「つまりは抜刀の仕方!?・①」
刀子たちが、いつものように体育館に行くと、身長150ほどの
「あのジジイは誰だ?」
と、刀子。
「ちょっと刀子ちゃん!指を差して言わないの!!」
慌てて鞘乃が言った。すると、女子生徒が集まった所で、五里田が説明した。
「今回から
と、五里田が言い終わると同時に刀子が言った。
「ホントの剣術って言うが、ジジイは人を斬った事あんのか?てか、その腰の刀は本物か?」
「こら刀子!なんだその口の利き方は!!」
五里田が刀子を注意した。
「フォフォフォ!刀は本物じゃよ」
居合爺ちゃんは笑っていた。
「まったく、自分の監督が未熟で、生徒が失礼な事を言い申し訳ありません」
五里田が居合爺ちゃんに対して深々と頭を下げた。
「まあまあ」
と、やんわりな居合爺ちゃん。
「刀は本物かあ!でも、本物に斬れるのか?人を斬るのは難しいんだぜ?」
「この平和な世の中で、帯刀令なくして人を切ったら犯罪者じゃな!この”平和な”世の中では……」
居合爺ちゃんの言い方に引っかかった刀子は改めて聞いた。
「で、あんのか斬った事?ホントの剣術って言ったろ?」
と、刀子が居合爺ちゃんに言うと、居合爺ちゃんは刀子の前まで、スススっと歩いて行き、そして言った。
「では、その質問に答える為に、まずはワシに斬りかかってみるかの?」
明らかにヨボヨボで今にも倒れそうな、お爺ちゃんに向かって、さすがに斬りかかるのがためらわれた刀子が聞いた。
「えっ、マジでいいのか!?」
そのヨボヨボの体からは想像出来ないような、
「ああ、そうそう、抜刀してからで良いぞ!」
「じゃあ」
なので刀子は、たどたどしく抜刀した。そして、かけ声と共に居合爺ちゃんに斬りかかった。
「とうー!!」
その瞬間、ヨボヨボ爺ちゃんがビシッ!と変身した。振り下ろされた刀子の刀を、居合爺ちゃんは目に止まらぬ抜刀で――
シャーッ
金属同士が擦れ合う音とともに、刀子の刀を
――バシッ!
居合爺ちゃんは刀の腹をバネのようにして、刀子の刀を
「うわっ!」
―――ドタンッ!!
刀ごと、ぶっ飛ぶ刀子。
――スッ
次の瞬間には刀子の頭上に、居合爺ちゃんの
―――ブルブルッ
『死んだ』
刀子は身震いしながらそう思った。
「ワシが高等学校の
――ジロリッ!!
その目は、物凄い真剣さがあり、迫力があった。
「うわっ!ああっ」
『死ぬ!死ぬ死ぬ死ぬ!!魂しいも残らず、死ぬ!!!』
刀子は恐怖のあまり、後ずさりした。そして、心の中で般若心経を唱えた。
「さて、これで先ほどの質問、人を斬ったか?の、答えにしてくれぬかな?」
居合爺ちゃんは、ゆっくりと納刀しながら、先ほどの目とは打って変わって優しい目になり、刀子に笑って言った。
コクコク、コクコク……
刀子は黙って、何度もうなづいていた。そこで五里田が改めてみんなに言った。
「よし!これから師範に見てもらいながら、抜刀の練習を始める。まずは抜刀から……
抜刀!!」
―――シャキッ!
――シャキ、シャキ、シャキンッ!!
女子生徒たちが、刀子をのぞいて一斉に、刃を上にして抜刀した。いや、抜刀はしたが、変な抜刀をした者もいた。
「こら忍者!何度言ったら分かる!!忍者は背中から抜くな!まずは、基本を覚えるように!!」
「えー!
すると、みんなの笑い声があがった。
「次、
女子生徒たちが、刀子をのぞいて一斉に、鞘を横に回してから抜刀した。
「よし!では次は、抜刀の抜き付けだ!では始め!」
皆が一斉に、刃を上に抜刀をすると、五里田が叫んだ。
「伊達!違うぞ!!」
その瞬間、女子生徒全員が、まさか!と思って伊達を見た。
「えっ?伊達さんが間違えた!?」
「うそ!そんな事あるピョンか?」
五里田に注意された伊達は、やってしまった!という顔をしていた。
「先生、済みません。抜き付けと聞いてボク、つい横抜刀からのをやってしまいました」
すると、居合爺ちゃんが伊達に向かって言った。
「お譲ちゃんは、どこかで習っているな?」
「はい、伊達の子孫なので小さい頃から剣術を習っております」
「フォホホホ!そうかそうか。まあ、
その居合爺ちゃんの言葉を聞いて刀子が言った。
「てか、抜き付けって、なんなんだ?」
「刀子ちゃん、ホント!ちゃんと話を聞こうね!!今、分かったけど実は、抜刀が遅いから、回りに動きを合わせてただけなんだね!!」
「えへへ!ばれたか。で、抜き付けってなんだ?そういや、夜でも
「もうー、刀子ちゃんのお馬鹿!
「そうなのか!今、知った」
「今、知ったじゃないよ!そんで五里田先生が言ってたでしょ?抜き付けは、とにかく抜いて当てる為の動きって!!あと、抜いて本当に斬る動きが抜き打ち!でしょ?」
「ああ、何かそんな事、言ってた気がするなあ」
刀子は頭をかきながら鞘乃に言った。すると……
「その通りだ鞘乃。とにかく
と、五里田が改めて話し始めたのだった。
つづく
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