第37話 神獣ペガサス
「アレン! アリスちゃん!
冒険の準備はできたかな!いいな~
私も冒険いきたいな~」
「奥様ダメですよ!
今回はガブリエルに対抗する程の戦力が整っていません!
奥様が南の大陸に上陸し、もしガブリエルがちょっかいをかけてきたら、アレックスの救出どころではなくなってしまいますからね!
もう母親なのだから、子供達の事も考えてください!」
「シャンティちゃん怖いよ~
冗談に決まってるでしょ!
でも冒険の出発の前ってドキドキするよねぇ!」
「わ…妾は昨日興奮して眠れなかったのじゃ!
こんなにドキドキしたのは、ぬらりひょんと戦った時以来じゃ!」
「アリスちゃん!
ぬらりひょんって何?」
「ぬらりひょんはじゃな! 頭が凄くデカい妖怪なのじゃ!」
「妖怪って何?」
「うーん…なんじゃろ?」
「母さん!
アリスが言ってるのは、西のダンジョンにいた凄く頭が大きい変なモンスターの事を、勝手に妖怪ぬらりひょんって言ってるだけだよ!」
アリスさん。
エリスはシャンティ先生と違って、俺達に前世の記憶がある事を何回言っても理解できなかったんだよ…妖怪って言われても、多分チンプンカンプンだと思うんだけど…
「そっかー!ぬらりひょんは妖怪でモンスターなのね!」
「そっ…そうじゃな…」
「奥様、アリスお嬢様。そろそろヤリヤルに向かいませんと集合時間に遅れますよ!」
「そうね! それじゃぁ出発しましょ!」
そう言うとエリスは庭に出て、火魔法で指先から炎を出し、空中に魔法陣を描いた。
「いでよ! ペガサス!」
空中に描かれた魔法陣の中から、真っ白な体をしたペガサスが舞い降りた!
「エッ!! ほ…本物のペガサスだ!!」
俺は久々に興奮した。
何故なら俺は、ペガサスが大好きだからだ!
どうして好きかというと、単純な話で、前の世界での動物占いがペガサスだったからだ!
「母さん! このペガサス正真正銘 母さんの使い魔ですよね!」
「そうよ! 可愛いでしょ!
ペガサスのペガちゃんて言うのよ!」
そのまんまだ。基本 エリスのネーミングは凄く適当だ。
水の精霊シャンプーも、シャンプーする時にいつも召喚するからシャンプー。
光の精霊のシャンティも、ダンジョンに潜る時いつも明かりを照らしてくれて、シャンデリアみたいだからシャンティらしい。
エリスほど使い魔がたくさんいると、名前を考えるのも面倒臭いのかもしれない。
いちいち名前を付けるのに悩んでいたら、精霊と契約できなくなってしまう。
多分そんな感じで、俺の名前もアレックスの子供だから、アレンにしたのだろう…
「か…母さん、ペガサスに触っていいですか?」
「いいわよ!でもペガちゃん気難しいから大丈夫かなぁ?」
俺が恐る恐る近づいてみると、ペガちゃんは、俺が近づいた分だけ後ずさりする。
もう1歩近づくと、ペガサスも1歩 後ずさる。
おかしい…?
俺はペガサスと相性が良い筈だ!
なにせ俺は、動物占いでペガサスなのだ!
ペガサスと相性が悪いなんて、断じてある筈が無いのだ!
俺は神道異界流の技の1つで、一瞬で間合いを詰める縮地を使ってペガサスの目の前に移動した!
だがしかし!!
ペガサスの距離は縮まない?!
何故だ?
俺の縮地は、ケンセイ、ジュリには及ばないが、闘気が使える目録持ちの道場生相手に充分通用していたのだ!
俺は何が起こったか分からず、泣きそうな顔でエリスに救いを求めた。
エリスは困ったような表情をしながらペガちゃんに
「アレンは私の息子なのよ、少しナデナデさせてあげて。」
ペガちゃんは、エリスの方を物憂いげな顔で見てから、渋々近ずいてきた。
俺がペガちゃんの体をナデナデすると、凄く汚らしい物を見る様な眼差しでこちらを見てくる。
「アレン坊ちゃん、ペガサスは神獣ですので、乗り手を選びます。
例え、アレン坊ちゃんほどの精霊魔術師でも簡単には使い魔にできません。
ペガサスは、エリス奥様のお母様であらせられるエルフの女王アリシア・ホワイト様でも、ダークエルフの女王ガブリエル·ツェペシュでも、使い魔にする事ができなかったのですからね。
それから、無理に倒して使い魔にしようとしても無駄ですよ。
なにせペガサスは、この世界最速の飛行速度を誇る神獣ですから、簡単に逃げられてしまいますからね。」
ウ……
でも、どうしてもペガサスを使い魔にしたい。
倒す事もできないなら、ダメ元でお願いしてみるしかないな…
「あの…ペガサスさん、僕の使い魔になってくれませんか!」
俺は、誠心誠意の態度を示して、90°のお辞儀をして、右手を差し出した。
ペガちゃんは、俺の事を一瞥してから、プイっとそっぽをむいてしまった。
俺は、精霊魔術師になって初めて振られてしまった。
シャンティ先生の言動では、
俺は精霊魔術師の中で人気がある方だと聞かされていたので、頭を下げて頼めば契約して貰えるかもしれない思ったのは、大きな間違いだと言う事を気付かされたのだ。
俺は、ペガサスに振られたショックと悲しさで、目から涙がこぼれ落ちそうなのを隠すために、お辞儀の状態から中々顔を上げる事が出来ない。
勘のいいアリスは、お辞儀をしたままの状態の俺の肩に手をそっと置き、
「兄様、気を落とすでない。
ペガちゃんには、兄様の良い所が解らなかっただけじゃ。
兄様の良い所は、母様のおっぱいを舐めるのが好きな所や、ジュリのお尻を食い入るように眺める事、それから前の世界に居た頃には、インターネットとかいう面妖な箱の中の裸の
そうじゃ!
兄様は、
いつでも優しい顔でヨダレを垂らしながら見守っていたのじゃ!」
ア…アリスさん…それは、ちょっと違う気がするんですけど…
俺は恐る恐る顔を上げて、ペガちゃんの方をみてみると、ペガちゃんが、汚らしい物でも見る様な目で俺の事を睨みつけているのを、俺は甘んじて受け入れるしかなかったのだった……
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ペガちゃん 神獣
種族 ペガサス
スキル 世界最速のスピード
特技
性格 エリス大好き 潔癖
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