒いパンツ丸見えだから!!」


 慌てて注意する鞘乃。う男子生徒が、一瞬チラ見して顔をあからめた。立て膝で膝を舐める刀子の黒パンツは、ガーストとあいまって、美しいイヤらしさがあった。それは古代ローマ神殿に飾られる女神のように神々しいイヤらしさだった!


 でも、相手が「刀子」と知ると「触らぬ神にたたりなし!」と、ばかりに目をそむけ、さっさと小走りでその場を去って行った。


 鞘乃に注意された刀子だが基本、人の話を聞いてないので、違う事を考えていた。


「もう痛いから、また再生棟に行って部分再生で治そっと!!」


 と、刀子はスカートのホコリを払いながら立ち上がって言うと、伊達がすかさず言った。


「刀子さん?再生は出来ないですよ?」


「えっ!?」


「帯刀令の適応の、刀などでの傷以外は再生禁止ですよ?」


 伊達が言うのを聞いて柄恵がニヤリ!として刀子に言った。


「よし!刀子、左足を出すピョン!!私が治すピョン!!!」


 そう柄恵は言うと抜刀した。


「なっ、何する気だ柄恵!?お前、絶対、朝の仕返しだろ!?」


 柄恵は、滅茶苦茶!ニヤニヤしながら、あごをしゃくりあげ!!刀子に刀を向けて言ったのだった。


「いやいや善意ピョン!刀で右足を切り落として、足の傷を……




 治してやるピョン!!」


つづく

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