第19話
「私は、こいつを仲間にした方がいいと思う」
「は!?」
非常に驚いた。この中で、1番反対しそうだと思っていたアニエスが安井と同行するという意見を出したのだ。
「この男の能力はこれから先に役に立つだろう。同行させるべきだ」
「確かにそうかも知れませんけど、少なくとも俺を殺そうとした奴ですよ?信じられますか?」
「私が常に監視をする。怪しい動きをしたら、真っ先に殺すことを約束しよう」
アニエスは「私の意見はこれで終わりだ」と言い、静かになった。そして、次にサーラが挙手をする
「私はこの人と同行するのは反対です。アニエスの意見も分かるけど、お兄ちゃんに手を出したのは事実だし……。」
サーラは反対派のようだ。この意見を聞いてもアニエスは静かのままだった。
俺はサーラに
「じゃあ、もしサーラだったら、この男どうする?一応、俺はこいつに殺さないという約束だけしてあるけど」
「私だったら、動物さん達に協力して貰って私達が離れてからのある程度の時間の間見張ってもらいます。先程いた鬼獅子さん級の動物だったら、安井さんも手を出せないでしょう」
いや、それ、動物じゃなくて魔物だから!!ほぼ、殺してますよサーラさん!!と心の中でツッコミを入れるが、安全性が保証されればとても良い案でもある。
俺はふむふむと頷きながら、安井の方へと近き、しゃがむ
「何個か質問していい?」
「何だよ?」
「もし、俺達があの女の子の提案を実行するって言ったら?」
「いや、あれ殺しにかかってるじゃねげか!!あの子、サイコパスかっ!?」
「同感だよ」
どうやら、安井もサーラの提案に対して心の中でツッコミを入れていたらしい。同じ日本人だから、感覚が似ているのかもしれない
「じゃあ、質問変える。もし、俺達と一緒に来いって言ったらどうする?」
安井は「うーん……」と、考え、一瞬アニエスの方をちらっと見る。アニエスは表情ひとつ変えずにこちらの方を見ていた。
そして、よくやく、自分の中で決心がついたのか、深いため息を吐いたあと
「その時は一緒に行動させて貰うよ。お前らといると死ぬ確率は低くなると思うし」
「………俺は、お前を信用していない。だけど、アニさんの言った通り、お前の能力は便利だ。その能力を俺達の為に使ってくれるなら許そう」
俺は真剣な表情で、安井を見つめる。
安井も俺の言葉に何か感じたのか、今までより真剣な表情になり、
「あぁ。約束する。思っ切り、使ってくれ」
「分かった。これからよろしく!」
そして、俺はアニエスとサーラの方に戻る。サーラは少し怒っていた。まぁ、当然だろう
「本気なの?お兄ちゃん」
「まぁ、役に立つことには変わりないしね。もし、何か怪しい動きしたら、アニさんがぶっ殺してくれるから大丈夫だと思うけど」
「お兄ちゃんがそう言うならいいけど」
俺はサーラの頭の上に手を乗せ、優しく撫でてあげる。そして、撫でながらアニエスの方を見て
「アニさんも、これで良かった?」
「うむ。済まないな。」
「いいですよ。その代わり、ちゃんと見張ってて下さいよ」
「あぁ、任せてくれ」
あれ?アニエスと会話している間に頭を撫でていたサーラの姿が無かった。
気づいたら、安井の側でしゃがんでいた。
「もし、お兄ちゃんやアニエスに手出したら、アニエスより先に私があなたをぶっ殺しますから」
サーラは笑顔なのに、その笑顔とは釣り合わないドスの効いた声のトーンで安井の耳で囁いた。
安井はこちらの方を見て
「なぁ、この子本当にサイコパスじゃないのか??」
「すげぇな。俺もそう思ってた。」
そして、俺達のメンバーに、29歳のおっさんが加わった
試練残り85:26
神様候補者残り6485人
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