「鞘乃の恋?女槍騎士来日!?・①」
「「勝負!!」」
―――シャキン!
――ザンッ!!
背中を互いに合わせてからの、合わせ立ち合いでは、いつも抜刀が遅れ、負けてばかりの刀子だったが、
「やった!勝ったぜ!!」
力強くガッツポーズをする刀子。素早い抜刀が出来るようになった刀子は、眼を見張る早さで上達していった。
「さあ!次ぎの相手は誰だ!?」
どんどん試したい刀子!そして、その度に自信をみなぎらせていく刀子だった。
「居合師範!これは凄いですね!!」
五里田が驚いていた。
「ああ、特に下からの抜刀は、幕末に恐れられていた
「まさに抜き打ちですね!」
「ああ!そして、その光景を見た者が、つい守りに入りながらの、浅い切り付けになってしまうと、脇からの逆袈裟を食らったり、そうでなくても小手が飛ぶ。とてもやっかいな太刀筋じゃよ!!そもそも示現流は、
「まさに鬼に金棒ですね。あの新撰組の近藤勇が、「
五里田はたじろいで言った。
「次!誰か次ぎは居ないか!?」
刀子は、面白いように次々と相手を斬り倒していく。
「鞘乃!相手をしてくれ!!」
「ちょっと、勘弁かな?」
「じゃあ、柄恵!!」
「絶対にイヤだピョン!!」
一撃で斬り倒される、その様子を見ている周りの女子からは、名乗り出る者は居なかった。
「てか!日本刀ってマジでスゲーよな!何人斬っても斬れ味が落ちねーよ!!まあ、牛刀とか考えれば、そりゃそうか!!」
と、刀子は日本刀を自分の顔に近づけると、舐めるような勢いで言った。
その時だった。
「いいですよ!ボクがやりましょう」
すると、1、2組最強の伊達が名乗りを上げた。
「「勝負!!」」
背中を合わせてからの、立ち合いが始まった。
「チェストーーー!!」
下抜刀からの刀子の初太刀。
―――シャーッ!!
それを伊達は、素早い上抜刀の抜き付けで上から押さえるように、刀子の切っ先を右の
――ガチンッ!
そして、
刀子の刀の切っ先が少し欠けた。ならばと、刀子はすぐさま、刀を左に回し上段に構えると、振り降ろしを連打した。
「オリャアアアア!!!」
その振り降ろしの連打を、刀身をバネの様にして左右に弾き、すんでのところで
「伊達が押されてるピョン!!」
伊達への猛攻をかける刀子!もともと刀子が、運動神経は良い方なのと、持ち前の気迫や根性が作用し、花開いたという感じだった。
――シャーッ!
―シャーッ!!
鎬同士!金属同士がこすれ合う音。すると五里田が叫んだ。
「とっ、刀子が、あの伊達を!?おい!みんな!手を止め二人の戦いを見学しろ!!これは滅多に見られない戦いになるぞ!!」
良い戦いを見る事もまた、良い勉強となるからだ。
「キエー!!!」
伊達が踏み込んで斬ると、刀子は両手で握った
「オリャ!!!」
そしてすかさず刀子が、逆に伊達に斬りかかるが、伊達も同じく 柄頭を上げ、刀身を肩に付け、刀身の背から鎬を使い、刀子の刀を滑らし流した。そして、互いに切っ先を相手の中心に向けたまま、距離を取る刀子と伊達。
「凄いピョン!!」
と、柄恵が感嘆の声を、漏らすのも束の間!
「キエー!!!」
「オリャ!!!」
「キエー!!!」
「オリャ!!!」
先程の滑らし流し打つ!!を、二人は高速で繰り返した。
「キエー!!!」
「オリャ!!!」
「キエー!!!」
「オリャ!!!」
雄叫びを上げ、流し打ちを繰り返す二人。かと思うと一転!
―――ギシッ!
――ギシギシッ!!
互いにさらに一歩 、踏み込んでの
「初太刀で切っ先を
居合爺ちゃんは嬉しそうに言った。まさに文字通り刀子と伊達は、互いに
◇◇◇
「刀子ちゃん!凄いね!五里田先生が、お前も抜刀祭に出ろ!!って言ってたね」
鞘乃は刀子に言った。鞘乃たちは体育館を出て、自分たちの教室に向かっている所だった。
「ああ、スゲー!嬉しかったぜ!!てか、鞘乃はどすんだよ?」
「どうするって?」
「抜刀祭だよ!出るんだろ?それなりに上手いんだから!!」
「私はいいよ!!痛いのイヤだし」
「私は出るピョンよ!!」
「えっ!柄恵、マジか?」
「そうピョンよ!!いけないピョンか?」
「いや、お前、鞘乃より弱いじゃん?」
すると、柄恵が体を震わせ。
「弱くちゃ!出ちゃいけないピョンかっーーー!?」
と、いきなりキレた!!
「いや、抜刀祭は他校との、ただの高校交流の祭だし、出たい奴が出られるからなあ。アハハハ」
刀子は自分から言ったつもりだったが、柄恵の強い意思を感じ、なんだか、言ったのが悪い気になり、笑って
「ボクも出るよ!」
刀子が振り返ると伊達が居た。場の空気を読んだのか、刀子は伊達が言ってくれた事で気まずさが薄れた。
「おお!伊達ならそうだよな!!」
刀子は、今さっきまで一応、命をかけて戦った者同士な雰囲気を、かもし出して言った。
「でも結局、伊達は倒せなかったなあ!!」
刀子が残念そうに言った。
「仕方がないよ刀子ちゃん!先生もギリギリまで待ってたけど、休み時間のチャイムが鳴っちゃたんだから!!引き分けだって凄いよ!!!」
と、鞘乃。
「そうそう、刀子さんの刀!先が少し欠けちゃったけど大丈夫?」
すると伊達が心配して言った。
「ああ!帰ったら研ぐぜ!!」
刀子が言うと、鞘乃が慌てて言った。
「えっ!ええっ!?研ぐの?研げるの?
鞘乃は、目が飛び出るぐらいに驚いたのだった。
つづく
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