閑話休題 用語集
オリジナルの用語をまとめてほしい、という要望がありましたので、閑話休題してここにまとめます。
史実に存在する歴史、地理、人物、事件に関しては、検索すれば大体出てきますので割愛します。歴史もの小説については、それを自分で調べるのも楽しみのうちかなと思いますので……。
【あ行】
◯隠秘学派 いんぴがくは (オカルトゥス)
三大学派の一つ。最大勢力。世界の心理を解き明かすことに血道を上げる。重要なのは研究そのもの。
▽真理派 しんりは
基礎研究を行い、魔術の世界に新発見をもたらそうとする。イデア界の存在を信じている。
▽図像派 ずぞうは
いにしえの画像や記号から魔術の法則を発見しようとする。魔法陣などの研究も行う。
▽占術派 せんじゅつは
世界の大きな流れから、小さな流れの様相を汲み取り、未来を予測しようとする。占星術が主流。
▽操魂派 そうこんは
人の魂の在り処から真理にたどり着こうとするが、たまに悪魔にそそのかされて召喚魔術に走ったりする。本作には名前しか出てこない。
◯ヴァルプルギスの魔女 う゛ぁるぷるぎすのまじょ
アルトス魔術学院、改めヴァルプルギス孤児院に所属する魔女。魔術師たちが「魔女」という場合、女性魔術師のことではなく彼女らのことを指す。
かつてヘルメス院の祖となった派閥とは敵対していたが、流血沙汰を好まない彼女らは自らアイルランドに拠点を移した。
通常、魔術師は神秘を秘匿する(魔女狩りを避けるためとか、パトロンから金をむしり続けるためとか理由は様々)ものだが、彼女らは彼女らの信じる義のためならば衆目の前でも魔術を使うため、魔術師からは蛇蝎のごとく忌み嫌われている。
しかし彼女らは魔術師として他に追随を許さない実力を持っているので、誰も実力行使で排除することができない。
基本的に13人で構成されるが、増減することもある。
コルネリアは比較的若い世代で、長命な者だと千年以上生きている。
◯汚染 おせん
自分に馴染まない魔力や、極端に強い魔力にさらされ、その力で体が作り替えられる現象。汚染された部分は元の世界では生きられず、徐々に腐っていく。
汚染部位は、腐敗による死から逃れるために、体のまだ置き換わっていない部分をさらに作り替えようとする。
ほとんどの場合治療法はなく、汚染を受けた状況によって汚染のされ方も千差万別であるため、治療法の研究も中々進んでいない。
【か行】
◯学派 がくは
魔術師の学派の事。三大学派十二流派に分かれる。
【さ行】
◯祭器 さいき (ファクティキウス)
大魔術を使うために作られた魔術工芸品。極めて複雑怪奇な作りをしており、使用者本人以外には訳のわからない品物であることが多い。
◯実利学派 じつりがくは (エクスセクティオ)
三大学派の一つ。魔術の応用研究を行い、世俗で魔術を活用している。パトロンが多く、真理派より資金は潤沢。
▽工芸派 こうげいは
魔術の力を封じた工芸品の研究を行う。職人気質の頑固者が多い。
▽外交派 がいこうは
歌舞音曲に込められた魔術の研究、及び実践を行う。貴族の子弟で魔術に耽溺したものが多く所属する。魔術師たちのパトロンも多くはここからのツテ。
▽戒律派 かいりつは
魔術師連合の裁判官にして執行官。真理派から実理学派の行き過ぎを監視するために、世俗で一定の魔術の使用を認められている。泣く子も黙る恐ろしい存在。
▽闘争派 とうそうは
魔術を戦闘行為に応用しようとしている。魔術師連合内の用心棒や傭兵として雇われることも多い。隠秘学派からは魔女の次に嫌われている。
◯真珠の家 しんじゅのいえ (マルゴット)
コルネリアが運営する孤児院。正式名称、アルトス魔術学院改めヴァルプルギス孤児院コルネリア分室。
訳ありで公的機関で養育できない孤児を引き取り、工芸などの職人としてひとかどの技術を身にちけさせては独り立ちさせている。
子どもたちに賃金も支払っているので、運営は結構カツカツ。
◯選定の戴冠石 せんていのたいかんせき (リア・ファル)
この世と異界を隔てる境界に、穴を穿つ魔術工芸品。コルネリアの大魔術が込められた、かなり強力なもの。現在はアウローラの汚染の療養のために使われている。
【た行】
◯超常の才覚 ちょうじょうのさいかく (ギフト)
魔術師が魔術を扱うにも才能が必要だが、超常の才覚は魔術ではない。魔術は通常、一定の形式に則って「技術」として発動させるが、超常の才覚を持つ者たちは、自身の手足のように「能力」としてそれを扱う。本作ではエルニカの「見えざる手」、アウローラの「万物との対話」がこれに当たる。
場合によっては魔術として形式化出来ない貴重なものもある。
◯伝承学派 でんしょうがくは(トラディティオ)
三大学派の一つ。自分達の伝統を守ることが最重要課題で、魔術師とも世俗とも没交渉気味。身を守るために魔術師連合に所属してはいる。
▽神聖派 しんせいは
本作では登場しない
▽伝承派 でんしょうは
本作では名前だけ登場。体系化されておらず、他の流派のどこにも所属できない者たちの寄せ集め。神秘のごった煮。未だ定式化されておらず、貴重な神秘を保有するものが多い。そういう意味では魔女に一番近い。碧玉戦争を制してヘルメス院を設立したのは伝承派の宗主で、以外にも魔術師連合での地位は第三位。
▽野獣派 やじゅうは
本作では登場しない
▽妖精派 ようせいは
キリスト教の唯一神以外の異教の神々を奉じ、その加護を得て魔術を使う本派と、無秩序な側の妖精郷で汚染の治療法を探す分派(妖精郷の迷い仔)に分かれている。分派は少数派。
【は行】
◯万物との対話 ばんぶつとのたいわ
アウローラが生来持っている
アウローラのコミュニケーション能力と相まって、人間以外の友達を増やす要因になっている。妖精郷でも妖精の友達を作ってくる。
もしかすると、ある種の汚染の影響かもしれない。
◯人の作りし神の庭 ひとのつくりしかみのにわ (ティル・ナ・ノーグ)
コルネリアの大魔術。自身の制作した織物(魔術工芸品)を鍵として、この世とは物理法則の違う異界を作り出す。織物の柄を変えれば法則も変えることが出来る。
他の魔術師には真似の出来ない超高等技術であるが、燃費が悪くて長時間発動できない。
◯ヘルメス魔術学院 へるめすまじゅつがくいん
小数の
イングランドでは魔術を使うこと自体は罪に問われないので、魔女狩りから逃れるために多くの魔術師たち(徒弟も含めて2000人ほど)が集まっている。
【ま行】
◯魔術師連合 まじゅつしれんごう (ウニオマグス)
世界中の魔術師が所属する組合みたいなもの。組織的には、イングランドのヘルメス院、アイルランドのアルトス院、中東の砂漠にあるというザラスシュトラ院、アレキサンドリアのトート・ヘルメス院、プラハのルドルフ院、フィレンツェのメディチ院などが所属しており、互助すると共に一定の戒律でお互いを監視しあっている。
◯魔術工芸品 まじゅつこうげいひん (アルティファクトゥム)
器物に魔術の力を込篭めた工芸品。魔力さえ通せば誰でも篭められた魔術を使うことができる。高度な魔術ほど複雑な作りをしている。
◯見えざる手 みえざるて (アポート/デポート)
エルニカが生来持っている
物語冒頭では、効果範囲は視界内、対象は同時に10個物程度、持続時間は集中力の続く限り、となっている。かなり精密な操作が可能で、これで巾着の紐を切ってスリで荒稼ぎしていた。
【や行】
◯妖精 ようせい
無秩序な側の妖精郷に生息する異界の生物。知性を持つものも持たないものもいるが、知性を持っていたとしても人間とは思考回路が違うし言語体型も異なるので、大抵の場合理解し合えない。
人間の世界の空気は毒になる場合が多いので、人間の世界に迷い込んでもすぐに帰るか、死んでしまうことが多い。しかし好奇心の強い個体も少なくないため、汚染の危険を知ってか知らずか、人間の世界でいたずらをしていく場合がある。
◯妖精郷 ようせいきょう
ワンダーランド、或いはシィと呼ばれる、この世と薄皮一枚で隔てられた異世界。キリスト教会や神聖派の言うところの「天国」と「地獄」、隠秘学派の言うところの「イデア界」以外の全ての異界をひっくるめて妖精郷と呼ぶ。結構乱暴なくくりでいわゆる「その他」扱い。
レッドキャップやブラウニー等の住む比較的無秩序な世界から、大精霊と呼ばれる異教の神々が管理する比較的秩序立った世界まで幅広く存在する。本作で妖精郷と言った場合、ほとんど前者を指す。
人間の世界とは物理法則や元素の組成が異なり、多くの場合人間にとって妖精郷の空気は毒である。
◯妖精郷の迷い仔 ようせいきょうのまいご (ワンダラーズ)
妖精郷に迷い込み、汚染を受けて生還した者の呼称。自分達の汚染を治療するために、妖精派の中で小さなネットワークを築いている。そのため本来の妖精派とは行動原理が異なり、無秩序な側の妖精郷の調査・フィールドワークを行っている。本作初期段階でこれに当たるのは、テオドール、エドガー、ライール、アウローラの4人(コルネリアは若干事情が異なり、カイは汚染を受けていない)だが、設定上はもっと大勢いる。
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