「ホントの斬り合い!?・①」

 休み時間の教室。廊下側の後ろの席に、銀髪セミロングの、バータイはネクタイ結びになっている、とっても可憐かれんな少女がいた。


 そう!見ていると、小さな花が一面に咲いた草原に、座ってたたずんでいるような、本当に可憐な少女なのだ!!透き通るような白い肌に、愛くるしい眼!超絶可愛い可憐少女!!でも、その右目には、およそ可憐からかけ離れた物があった。


 それは真っ黒な――




 「眼帯」だった。




 その眼帯は、病気や一時的な怪我での、いわゆるガーゼのたぐいの眼帯ではなく、目が見えぬ者が付けるような、紐で斜めに付けられた眼帯だ。それも真っ黒で武骨な感じの眼帯だった。


 そんな、誰から見ても明らかに独眼どくがんな、銀髪セミロングの可憐少女に、耳出し姫カットでサラサラ黒髪ロングストレート、切れ長の目に右目に泣きボクロの超絶美少女の刀子が近づくと、眼帯についてサクッと話かけた。


「お前の片目、いつから不自由なんだ?」


 すると、そのド直球発言に驚いた、黄色の長い髪を上の方でツインテールした少女、柄恵が慌てて飛んで来て刀子に言った。


「ちょ、ちょっと刀子!それはいきなりなんでも、失礼だピョン!!」


「そうなのか?でも、もう同じ1組の仲間だろ?」


 そう言う刀子の視線の先には、独眼可憐少女の胸があった。刀子が馴れ馴れしく独眼可憐少女に話しかけたのには理由があった。それは……




 「おっぱい」だ!




 少年の様な胸の刀子。そして、目の前の独眼可憐少女の胸も同じく……




 「少年」だったからだ!!




『おっぱいは決して裏切らない!』


 と、思っている刀子。なので刀子は、とっびきりの親しみを勝手に、独眼可憐少女に感じていたのだった。


「刀子そうだけど~。でも、まだなったばっかりだピョン!」


 すると独眼可憐少女は、刀子と柄恵に向かって、ニコリとしながらこう言った。


「二人は仲が良いのですね!ボク、とってもうらやましいです☆.。.:*・゜」


 独眼可憐少女は、首を左に8度に曲げると口元に、左手をグーにしながら近づけ言っていた。


 余談だが、首を左に8度に曲げて笑うと、可愛さは「2割増し!」と言われている。(稀に例外は存在する)


 確かに伊達のその仕草は、誰から見ても可憐で可愛く、独眼であっても伊達の場合は「5割増し!」に超絶可愛いかった。なので再び辺り一面が、お花畑!になった。その瞬間!


「「「おおっ-!!」」」


 すると冬は紺の学ラン、夏は白い半袖Yシャツの男子生徒たちが声をあげた。それと同時に「仲がいい!」の言葉に、刀子と柄恵は目を見合わせて、ハモって驚いた。


「「ええっ!?」」


 そんな事を独眼可憐少女に言われたものだから、二人は大慌てで、とっても嫌そうに互いをののしった。


「てかオレ、元気だけが取り柄!の元気バカ柄恵に今朝、襲われたし!!」


「私なんか、見た目だけ!!の性格ブスブス刀子に、待って!って言ったのに、首チョンパされたピョン!!」


「それは柄恵の、おぱっ!」


「おぱっ!ってなんだピョン?てか、後先考えずに斬って!目が覚めたら制服が血塗れだったピョン!!」


「それはオレだって同じだぞ!朝からシャワー室に行ったんだからな!!」


 その言い合う様子に、独眼可憐少女はクスクス笑った。


「あれ?笑ってりゃ!!」


 なので刀子は頭をかきながら、改めて話を戻した。


「そうそう、片目が不自由だと刀は大変だろ?右側からの攻撃が見えないだろ!?」


 すると独眼可憐少女はまた、ニコリとしながらこう言った。


「大丈夫ですよ。穴があいているので、ちゃんと見えています!」


「「えっ!?」」


 その言葉に、驚く二人!!そして二人は改めて、独眼可憐少女の真っ黒な眼帯を良く見た。すると何かに気がついた。


「あれっ?その眼帯は刀の部品じゃねーか!!えっとお、なんて言ったっけ!?」


「あっ!その眼帯は、刀のつばなんだピョン!!」


 柄恵の言葉に、刀子はハッとした。


「つっ、鍔ってアレだろ?あの、あごみたいな字のやつだろ!?よく時代劇小説なんかを読んでると出てくる字で、出てくると一瞬、顎なのか鍔なのか、どっちの事を書いてるのか?分からなくなるっていう迷惑な字のやつだろ!?」


 すると柄恵が文句を言った。


「あーもう!刀子の話は、ややこし過ぎだピョン!!」


 二人のやりとりを、ニコニコして見ている独眼可憐少女は言った。


「そうです、鍔ですよ!でも本物の鍔だと、固くて痛いので、鍔に似せた革製の眼帯をボクはしています」

 

 と、独眼可憐少女は、たとえ武骨な眼帯をしていても、文字通り可憐な笑顔を浮かべて、二人に言っていた。


「なるほど!よく見れば、刀の刃が通る所から、向こうが見えるって訳なんだピョン!面白いピョン!!」


 と、柄恵は関心して言った。


「じゃあつまりは……コスプレか!?」


 関心する柄恵とは正反対に、ややバカにするかのような言い方の刀子。でも独眼可憐少女は、気にした様子はなくニコッと笑い、そして可憐でキラキラした声で言った。


「ボクのは違いますよ☆.。.:*・゜」


「えっ!じゃあ、どういう理由なんだ!?」


 刀子が首をかしげると独眼可憐少女は、右手の人差し指を伸ばして言った。


「ヒントは、ボクの名前です!」


 すると柄恵が突然、声をあげた!


「あっ!私、分かったピョン!!」


「えっ?なんだよ柄恵~!?」


「刀子は分からないピョ~ンかあ?まあ、日本史とか苦手そうだピョン!!」


 ニヤニヤする柄恵。


「ちょ、バカにすんな柄恵!ちょっと度忘れしてるだけだろがっ!!」


 刀子が言うと独眼可憐少女は、今度は右手をチョキにして言った。


「第二ヒント!子孫なので、こんな眼帯をさせられています!!」


 そう言って、苦笑いの表情の独眼可憐少女の言葉に刀子は、本当に思い出した。


「あー!思い出した!!そっか、お前の名前って……




 伊達だてだもんな~!!」




 刀子の言葉に独眼可憐少女の伊達は、ウンウンうなずいて、こう切り返した。


「そうなんです!伊達だけに、これでは本当の……




 ”伊達眼帯だてがんたい”になってしまいますよね~!!」




 その瞬間、刀子は吹き出しながら伊達に言った。


「ブフッ!!おまっ!自分で言うか~!?」


 刀子の砕けた言葉に、改めて3人で大笑いした。その時、鞘乃の大きな声がした。


「ほら、みんな!次ぎは、刀の授業だよ!早く体育館に行かないと、授業が始まっちゃうよ!!」


 鞘乃の声に、3人は慌てて体育館へ移動したのだった。


つづく


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