第22話 赤龍様?
城塞都市ヤリヤルは、大混乱になっていた。
昼間なのに急に真っ暗になったと思ったら、空が突然光り
ドゴゴゴゴゴゴ!!
という大きな音と共に地面が激しく揺れたのだ。
市民は大混乱に陥り、隣国が攻めてきたとか、東の大陸の黒竜の攻撃だとか、
「私はヤリヤルの冒険者ギルド長をしている、クラタン·オズワルドです。
先程、冒険者ギルド会館に幽閉されていた、A級モンスターの爵位持ちデーモン3匹が逃げ出しました。
そこに、たまたまこのあたりを飛行されていた赤龍様がデーモンを発見されて、我々の代わりに退治してくださったのです。
もう既に問題は解決済みなので、市民の皆様安心してください。」
「赤龍様が我々を助けてくださったのか!」
「そう言えばギルド会館の上空に、うちの息子が赤い竜を見たって言ってたぞ!」
「やはり赤龍様じゃ!赤龍様が再び我らを助けてくださったのじゃ!」
西の大陸では、赤龍の効果は絶大なのだ。
黒竜から西の大陸を救った神獣だとして、
取り敢えず赤龍の名前を出して置けば、大体の事は不問となるのだ。
そんな神獣様の名前を勝手に使って大丈夫なのかと、頭をよぎるのだが…
何とかそんな感じで、この騒動は収まりそうだったのだが、アリスは全く納得していない。
アリス的には完璧な演出。完璧な結末だったようなのだが、街の真横に直径10メートル程の大きなクレーターを何十個も作っておいて、その騒動の収束はどうするつもりだったのか?
デーモンとの戦いの勝ち方もよろしくない。
悪魔族のデーモンに恐怖を植付け
それからアリスの容姿も問題だ。
西の大陸ではダークエルフは忌み嫌われているというのに、それがよりによって西の大陸で神獣として信仰されている赤い龍に変身するなど、あってはならない事なのだ。
アリスは、俺とエリスでなだめる事によって事なきで終わったのだが、アリスの戦いを見ていた者の口封じもしなければならない。
それも以外と簡単に話がついた。
誰がアリスの戦い方を見て、逆らおうと思うだろうか?
殺気だけで、爵位持ちのA級デーモンを下僕にしたのだ。
あの殺気を直接当てられたら、普通の人間なら気を失うどころか正気を失ってしまうだろう。
それを特等席で観ていた者達が、アリスの事を外で喋る事はないと断言できる。
アリスがしでかした事もだいたい解決し、最初の目的であった冒険者カードも貰う事が出来た。
冒険者カードと言ってもブレスレットになっていて、ランクによって材質が異なるのだ。
DランクとCランクはブロンズ、Bランクはシルバー、Aランクはゴールド、Sランクはプラチナとなっている。
俺とアリスはギルド会館で取得できる、最高ランクのAランクのゴールドのブレスレットを貰う事ができた。
「そのブレスレットを見せれば身分証明になるから、何か町でトラブルに巻き込まれても大丈夫だよ。
でもその色のブレスレットを見たら、誰も因縁なんて付けてこないと思うけどね!
自分より強いと思われる人物に、喧嘩をしかける馬鹿はいないからね!」
と、クラタンが説明してくれた。
「これからポーションの価格についてエリスさんとシャンティ先輩と話し合いをしたいんだけど、アレン君にアリスちゃん、時間がかかりそうだからギルド会館の中でも誰かに案内させようか?」
「あの…町の中に行ってみたいんですけど、言ってみてもいいですか?」
「アレン君の強さはさっき見て知ってるから、1人で町に行っても心配ないと思うけど、エリスさんに聞いてみた方がいいと思うよ。」
「わっ妾も、町に行きたいのじゃ!」
アリスはゴールドのブレスレットを見て満足げにニヤニヤしていたのだが、町に行くと聞いて、目を輝かせている。
エリスの方を見ると、何故かウンウン頷いている。
「アレン坊ちゃん。
アリスお嬢様をお願いします。
それから、これは少しですがお小遣いです。」
シャンティ先生は、俺とアリスに500マーブルずつ渡してきた。
「ありがとうございます!シャンティ先生!」
基本、家の家計はシャンティ先生が全て取り仕切っているので、お小遣いも勿論シャンティ先生から貰う事になる。
「アレン坊ちゃん、アリスお嬢様、1時間後までにギルド会館に戻って来て下さいね。」
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城塞都市ヤリヤルは、円形の城壁に囲まれた城塞都市である。
中心にはギルド会館、教会があり、それを中心に四方に道があり十字になっている。
ギルド会館から見て右上は、貴族階級の住居地になっており、その一番奥の壁際にこの城塞都市ヤリヤルを治める領主の城が立っている。
左上は一般市民の居住地で、右下が商店街、左下がスラムになっている。
俺は町に来たら必ずやろうと思っていた、異世界転生者のお決まりイベント!
『物価調べ』をする為、商店街に向かった。
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