第3話
ピリリリリーー!!と馬鹿でかいアラーム音が腕時計から突如響く。気を失っていた早瀬は目を瞑りながらなんとか腕時計をカチカチといじり始める。
5分程度時間を費やしてようやくアラーム音を止めた早瀬はあくびをし、目を手で擦りながらゆっくりと目を開ける。すると、視界に映った世界は眠気を一気に覚ます程の思いもよらない場所だった。
「ここは………ジャングル??」
早瀬の周りは太陽の光が塞がれるほどの大量の木が生えており、湿気が高いのかとてもジメジメしていて蒸し暑い。
「ん?」
腕時計を見るとデジタルで『99:51』と記されいた。
「なんか、これ制限時間っぽいな。」
早瀬はそう思い、1分ぐらい待っていると時計は『99:50』 と変化した。やはり……….と早瀬は思った。制限時間が記されているって事はもう最初の試練が始まっているという事だ。
「でも何をすればいいんだ??全くわからんねぇ……….。」
意識がなくなる前に早瀬の案内係を担当していた天使であるミルがなんか言っていなかったか早瀬は必死に思い出す。意識が失う直前に何か言っていたのは確かなのだが、なんて言ったのかは聞き取れなかった。
「でも、候補者を改造するぐらいだから甘っちょろくない試験っていうのも確かのはず……….。くそ!!俺の開花する能力によってはこれから先の行動が決まるんだけどなぁ……….」
そう、早瀬を含めこの試練に参加している者は全員に天使の遺伝子が取り入れられており、開花するタイミングは人それぞれだが、特殊能力が使えれるようになるらしい。早瀬は無駄に手を前に突き出して「波ぁー!」とやるがなんも起きなかった。
「そりゃあ、そーだよな。何してんだろ、恥ずいなぁ。うーん、これからどうしよう。……….そういえば、俺ってば、高校に行く途中に殺されたから服装はこれなのか……….。」
早瀬は自分の姿を改めて見始める。上は半袖のカッターシャツに中に白いTシャツ1枚で下は普通の学生服のズボンでおり、まんま夏の時にいる学生の姿であった。
ついでに、スクールバックの中身も確認する。これから先、どんな展開になるか予想もできない。なので、何か役に立つものがあれば幸いだ。
スクールバックの中身に入っていたものは
・教材と筆記用具
・自分で作った弁当
・スマホ(充電の残りが何故か∞%と表示されている。もちろん圏外)
・学校指定ジャージだった。
「ろくなもん入ってねぇなぁ………。まぁ、学校に行く途中だったし、そんかもんか」
早瀬は出した教材やジャージなどをため息を漏らしながらスクールバックにしまっている直後だった。
「!?」
早瀬がいるすぐ側の草がガサガサとなり始めた。恐らく何かがいる。早瀬がいる場所はほぼジャングルみたいなものなので生き物も生息しているに違いない。
しかし、早瀬は恐怖で足が動かない状態だった。何とか逃げようとしても足が言うことを聞いてくれずその場でプルプルと震えていた。可愛い生き物ならまだしももし、肉食系の生き物だったら神業が開花してない限り、確実に喰われてしまう状態である。
そして、その生き物はついに現れた。
「ーーーーーーはぁ?」
その現れた生物を見た瞬間に早瀬は自分が意識を失う直後に言っていた言葉を思い出す。
『死なないように、頑張ってね♡』
「こんなの、どーやって死なずに頑張ればいいんだよぉぉぉぉぉぉぉ!!」
早瀬はほぼ半泣き状態で、その生物……….いや、殺気にあふれている化け物に向かって大声で叫んだ。
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