第17話
「敵の攻撃で、首を飛ばされた」
この発言で、安井は無意識に首に手をあてる。そして、気づいた頃には、手汗がとてもひどかった。自分の死因も相当だが、アニエスの死因も残酷だったということが認識される。
「気づいた時には目の前に天使がいて、この神様候補の試練の内容を聞かされた。そして、私は決心した。この試練で結果を残し、必ず生き返ってユウを取り戻してみせると………」
アニエスはそっと目を開け、握りこぶしを作り、見つめる。その目は、暗闇でも分かるぐらい熱く、輝いてた。
まだ、アニエスは諦めていないのだ。
おそらく、その『ユウ』という人物を助け出すまでは………
「私が、こうやって拓海殿やサーラと一緒にいるのも、2人には申し訳ないが、この試練の管理者に良い印象を与えるためだけに過ぎない。………私情の為だけに彼らを利用するなんて、私は騎士失格だ」
アニエスは「フッ」と、笑いながら言葉を続ける。そして、ゆっくりと、立ち上がり、腰にかけてある鞘から剣を抜き、真上に上げ、刃先を空に向ける。
「私は誰にも負けない。必ずな………」
その後は、アニエスは口は開かなくなり、剣の手入れを開始した。安井も、話すのをやめた。これ以上、喋ったら、何かが失いそうになると思ったからだ。
改めて、安井は寝る体勢を取り、目をつぶる。そして、意識が無くなったのはそれから間もない時だった。
起きてるのが1人となったアニエスは剣の手入れを終え、鞘に戻し、再び胡座をかいて目をつぶった。そして、
「待っていろ。ユウ……。なんとしても助け出すからな……例え……」
「あの2人を殺してでもな」
それから、何事もなくスマホのアラームが鳴り響くのだった。
試練残り87:00
神様候補者残り6699人
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