第7話
早瀬とアニエスが歩き出して数十分、未だにジャングルから抜ける事なく、ひたすら木々が広がっていた。
「流石に、抜けるのは難しいか……」
アニエスも少し堪えたのだろうか、弱音をポロッと吐いていた。そして、さらに数十分歩いたところで少し休憩に入った。早瀬は倒れていた木の上で座りアニエスは木にもたれて立っていた。
「このジャングル、広すぎじゃありません??もう、この島全部がジャングルで覆われてる気がするんですけど……うわー、何あの木の実。イボイボしてて気持ち悪っ!!」
「でも、微かだが、海の匂いも漂ってくる。多分、浜辺があると思うんだがな」
「へぇ、そうなんですか。全然匂わないや。」
何分か休憩したあと、再び早瀬とアニエスは歩き出す。だが、しかし、歩いても歩いても変わらない景色だった。
「ん??」
ふと、早瀬は歩きながらある事に気づく。そして、その瞬間に背筋がゾッとなった。
「………アニエスさん。」
「何だ??」
「少しだけ剣貸してもらえませんか??」
「なぜ??」
「少し確かめたいことがあります。もしかしたら、俺たちずっとジャングルでさまようかも知れません」
「!!………これを」
アニエスは早瀬の何か感じ取ったのだろうか、ずっと腰につけている剣…………ではなくどこから出したか謎なが、小さなナイフを瞬時に取り出し、早瀬に渡す。早瀬は目を丸くして驚いたが、アニエスによると騎士は身体中に武器を隠すのは基本だということを教えてくれた。
「ありがとうございます。」
早瀬はナイフを手に取り、そしてすぐそばにあった木に傷をつける。しかもただの傷だけではなく
『ミルの馬鹿天使!!』
という文字を木に掘った。さらに別の木には国民的アニメで有名なアン○ンマンの顔を掘るなどして何本かの木に印を付けた。
「何をしているんだ?」
早瀬の謎の行動にアニエスは頭にハテナを浮かべるしかなかった。そして、早瀬は満足し、そのうち分かりますよと言ってナイフを返す。
そして、再び歩き出すと、アニエスは仰天する。歩き始めてから数分立ったところで目の前に現れたのは先程、早瀬が印を付けた木々だった。
「どういうことだ??」
「つまり、俺たちは永遠と同じ所をぐるぐる歩いていたという事ですよ。」
「!!どこでそれに気づいた??」
「休憩している時に見つけたあの気持ち悪い木の実が再び目の前に現れた時に気づきました。最初は気のせいかと思ってたんですけど、何回も見ているうちに不自然だと感じて」
「なるほど、凄いな。拓海殿は。だが、しかしなぜこのようなことが」
「それも、簡単ですよ。………、早く出てきたらどうですか??いるのは分かってますよ」
早瀬は大声で言葉にする。すると、近くに生えていた大木から1人の影が現れる。
「よく、気づいたなぁ。オイ」
現れたのは、少し小柄で、顔は蛇のような顔立ちをしており、髪はロングで灰色。服装はボロボロの白Tシャツ1枚で下もボロボロのジーパンみたいなのを履いていた。声からして男性だろうか。
「俺の神業の『無限回廊』をよく見破ったのは褒めてやるぜオイ。だけど、ココで死んでもらうけどな。オイ」
「急に殺害予告するのは恐ろしいが、安心しろ。闘うのは俺じゃないから。という事でお願いしますよ。アニさん!!」
「心得たッッッ!!」
アニエスは剣を抜き、男性の方に素早く駆け出していった。
試練残り97:59
神様候補者残り7998人
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