第20話
安井を仲間に入れてからは、半日、ジャングルを探索していた。途中で、候補者の敵襲や、魔物に襲われたが、アニエスは貫通撃を発動したり、安井は弓で矢を放つなどして返り討ちにしていた。
安井が加わったお陰で、戦力が上がり、アニエスの負担も減った。
あと、安井は「これ、あった方が良いだろ」と言って、俺とサーラに先程のアニエスの砥石の材料である鉄鉱石を使って、剣と盾を『クリエイト』で作ってくれた。
剣は切れ味はあんまりなさそうだし、盾もすぐ壊れそうな出来だが、材料が材料だ。仕方がないけど、ないよりはマシだ。
「でも、俺、剣術とか使えないぞ?」
「そこら辺はあの嬢ちゃんに聞けよ。基礎中の基礎ぐらいだったら覚えられるだろ」
そうだった。うちには騎士であるアニエスがいるではないか。ジャングルの探索の休憩中とかに教えて貰おうか
「サーラは剣使える?」
「少しは…………」
「え!?使えるの!?」
「お稽古で………」
「なるほど」
そうか。王女となれば、剣術とかも習うのか………と、納得した。
「けど、私はアニエスに剣術教えて貰います。神業が使えなくても、皆さんの力になってあげたいです!」
サーラは真剣な表情をしていた。俺はそれを見て、微笑みながら、
「一緒に、強くなろう!!」
「うん!!」
そうだ。神業が使えない以上、生き残るためには己自身が強くならなくてはいけない。俺とサーラは早速、アニエスの方に行き剣術の基本を教えてもらうようお願いしにアニエスの方へ行った。
♦︎♦︎♦︎
あれから、すぐに俺とサーラの訓練が開始し、剣術について学んだ。俺は全然ダメダメなので、まずは剣の振り方から始まったが、サーラは元々学んでおり、筋も良いそうなので型を習っていた。その間、安井は周囲を探索して、能力に使えそうな材料探しをしていた。
「よし………、ここまでにしよう」
鬼のような地獄のメニューが終わり、ちょうどお昼の時間になりかけていた。俺とサーラは膝から崩れ落ちて疲れの篭ったため息をこぼす。
「はぁぁぁ、疲れたぁぁぁ!!」
「想像はしてましたけど、思ったよりも辛かったですね」
俺はともかく、サーラも10歳にしてあのメニューをやり遂げたのは凄い。アニエスの反応も良かったし、早いうちにすぐに戦えるぐらいの力を身につくだろうな。
俺は、だって??ハハ、察しろよ。
「もう、お昼だし、メシとしようぜ。ほら」
「「「おぉーーー!!」」」
目の前には、木で出来たテーブルにイス、そしてテーブルの上にはヤシの葉ではなく、ちゃんとした皿に乗っている肉やら魚、野菜など、めちゃくちゃ豪華な料理が並べられていた。
「これ、全部おっさんが作ったんか??」
「おっさん言うな!!まぁ、俺の能力にかかればこんなん楽勝よ。神業使いすぎてヘロヘロだけど」
そう言って、安井はイスに座り込む。汗も出てるし息が荒い。本当に疲れているようだ。
「神業ってそんな疲れるのかよ?」
「当たり前だろ。神業の源は俺達の中にある天使の遺伝子だぜ??当然、使えば疲労は溜まるに決まってるだろ」
「アニさんはバリバリ使ってるけど何もないぞ」
「あれは、嬢ちゃんの体力が異常なだけだ。元・騎士と元・社会人を比べたらダメだ」
安井の言葉で納得した俺は、サーラとアニエスを椅子に座るよう促し、昼食をとった。どれもこれも美味しくて、手が止まらない。安井を仲間にして正解だった。
当初は安井を、嫌っていたサーラも安井の料理の虜となっていた。時々、「や、やりますね!!」みたいな反抗的な態度をとるが、サーラは肉をガッチリと掴んでいた。
サーラさん………説得力ないよ??
「てか、この試練が始まってもうすぐ24時間経つな。」
果汁ジュースを飲んでいた安井が腕時計を見て呟いた。俺も釣られてミル時計を見る。時計は76:03と記していた。
確かに、あと数分でこの試練が始まって1日が経とうとしていた。
「そうだな。これから先、どうなるか分からないからお互い助け合って行こう!」
俺の言葉でアニエスは「無論。任せろ」と胸を張って言い、サーラは「私も頑張る!」と気合いが入り、安井は「かっこいいねぇ!リーダーさんよ」と少し煽りを入れてきた。まぁ、これぐらいは許せる範囲だ。
そして、ミル時計が76:00と記すと
"ピリリリリリリリリィィィーーーーーー!!"
と俺とアニエスとサーラと安井の腕時計が鳴り響いた。
残り時間76:00
神様候補者残り5981人
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