「ホントの斬り合い!?・④」

 柄恵の二つの大きな胸の間に、伊達のが突き刺さっている。


「――ぐふっ!いっ、いつの間にピョン?」


 心臓をひと突きにされた柄恵。伊達の刀は、大の男でも突き刺すのが大変な、胸骨きょうこつつらぬき、心臓にやいばを立てていた。しかし、凄いのはそれだけではなかった。伊達は……


 刃を下に向けて「引き切る」ようにして抜いたのだ。


「おお!さすがは伊達」


 それを見た五里田が、感嘆かんたんの声を上げていた。この動作は固い物を刺した時に、特に重要な動きなのだ。


 実際、らした畳などを刀で貫いて、抜こうとしてみればすぐに分かるが、差したままで、真っ直ぐに抜こうとしても、挟まれた刃は抜けない!(だから、柄恵は刀子の鉄板入り学生カバンから、刀を引き抜けなかったのだ)


 だが、切る動作をする事で、隙間が生まれ、抜く事が可能となる。これがまた難しい動作なのだが、伊達はすんなりとやってのけたのだ!!


「ううっ!!」


 柄恵が嗚咽おえつを漏らす。柄恵の胸から伊達の刀が抜かれた事で、心臓の大量出血と機能停止が起こり、急に全身の力が抜けていった。そして――


バタンッ!!


 柄恵はうつ伏せに倒れた。柄恵は、どうやって自分が、ひと突きで倒されたのかは分からないまま、倒れた拍子に、めくれたスカートから「黄色いパンツ」を丸出しにしながら、意識を失い即死したのだった。


 なお!伊達の動きはこうだった。柄恵と背中合わせの伊達は、「勝負!」のかけ声と共に、右手で柄をつかむと、左足を思い切り後ろに下げていた。柄をつかんだ右手は、そのままの位置にあり、左足を下げた事で、その腰の動きを使い、左腰の鞘を下げ抜刀を行った。


 ちなみに柄の握り方は、柄に対して真横からの握りとなっている。なので、抜刀をし右手をひねると、上を向いていた刃が下になりながら、切っ先が相手に向かっていった。そしてそのまま左から後ろへと振り向いた伊達は、左手でも柄を握った。これで両手持ちとなった伊達は、さらに右足で踏み込んでいったのだ。


 この時点で柄恵も振り向き真上に刀を構えているのだが、時すでに遅し!柄恵が刀を下ろす前に、伊達の刀が柄恵の心臓を突き刺さていたのだ。


 伊達は即死した柄恵を見ながら――


「ふうっ」


 と、大きく息を吐くと、刀をブンッと振り、付いてた血を飛ばした。


――ビチャッ


 飛ばされた柄恵の血は、体育館の床に飛沫模様ひまつもようを作っていた。


「凄いな伊達!!」


 五里田が改めて伊達に、拍手と共に賞賛の声をかけたのだった。


 さて!その隣では、刀子と鞘乃の合わせ立ち合いが行われていた。


「「勝負!!」」


 背中合わせの刀子と鞘乃はお互い、一気に距離を取った。が、距離を取りながらすぐに抜刀を終えた鞘乃に対し、やはり、たどたどしくなる刀子の抜刀は遅かった。


――ガチャン


 その上、慌てて抜いたので刀を床に落としてしまった!


「ちょ、待ってくれ!」


 と、刀子は思わず叫んでいた。そう言われて鞘乃は、つい刀を鞘に納めてしまった。


「こら、鞘乃!相手を倒す前に、勝手に納刀のうとうするな!!」


 五里田の注意が飛ぶ。


「もうー!刀子ちゃんのせいで、注意されちゃったじゃない!!次ぎはホントに、待った無しなんだからね刀子ちゃん!!」


 鞘乃は刀子に文句を言った。


「うわっ!イッテー!親指切ってた!!」


 そんな鞘乃の文句など聞いてない刀子は、自分の左手を見ると親指の腹がパックリと割れ、タラタラと血が流れ出ていたのに気づき、とても痛がっていた。


「じゃあ、もう待った無しだからね!!」


ふぁがったお分かったよふぁがの鞘乃~!!」


 チューチューと親指の血を吸いながら答える刀子。そしてもう一度、刀子と鞘乃は背中合わせになった。


「「勝負!!」」


 パッと互いに離れる鞘乃と刀子。刀子は、左腰の刀の柄に右手を伸ばすが!やはり、抜くのがゆっくりになってしまう!!


「遅いよ刀子ちゃんっ!!」


 すでに抜刀を終えた鞘乃が、あっという間に刀子に向かって刀を振り降ろした。




――ボトンッ!


「うあっ!腕がない!!」


 抜刀途中の刀子の右手首が切り落とされた。


 慌てた刀子は、手首が無くなったにも関わらずパニックから、手首の無い手で、ひたすら腰の、鞘から飛び出していた刀をつかもうとしていた。その時、刀子のアゴがわずかに上がったのを鞘乃は見逃さなかった。


「刀子ちゃん!ごめんねー」


 そう、鞘乃は言って一歩出た。


―――サクッ


 鞘乃の突きが、吸い込まれるように刀子の喉元に刺さった。


「――ごぼっ」


 すると刀子が、何かを言おうとしたのだろう、でもそのせいで気管から血が溢れだし、口から言葉にならない濁音と共に、血を吐き出していた。


 それでもパクパクと口を動かす刀子を見て、すぐに鞘乃はとどめを差す為、刀をねじって横にし、刀子の 頸動脈を切った。


ピュ―――ッ


 刀子の首からは複数の弧を描き、血が吹き出ていた。そして、白目を出し天を仰ぐと間もなく。


――バタッ


 と、刀子の体が横に倒れた。倒れた拍子にスカートの前がめくれ、ガーターストッキングが丸見えになり、かつ、ガーターの上に履かれた「黒いパンツ」が丸見えになっていた。そんな刀子を気にもせず。


「ハア―――っ」


 鞘乃も伊達のように、いや!意味合いとしては「つまらぬものを斬ってしまった!」な感じに大きく息を吐くと、刀に付いた血を降り飛ばす為、ブンッと刀を血振ちぶりした。


――ビチャッ


 柄恵に続き今度は刀子の血が、体育館の床に飛沫模様ひまつもようを作っていた。


 さてさて、刀子や柄恵のように息絶え黙った生徒の体は、体育館のアチコチに倒れており、生首も転がっていたが、そんなのは「良い」ほうで……

 

「痛い!痛いよ!!」


「お母さーん!」


「だっ、誰か助けて!!」


 体育館の床には、指や腕、足首なども転がっており、特に腹をやられた者の痛みは凄く!!


「痛いっ痛い!誰かー!とどめをさして!お願いーーーっ!!」


 絶命してない者は、その耐えがたい痛みや苦しみに床を、のた打ち回り、うめき声をあげていたのだった。


つづく


☆次回予告



「おつかー!!刀子ちゃん」

「ああ、おつかー!鞘乃」

「お柄だピョン!刀子」

「ああ、お疲ー!柄恵」

「てか、なんだピョンよ!刀子のお柄が、お疲になってるピョンよ!?」

「おつかがおつか?何言ってんだ柄恵!?」

「ちょ、ちょっと柄恵ちゃん!!」

「帯刀少女の挨拶だピョン!!お疲れ様のお疲ー!は、お柄ー!なんだピョン!!」

「はあー!?」

「字を見れば分かるピョンよ!!」

「字ってなんだよ?字って?どこに字があるんだよ!?」

「もう!柄恵ちゃんやめてー!!」

「刀子!目を覚ませ!これ小説なんだピョン!!」

「???」

「もうおおお!柄恵ちゃん。メタ発言やめてよおおお(#゚Д゚)!!」

「ヤバッ!鞘乃がキレた。次回!


 再生機でオッタマゲー!?


 だピョン!!」

「ていうか刀子ちゃんパンツ、ガーターの上から履くんだね?下じゃないの!?」

「知らなかったのか?ホントはそうしないと、トイレの時いちいち紐が引っかかって、パンツ脱げねーんだよ!!」



――また読んでね!

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