「槍なのに帯刀って!?・①」
「なので、この現在、
「はい!せんせー」
四角い眼鏡をし、背広を着た政治経済の男性教師が、法律の具体内容を説明していると、刀子が手を上げ質問した。
「何かな?刀子さん」
「打刀って何?それと太刀って?」
話の途中で切られたのだが、政経教師は嫌な顔、一つせず刀子に答えた。
「打刀とは今、刀子さんたちが腰に差している刀の事で、差し方は
「長さが違うのは分かったが、何で差し方が違うんだよ!?」
「ちょ、ちょっと刀子ちゃん?言葉使い!!」
鞘乃に指摘され言い直す刀子。
「差し方、違う、なぜ?」
「なぜ片言の日本語になるの!?」
「言葉使いを直そうとすると、話すのが難しいんだよ!!」
刀子のしゃべり方に突っ込む鞘乃!それを見ながら苦笑いの政経教師は話を続けた。
「太刀は元々、侍が馬に乗っての
「ようは、長くて片手持ちが太刀なんだな?」
「その通りです!さて、時代が変わり、侍だけでなく農民も戦に参加し歩兵の足軽が登場すると、長い太刀ではなく、短く曲がりも緩い刀が登場します。その刀は鞘からの抜く動作と同時に、
「なるほど!すぐ相手に打てるから
「そして、打刀では
「へー!差し方が違うのは、そういう事なのか」
「もっと詳しく知りたいのなら、歴史の先生に聞くといいと思います」
「分かった!サンキュー先生!!」
本当に分かったのかどうかは怪しいが、刀子は納得したようだ。それを見た政経教師は授業を進めた。
「話を戻しますが、
「そういや、槍を持ってるやつが他のクラスにいたなあ!帯刀って刀の事なのに、何か変だと思ってたけど、オーケーだったんだな!!」
また刀子が言った。黙ってられない所が刀子らしい。
「そうですよ、槍も帯刀です。そうそう余談になりますが、8組までクラスがある中、奇数クラスに槍の生徒を入れる予定でしたが、現在、この1組だけ槍の生徒がいない状況です」
「なんで居ないんだ?槍をやる奴が少ないからか?」
「それもそうですが、本来なら4月から入学だった生徒がいたのですが、家庭の事情だそうです」
「ふーん!それは残念だな!!」
刀子との話の区切りがついた所で、政経教師は話を戻した。
「えー、で、刀剣以外の特例の話になりますが、特例として銃もあります。それは一発ずつ玉を込める
現代銃の使用においても、弾倉に一発だけの装弾とし、以後は弾を弾倉に込める行動で単発と同様になる場合、可能となっています」
政経教師が銃と言った途端、バンッ!と、机を叩いて刀子が立ち上がった!
「えっ!マジかよ、銃もありなのかよ!?」
「そうですよ」
「機関銃でも!?」
「そうですよ機関銃でも、銃なら何でも可能です」
「それってズルくねーか!?」
刀子は激しく怒っていた。長い黒髪が逆立ち、無数の蛇のようにうねった。
「とっ、刀子ちゃん!良く聞いててよ、単発だって!!」
「鞘乃は黙ってろ!じゃあバズーカでもいいのか!?まさか、ソレはねーだろ!?」
「そうですよ刀子さん。バズーカでもグレネードランチャーでも、もちろん日本の
「ばっ、バズーカがオッケーかよ!?てか……
おっ、おおづつって?」
分からない言葉に首をひねる刀子。なので鞘乃が教えた。
「大筒って、昔の日本の大砲の事だよ」
「なんだそういう事か!てか、大砲もありなんて、ズルすぎだろ!!禁止しろよ!!」
「だから単発なんだよ!」
鞘乃が強く言った。
「短髪?なんで、ショートヘアならいいんだよ!!」
刀子の、その言葉にホトホト呆れる鞘乃。
「あのね刀子ちゃん!もう少し言葉を覚えようよ!小学生じゃないんだから!!髪の短い短髪じゃなくて、1発ずつの単発って意味なの!だから、もし相手が機関銃だとしても大砲だとしても、連発は出来なくて1発だけしか撃てないの。で、外れたら、また弾を込めるの」
「なるほど!1発ずつか!!大砲や機関銃なら重いから大変だろ?それなら、戦いになるな!!」
鞘乃の説明を聞いて、やっと理解した刀子。話が終わったようなので政経教師は再び話を始めた。
「鞘乃さん、ご説明ありがとうございます。そうなんですよ、機関銃や大砲も可能ですが、本当に大きいのは非常に重いので持てたらですよね。だから実際に使うとしたら、間を取って散弾銃に
「銃剣ってなんだ?」
政経教師の言葉に刀子が質問した。
「散弾銃やライフル銃などの先に、
「脇差しの長さって?」
「1尺以上、二尺未満。なので、30センチ以上、60センチ未満ですね。刀子さんたちが帯刀している刀を
「読み方の事はよく分かんねーが、そんな刀が銃の先に付いてんのか!それなら抜刀しなくていいな!!」
刀子は目を輝かせた。
「ですが、銃刀法との兼ね合いにより18才以上でしか銃は保有出来ません。それ未満はエアガンのみです」
「なんだよソレ!?じゃあオレは3年生にならないと、ホントの銃を持てないのかよ!?」
「そうなりますね。でも一応、エアガンも殺傷力ありますよ。破壊力は違いますがね。さて、ちなみに種子島銃以外のライフルや機関銃、拳銃やバズーカなどは帯刀法でのみの保有となります。ここで問題があるのですが、帯刀法では16歳から18歳のまでの女子高生が帯刀の対象となっています」
すると柄恵が言った。
「そうピョンか!3年生になって誕生日を迎えると帯刀出来ないって事ピョンか!?」
それを聞いた刀子は、焦って政経教師に吠えたのだった!
「じゃあ、結局!
銃が持てねーーーじゃんっ!?」
つづく
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