第15話

 「離せ!!おい、コラ!!」


 あれから30分くらい経過したが、何も特に怒らなかった。ただ、拘束した男が目を覚まし、身体を動かしながら解放を求め、うるさいぐらい叫んでいた。

まぁ、当然、解放はしないけどな


 「うるさいなー、寝てる2人が起きちゃうから静かにしててよ」


 「だったら、拘束を解いてくれ!!そしたら、大人しくここを離れるから」


 「バリバリ人を殺そうとした奴なんかの言葉を誰が信じるか!!どうせ、解放したら俺達を殺して逃げるだろ」


 俺が言うと、男はくっ……と歯を食いしばる。どうやら、図星だったようだ。俺はため息をしながら、立ち上がる。そして、木の枝を持ち、焚き火の炎に木の枝の先端を付ける。すぐに、枝の先端に火が移り、松明みたいな感じになった。そして、俺は男に近づき


 「今から何個か質問するから、素直に全部答えろ。答えなかったり、ふざけた回答をした場合は………分かってるよな??」


 俺は笑顔で手に持つ炎付きの木の枝を男の側にやる。男はひぃ!と短い悲鳴をあげる。それでも、俺は笑顔を保つ。


 「大丈夫。ちゃんと答えてくれれば被害は遭わないから」


 「お前、Sかっ!!」


 「これでも、一応神様目指してるんだぜ!!」


 「嘘だろ!?悪魔の間違……….熱ぅぅぅ!!!!」


 何かイラッとしたので、火のついた木の枝を笑顔で男の背中に当てる。3秒くらいしたらパッと離す。男は悲鳴をあげながら、バタバタと跳ねていた。


 その後、俺が何個か質問しても素直に答えてくれた。


 男の名前は安井 廉(やすい れん)

 日本人であり29歳であること。

 生前の死因が、友人に騙され、ヤクザに殺されてしまったこと。

 そのため、神様候補の試練に参加し、優秀成績をとって生き返り、友人に復讐することを目標にしていること。


 安井の神業は『クリエイト』。材料が揃っていれば、1秒も経たずに目的な物を作ることが出来る能力らしい。因みに、彼は弓道を習っていて、弓の技術には自信があるらしく、神業を使用して、弓や矢を作り、これまで戦ってきたらしい。


 「あんたの事は大体分かった」


 「なら!!」


 「けど、あんたの『これから』については、俺の仲間含め3人で話し合って決めさせてもらう。」


 今度は真顔で、安井の方を見て、言葉を出した。すると、安井の表情が真っ青になったので、


 「安心しろ。流石に殺しはしないから。それより………」


 安井が真っ青のまま、俺の方をじっと見続ける。そして、俺は苦笑しながら


 「暇潰しに『しりとり』でもやらね??」


 安井は「はぁ??」と、マヌケな言葉をだした。



 その後は普通に『しりとり』をやり、意外に安井の『す』責めに苦闘している中で盛り上がっている所でスマホのアラームが鳴り響いた。


試練残り88:34

 神様候補者残り6793人

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