第11話

 俺とアニエスはなんとか浜辺に戻ってきて、少女から話を聞こうとしたが、少女は安心したお陰なのかぐっすりと俺の腕の中で寝ていた。俺とアニエスは少し苦笑いし、話し合いで少女が起きるまで体を休めることとなった。


 それからアニエスは器用に浜辺から生えているヤシの木からヤシの実を何個か取り、貫通撃で指でヤシの実に穴を開け、俺に渡す。俺はそれを受け取り、中のココナッツジュースがなくなるまで一気飲みをした。思ってたより喉が渇いていた。


 「ぷはー、美味い!思ったよりも甘いんだな」


 俺がココナッツジュースの美味しさに感心している中で、気づいたらアニエスは俺の目の前で堂々と甲冑などの鎧を外していた。


 「アニさん!?何を!?」


「何って、鎧などを外しているのだが?」


 「なぜ!?」


 「海に入るのに、鎧などあったら邪魔じゃないか」


 詳しく聞くと先程の戦いで小腹が空いたらしく、魚を調達しに行くそうだ。だとしても、一応男性が目の前にいるのだから気にしてほしいものだ


 結局、彼女はほぼ身につけているものを外し、スポーツブラのような下着に短パンだけという状態で海の方に向かい、またしても何処から出したのか、モリのような武器を持って勢いよく海の方に潜り出し、狩りを始めた。。あ、勿論、俺は後ろを向いていたよ??いやらしいことは考えてないからね!!一応、側に幼い女の子いるんだし………


 15分程度、アニエスの帰りを体操座りしながら見守っていたら、アニエスが満悦な笑顔をしながら海から帰ってきた。彼女が持っているモリの刃先には、魚が数匹とタコが刺さっていた。知っている魚もいれば、見たことがない魚もいた。



 「いやー、大漁大漁!拓海殿、早速食べましょう」


 「確かに大漁ですけど、大丈夫なんですか??その魚、見るからに怪しい色してますけど」


 そう、3匹中、真ん中に刺さっている魚は見るからに『食べたらあきまへんで』と主張しているかのような紫色や黄緑色が合わさった色合いをしている。絶対、食べたら行けない気がする。


 「む?そうかな??普通に行けそうな気がするんだが……」


 「それで、食べて死んで神様候補の試練に脱落したら話になりませんよ……そうだ、この腕時計で調べてみよう」


 俺は自動で図鑑機能があった事を思い出し、左腕に付けている腕時計を魚の方へ近づける。すると、ピピピという発信音がし始め、


 『タイ』『モウドククロメバル』『ブダイ』『タコ』


 と、腕時計が鳴った。俺はジト目しながらアニエスの方を見る。すると、ギグっ!となったアニエスは目を逸らしながら


 「ま、このような事もありましょう!!ささ、早く食べましょう!!」


 と、女性らしい可愛らしい仕草をして誤魔化した。


 そして、魚達を焼いて食べている最中に眠っていた少女が「うゆ」と言いながら目を覚ました。



 試練残り96:37

 神様候補者残り7899人

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