ヤバン王 Ⅱ 黒騎士団/ぶらっくないつ

ザザ――ン

押しては返す白波

燦々と降り注ぐ日差し

見渡す限り長く続く砂浜


なのに誰もいない


謎だ


家を手に入れるため冒険に旅立った俺は嫁ちゃんとともに浜辺に降り立った

『ふらすこ』というのが海の中にあるとは思ってなかったもんだから

ちょっと面食らってしまった

沖から乗ってきたタイヤのない車はなんていうかUFOっぽい


ていうかUFOだもんよ?


そのくせ内装は広々としたホテルのスイートのような

『窮屈』な感じだった、汚したら怒られそうなヤツ


乗ったときはブラックメタルの平べったいチョコドーナッツに赤いジャムが

中央に載った感じだったが今は朧げな外郭がわずかにわかるだけで透明になって浮いている。影もなく波風立てず。


タイヤがないのに車なのかと聞いたら外周の車輪で進んでるとか

内側の車輪で浮力、ハンドルは外側のタイミングがなんとか説明を受けたがちんぷんかんぷんだ

基本の運転はマニュアル車と変わらないが上昇用のアップダウンレバーが増えたぐらいだ

ワクワクして最初運転させてもらったのに正直つまらんかった

踏み込んでもギューンてしないし宙返りしてもキャーってならんもん

だいたいエンジンの音がないのがダメだ

車はボボボボボボボボボボンボンボンっていうんだ蚊の鳴くような音しかしないのは…なんかちがうもんよ


この車を作ったの人物は俺を分かったようでわかってないのだ

色やシートの位置運転のしやすさ俺の知ってる車ならぴったんこなんだけど

俺の知ってる車ってなんだ…??

                                       ザザ



「俺記憶失ってる?」

「はい、大けがによる失血で一部記憶に障害…というよりは混乱が見られますが

 かなり覚えてらっしゃるので徐々に回復されるかと思います、加えてお休み中に起こったことを

 説明させていただきたいのですが…?」

「いいっていいってネタバレしちゃったら冒険つまんないもんよ、敵がいるんだろ」

「はい」


さっきから南風に乗って生臭い匂いがちらついている


浜辺なんだからもちろん磯の香りはしている、そうじゃない新鮮な野生の食事の香りだ


南風この浜がだいたい南北に伸びているから南に500ってとこか

まだ向こうは気が付いてないみたいだな


しもべを呼びますので今しばらくお待ちください」

オレの真面目顔に察したか


ははは

「ご主人様?」

「やっこさんこっちに気が付いたぞ、だーれもいないわけだククク」

ドンドンドンドンドン

林から出てきたそれはバカでかいニワトリのような生き物だった

ドン!ドン!ドン!

白い羽毛に鳥の足、鶏冠ではないが紅い羽毛がモヒカンになっている

体型はトカゲ…というよりは『恐竜』の様な

ドン‼ドン‼ドン‼

二階の家ぐらいのでかさ、 巨大な重機のような顎、血にまみれた牙が口を開けて迫ってくる!!

ドン!!!ドン!!!ドン!!!

だが、退かぬ、退いてはいけないのだもう戦いは始まっているのだ!!


腰の小刀に手をかけゆみやの前に一歩出る

ドン・ドン・・・ドン


(…刃渡り5センチじゃ…ちょっと大物だなもんよ!!!)

デカイ!俺がだいたい2メートルだから3人分以上ある、地面から頭までの高さで、だ

頭から尻尾はもっとだ、おっとビビったら負けだギリリと睨み返してやるもんよ


「ご主人様、このケダモノ知能があるかもしれませんお気を付けください」


ぶっ


と直前で止まり何かを吐き出してきた

一瞬、一瞬それを目で追ってしまった毛玉のような…


ヤツは嗤った、嗤ったのだ下の瞼を少し上げ変わらない表情でわらった。




人間の頭だった


物凄い形相で事切れた黒髪の長い…下あごはない……


急速にオレのワクワクが冷めてしまう


「……下衆が、この俺に会ったのが運の尽きだな。〝人間を食うな等とは言わん”

人間の理屈でしかないからな、ケダモノなら弱肉強食ぐらいは分かるだろう?…あぁ??」


ギュン……ギュン…

「食べニンゲンを虐めて遊ぶようなのは・・・」

ギュン…ギュン・ギュン

「死「ご主人様!いけません!!」


はぁはぁ、はぁ、はぁ、

「…危ないぞゆみや

「必殺技は使わないと約束してくださったではないですか、【死力ダイエルグ抑制ギプス】が反応して入れ墨浮き上がってます!!」

…ちゃん。いまのは星火穿ほしひうがだもんよ?」

「ほ・し・ひうがぁ~~~~ご、ご主人様?一部分とはいえ太陽なんか召喚したら地平線まで蒸発してしまいます!」

わははは、ゆみやちゃんがギャグマンガみたいな顔になったぞ

最高火力だけど『必殺技』じゃないもんよ


ぶおん

巨大な尻尾が横なぎに迫る!

ぴょんと嫁ちゃんを抱えて跳ねて躱す

ドン!ドン‼ドン‼‼

足の爪、牙と連続攻撃が来る!!まるで対向車線を走るかのような展開だ

が、ひょいひょいとまだ躱せる。ただ手がふさがってるため蹴るぐらいしか攻撃できない

蹴ってもいいが技無し、武器無しではちと厳しいかもしれない、

ゆみやちゃん抱えてるのはまあハンデに数えないッ男の子だもんよ


(―――隙がほしいな)


ゴガアァァァン!!




大ニワトリに何かが突っ込んだ、弾丸のような速度で!


デカい図体がゴロゴロと波打ち際まで転がる


あれ?背中に小さいマントなんかついてる

しかも

「髑髏のネックレスなんかしてるのか…本物マジモンの。」

「はい、アレは何者かのペットか…犬ぐらいの知恵はあるのかもしれません」


カシャン


黒騎士団ブラック・ナイツ・『ソード』御前に!』

まっ黒な翼の生えた全身甲冑の騎士みたいのが膝まづく

声は女のようだ戦天使といった感じだ

だがこの感覚…人間ではない…いや『他人ではない』ぶらっくないつはおれの…


                                        ザザ

「良いタイミングだ、褒めてやる。だがアレは俺の獲物だ、以後手出し無用、ゆみやを守りれ、牽制のみ許す」

「ははッ!!」


「ご主人様?」


ぉお?!

モミモミ

「ひゃん」

モミモミ

「はははははは!ゆみやちゃんのおおちちやわらかいな!!すばらしい!!すばらしいな!!」

「ぁんっ…はぁ…はぁ……ご主人様…それではあちらの木陰で続きをいたしましょう?」

首に手を回されると吐息がかかるのだ!


むふー!

むふー!

ピンク色の唇見てたらチンチンふっくらしてきたもんよ!(ちんちん)

「ちゅちゅちゅ…ちゅーしてもいいか!?あ、ダメだあああああああああああああああああああああああ!!!!」

(ああああああああああああああぁぁぁぁぁあああああああ!!!!!!)

「ご、ごしゅじんまさ…???」


「お、男は…漢は!女を軽く扱ってはいけないんだもんよ!!ウンンッグー!!!

 ちゅううしてええええええええええええええええぇぇぇぇぇぇl!!!!!」

(くぇrちゅいおp@おおおおっぱいいいまんんんごおおおおおぉぉぉぉ))


「ご主人様!お気をしっかり!」


「そうぶさま!!もうしわけありませ~~~ん!!!」

スゴゴゴゴゴゴゴ

巨大なブルドーザーのように!いやもっとタチの悪い速度も重量もはるかに超えるものを

小娘程度の体格で止めれるわけがなかった!

うん!


頑張って下顎を受けとめているが設置面積の小さい足の裏、ここは海岸沿いの砂浜

どうやっても滑ってしまうのだ

足を釘の様に打ち込みでもしない限りは。

「こいつ、さきほどのごめいれいをきいていた、みたいで~!いかくをいに、かいしま、せん!」

「「?!」」

デカブツは大きな口を左右に振ってソードは振り回されてる




『うっぜぇえええええぇぇぇぇっっっ!!!!』


ごぼぐしゃぁああああああんんごろろろろろろッッ!!!!


ふぅ~~~ふぅ~~~ふぅ~~

「てぇんめぇは今日の晩御飯にしてくれらぁ!!!そぉど!腰のモンかせぇやぁあぁ!!!」

「は!!」

片膝をつきこうべを垂れつるぎを両手で頭よりあげた


飾りのない片手半の洋剣、(飾りのついた物は全て駄剣おもちゃだ)

陽炎、霊化の度合いは黒とはいかない鉛色と言ったところか

柄は栗色、刃は藤色、磨きは上々、落ち着いた良作。傑作とはいかないが包丁には過ぎた作だ

まあ霊化など所持者でなければ意味がない、…あれ?いや所有物の霊化装備ならどうなんだ?


霊化とは魂で対象物初を染め上げて意味を成す

新品の包丁より使い込んで手になじんだもののほうが切りやすい

なじんだものは手を入れた分だけ答えてくれる


霊化とは化学ばけがくの理を外れた現象をもたらす変化


ガッシ

「おりゃあああああああああああ《↑↑↑↑↑↑↑↑》ぁぁぁぁぁああああああああああ《↓↓↓↓↓↓》」



「げえぇぇぇぇ!!!!!!!!!!!!!!」


「「!!」」

デカイニワトリが陽炎をまとっていたのだ



―――【死力到達者ダイエルガー!!】―――


「いやいやいやありえねぇえええええええ!おめえぇええ死力ってのはな勇気‼気合‼根性‼の結晶なんだもんよ?!そんなケダモノができて瀕死の手負いだっぺよぉ???ぇぇえ??」

「そ、そうです死力とは本来、瀕死の状態で初めて使える火事場の限界突破のはず…」


転んだだけで使えれば苦労はいらないもんよ


無理繰使うこの力はその名の通り死をもたらすのだ…

                             ザザ


ザザ


嗤う竜



「ヤロウ……あれは死力じゃない生命力・・・だ」

「ご主人様?何が違うのですか?、ソード!時間を稼ぎなさい、死力は長時間使えません!」

「無駄だ、…あー無駄じゃないがあっちのは使い切っても死なん」

「ぇ……?」

「腹の中の人間を生かしたまま吸ってやがんの!ムカつく!!」

―蛇のデカいのも丸呑みするからあのデカさなら3、4人入っててもおかしくない…か―

霊化の度合いは蜂蜜色か淡い淡い。

まあ人間ならアメコミヒーロークラスか…赤マント抜きで。

デカさがデカさだかなぁ…トラックが戦車に化けた…いやもっと

手足がはえて弾も避けるぐらいしそうだ…それって


それって!!

人型戦車!希望戦車ガンダン 銃 弾 じゃーん!!!

ザザ

あ…ぶらっくないつって……


じりじりと焼けた砂をすり足でニワトリヤロウとの間合いを詰める

奴の生臭い鼻息が頭上から降りかかるすごい熱気だ

―ヤベ、ヤロウの【能力】わかんないのに近づいちまった!

  火とか吐かないよな?吐かないよな??―


ボウ


―うわぁおおきなおくちですねー―


!!


―防御!ギ・プ・スつけてたああああああ‼―


「「装武さま!!!!!!」」




 ゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ

 オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ





「お?なんともないぞ」

「ブラックナイツ、『メイス』オンマエニ」

今度は黒の重鎧、メイス? 戦槌ハンマーと円盾、牛の角と黒のロングストレートが特徴だな

(ソードの金のポニーテールは兜飾りではないのかもしれない…)

顔はこちらも騎士のフルフェイスの面が下りていてわからない

背は小さくゆみやちゃんより低いが負けないぐらいおちちが膨らんでいる、うむ

発音が外国人ぽいな


ザザ


外国?オレの国ってどこだっけ・・・・?


ザザ

国旗国旗国旗国旗日の丸

…ザ


「【レガシア】しばらく抑えろ」頭痛が……痛い

「ハッ」

鎧のついたロングスカートを翻しシールドごとぶち当たっていく


ごぉおん


「ご主人様!お怪我はございませんか?お加減がよろしくないのですか??

 冒険は又にしてお休みにしましょう?今日やっとお目覚めになったばかりですもの」

「少し混乱しているが大丈夫だ《ザ》/ザ/ザ/…《ジリッ》ここは……日本か?」

「はい、ここは日本の関東東部の沿岸です」


ごぉおおおんガンガン


「そ…うか知らない世界かと思ってたよ、俺の国にあんなのはいなかったからなぁ…

倒してしまうとしよう!そして勝利を君にささげよう、ゆみや!アレを倒したら唇を頂く!」


「は………はい!!」


(ご主人様の横顔…かっこいい♡ それにキス!キスキスキス♡キスキスキスキス♡)


ガンガンガン

「ご苦労、レガシア代われ。隠れてるフォレスタにも休むよう言っておけ」

「だ」

「仕切り直しだ、でかぶつ、俺が相手だ」


フンと鼻息を飛ばす先ほどより間合いを開けているからかからない

―おそらく、息(ガス?)を溜めている間は走り回れないのだ


構造は謎だがあれは【能力】ではない。感だが。



――――能力、死力を使ってできるることはそう常識からは外れない

白なら百メートル10秒で走れる人なら9秒程に

蜂蜜色では倍の速度も出ない…はずだ感覚でしかないから確実ではない

同じ程度で赤くなれば負荷はかかり出力も大きくなるが不安定になるだろうおそらく瞬間最大なら2~3倍

青くなれば減退し出力は低くなるが安定して長い時間走れるだろうが戦いには向かない

紫は波形、出力とも不安定になり体を壊してしまう、が、その振れ幅は黒をも凌駕する

黒は出力振れ幅共に安定して高い理想系となる、

濃淡は濃いほうがより出力がたかい、ただ死に近くなる


炎を能力で出すならば死力をごっそり放出してしまうことになる

故に内に留めて筋力増加や皮膚の硬化などに使う


「ご主人様~~がんばって~~~~♡」ふりふり


――――がんばって?何を浮かれているのだろう!!ご主人様が頑張らないと勝てない…?

 私の唇が安くないといったご主人様がこの勝利に同等の価値を見出す程に実力が肉薄している?―――


装武様の体重約100キロ恐竜の体重推定10トン以上!!その差100倍以上!!!


以前のご主人様であればどのような敵であろうと必殺技【葬送ほうむラン】で一撃で倒せる

文字道理必ず殺す技であり、ただの打撃技ではない。

その正体は死力をもって凝縮した殺意を打撃とともに放つ


魂砕き


最終奥義【万類葬送まんるいほうむラン】一種の究極技と言って過言ではない唯一の絶滅級必殺技

単体技の葬送を遠距離、広範囲に撃つだけでなく対象の種族の魂の連鎖を原点まで遡りその種は絶滅する


いえ、対象を絞らなければきっと…

生命の原点まで遡り一切合切をみなごろしにしてしまうトンでも技だと考えられる



それも死力が残っていればの話であってダイエルグ抑制ギプスをつけて頂けなかったら

星火穿の発動だけで死力が尽きていたかもしれない、


そう思いなおすと怖くなる、この冒険は本当に危険を冒す意味のボウケンであると


わかっていた、わかっていたからこその黒騎士団と抑制ギプスなのだ



「ご主人様!今こそギプスの力、使うときです!〝変身”してください」


!!


「よ~~~~~~~し!!!やったるぜぇええええええええぇぇぇッッ!!!!!」


なぜそのことに思い至らなかったのか…主人に足枷をお願いするのだから僕の自分もと、

同じくギプスをつけたのだ…この首輪型の。

ここまで思考が鈍るとは



バッ・バッバッ/力を籠めた拳!胸を張り正拳左!右!!


ぉぉぉおおおおおおおおおッ!!!!/腕をクロス!


――――『『変!


ザザ


              シン!!』』―――――



『仮面んッッッ!!バッ!!!タァアアアアアアアアア!!!!』



(((((オレ!カッコイイ‼‼‼‼‼‼)))))




「ご主人様かっこい/ドドドゴガガガガガドッゴロゴロロロロロロロッッッ/きゃー!」


推定10トンが突っ込んできやがった!


「ぶっ!てんめコンノヤロウ前口上まで言わせろバカ―!!!」


ぐぁ?


「ゆみやちゃんかっこいい?かっこいい??」

「ご主人様かっこいいです!!」↑↑

ソード「ご主人様かっこいいです!」↑

メイス「ゴシュジンサマカッコイイデス」→

???「ご主人様かっこいい?です」↓


「……フォレスタ君」( ゜д゜)

「はっはい!あまりお変わりがないように見えたので・・・」


「フォレスタは遠距離型【バリスタ】眼は良いのですが範囲を広げすぎたため

 霊波感覚の上限が低いのです。おそらく以前のまま、ご主人様の陽炎は黒ですね?」

「はい」

「今黒を超えた黒、神秘的な煌めきを散りばめた『黒金くろがね』の陽炎をまとわれているのです」

(この小さな無数のきらめきは…星?…いえ、まさかそんな

 〝宇宙”?ごく小さな宇宙ができては消えている!?)




―――宇宙

この世界の宇宙について注訳を加えねばならない

読者の知る宇宙はビックバンと通称される現象から生じるものだが

この劇中に言う宇宙はブラックホールのことである。が、故にこの光は超新星爆発を指す

宇宙とブラックホールはそれぞれ内側から見たもの外側から見たものの差でしかなく

宇宙の外には宇宙が存在する

宇宙の定義が事象の地平線による区切りによるものであるからだ。―――



「ご主人様は本当に…美しいです…」


「仮面バッターなってないもんよ?」†+(´・ω・`)†

「申し訳ありません、ご主人様が凄すぎて黒に染めたミスリルメイルが展開できなかったのかと。

次の機会までには調整しておきます、お許しください」

「俺が凄いんじゃ仕方ないもんよ。ちょっと遊んでくるもんよ」


向き直るとようやくかよとばかりに熱い鼻息を噴き出していた


ソードの剣を肩に担いで、空いた手でコイコイしてやる


なるほど奴の能力は『突撃』に特化しているようだ

ドン・ドンドンドドドドが

ドンッドドドドになるのか。

剣を受ける直前で加速するのを予感する

加速と牙爪羽毛の硬化かなるほど。

人間VS10tトラック時速60Kmってとこだな―――ヤツは避ける気がない

今ならわかる、陽炎の揺らぎが教えてくれる


球種はストレート一択


オレは剣を構え/ヤツは突っ込んでくる!




―――「野救剣やきゅうけん!!!」



右手大きく振りかぶり/お互いに避けられる距離ではない!/≪加速≫/ヤツの牙は剣よりも速いッ!!



            ―――『千凡K・O《ノック》!!!!!』




「ふおぉぉおおおぉあたたたたたああああぁぁぁッッッッ!!!!!!!」

ガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガッ

ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドッッッッ

「ッッッんんんんんんん!!!!!んんごおおぉぉぉぉぉ!!!!」


ブ、ブヒィィィィィィィィイイイイイイイイ!!!!!


オレはゲンコツで殴った!!!

振りかぶった剣を途中で放りっ

ヤツが剣を躱すタイミングより速く前に出ていた拳を当てたっっ

デカブツの次の挙動より早く次の一撃で悶絶させる


オレ、お前が泣いても殴るのやめない


千凡ノックは必殺の逆だ、殺さないための技、

通常のK・O《ノック》ならば強打で意識ごとぶっ飛ばす技だが

対集団技の千凡ノックを単体に使うと意識は逆に飛んでくれないのだ


「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」

ガガガガガガガッッ!!!!


ブリュッ

ブォォォオオオゴゴッッゴェェゴッにゅるん


「ぉーでたでた」(*´▽`*)



「ゆみやちゃん、この人ら助けられんかな?手足無いけどまだ生きとる」

「ご主人様が助けろと仰るなら最悪脳だけでもあれば」

「ぉ?あっちの頭も?」

「可能です」

「すげぇ!」


あ!

勝った……

よーし、勝った!


「ぉッしゃ勝ったアアアアアアアアアアアアアアアアアァァァァァァッッッ!!!!」

((((((アアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!))))))


ぱちぱちぱち

「素敵ですご主人様♡武器も使わずこんな大きな獲物をしとめてしまわれるなんてなんてお強いのでしょう!」


うはははははははは

「愉快愉快、丸焼き丸焼きぶらっくないつ薪を集めてこい!」

「「「はっ」」」


ふわり

「ブラックナイツ『ワンド』御前に」

「遅い、生首と達磨3体回収して再生処置を施しなさい。傷まないよう車の保存庫を使いなさい」

「はっ」


「行く前に少し確認させろ、ワンドは【ステラ】だな?」

「はっ」黒ローブは膝を着く


「ソードは【ジャスティス】俺がプラモにつけた名前のはずだ、主人公のガンダン ・D《ディステニー》イーグル」

「はっ」


「メイスは【レガシア】敵の強いガンダンC《カスタム》バイソン、バイソンはもともと黒いが」

「だ」


「バリスタは【フォレスタ】主人公側の仲間スナイパーガンダン ドラゴンノヴァ」

「はい」


「ワンドは【ステラ】ヒロインのピンクショルダーのガンダン フロッグ19

…18だっけ?味方はみんなマーク18か、イーグルがマーク19だっけ?

 肩ピンクは残してあったはず…で髪がピンクなのか」

「そうです」


「この小刀みたいに霊化したプラモデルが中にはいってる…のか?まあちょっと仮面はガンダンぽいな」

「はい、人型の物には魂が移りやすいので動く体を作りましたらこの通りです」

(むううなんで俺の分身なのに女の声なんだ……ヒロイン以外男だもんよ?

マグナムやバーストになると女増えるけど初期は男ばっかりなんだよな…それが初期の渋さでいいとこなんだけど)


「オレのってのはずっと感じてるからまあそれでいいや、よし!散開!」

「「「「はっ」」」」



(ぐふふふふこれからご褒美タイムだもんよ!)

「ゆ、ゆゆゆ、ゆみやちゃんここ座るんだもんよ。じゅ、絨毯敷いてやっかんな」

腰巻にしていた絨毯を広げてぽんぽんする

「あ♡わたくしも脱いだほうがよ、よろしいですか?」


ザ―――


―――「女ン子のスカート捲るんはおとこのすることやないで!

 あ?女ン子の服脱がしてええのはエッチん時だけやで、ん?結婚してからや!わかったかジュウジ!」――


「結婚してから!エエ、エッチは結婚してから!

フーフーフー

 ちゅ、ちゅ・ちゅーだけだから大丈夫」ニッゴリ


「ご主人様、少しだけお待ちいただいてもよろしいですか?」

「ど、どしたの?ふっふっふぅ」

「お顔ギプスが浮き上がって怖いお顔になってます。それと唇はもっとやわらか~くしてください」


するりと首に手を回され間合いを詰められてしまった 達人の様だ!

「謝らないといけないのかもしれません〝装武さま”は初めてかもしれませんがご主人様とは…

お休み中にお目覚めのキスしたんですよ…何度も」

「まじかぁ!じゃあますます気に入っちまったもんよ!」なでなで

「ぁ…♡」

「き、きすはすす好きーってことなんだもんよ

 ゆみやちゃんの髪は艶々のすべすべだもんよお前これいい女の証拠だぞ」

「私は悪い女なのです…でもご主人様への気持ちは本物です……これだけはこれだけは…」

「いいや!お前はいい―女だもんよ!決めた!!」


 「お前幸せにするんだ!!家だけじゃ足んねぇ!ごはんだ!!!

  

 毎日お腹一杯ご飯食べさせんだ!お肉も毎日だぞ!!おいしいもん食べさせんだ!!


 桃のゼリー食べさせてやるぞぉぉ!!よーし!!」


「もう、それご主人さまが好きな物ばっかりじゃないですかーふふ」

「ゆみやちゃんが笑ったぞ!!今笑ったぞ!


 お前の望みはな~んでもかなえてやるんだ!幸せなる様に!

 









  死ね」



 







ゴン












大きな口を開けた恐竜が崩れ落ちる





「・・・・・・・・・・・・・・・」



抱いてる細い体から弾むほどの心音が伝わった


「びっくりしたか?もう大丈夫だぞ今度のはちゃんと止めしたから」

結局葬送ほうむランつかっちった、てへぺろ)

「私は・・・そのご主人様さえいてくれればそれだけで、それだけで幸せになれるのです」

ぴと


「ならずっとこう抱いててやっかんな、したらずっと一緒だもんよ」

「はい…ご主人様」


(ぉっぉっぉっ?いい感じ)


「幸せにしてやっかんな…ちょっと目つぶってるもんよ」


「はい…」


俺のがでっかいからちょっと顎をあげ…てた


「愛してっかんな……」(ん~~~




あたま



まっしろなる…















「…ご主人様??うそ??そんな!! ご主人様!!!



 音が!心臓が…止まってる!!ご主人様!!死なないで!!!!!!」


またなんか




耳が遠くなるな…





一話に一回死ぬパターンかな…



まじで?







おかあちゃんだ



おーい





おーい






「なんやジュウジ最近よく合うな。ちゃんと飯くっとんけ?」



あーごはんまだそんなに食べてなかったもんよ



お魚とね…ごはんとね…んーんー……ぶろっこりー!



「ぶろっこりー食ぅてへんやん…そんなじゃお母ちゃんオチオチ死んでられへんやんけ

次ぎあう前に孫の顔ぐらい見せたってな?」



あ、そうだえっちするんだった


あんね、ぼくねおよめさんもらうんだ(えっへん



「ほうかほうか、お母ちゃんの言ったこと守ってあの子ちゃーんと幸せにするんやで?」



うん!



「ジュウジはええ子やね」にっこり





「ほな、もう起きなあかんで…」




…うん





「ゆ……だいじ……やで………うじ……」



あかあちゃんも元気でな!!!!









(しんどんのに元気もくそもあるかい あほちゃん)




―――――



クワっ


「えっちするまで死ねるかーいッッ!!!」




「「「「装武様!!」」」


「ジャスティス!そいつ解体して俺に食わせろッ/「はっ」/キモだ肝臓を最初に食わせろッ

 レガシア!心臓マッサージッ止まってる!!肋骨が折れても構わんやれ!!/「だ」/

 フォレスタ!肉、や、け/「は」/ゆみや、ちゅーして・・・れ・・・」「は、はい!」


「ご主人様そのように大きなお口をあけられてはいきなりディープなのですね…」


ちゅー…


ジャ「ゆみや様ッ!!!鼻を抓んでください肺まで空気が入りませんっっ白目剥いてます!!」

「あ!」


体重を乗せレガシアは装武の胸を弾ませる

ジャスティスは二呼吸程度で肝を取り出して見せた

ゆみやの人工呼吸17回目でようやく息を吹き返した


「血抜きもしない肝ですが…よろしいのですか?大きすぎます」



一抱えもあるクッション程のそれを心臓マッサージをしている人間の頭に乗せたら

窒息するだろうことは想像にたやすかった…が


「んが~~~~~~~~ぶひほめ《ぶちこめ》!」


主人の命令が優先された





ほが!!!!




んごっ




んごっ




んをおおおぉ




ンんッ!!


ふ~~~!ふ~~~~~っ





飲み込んだ




腹よりでかいものをどういうわけか腹に収めた

それ以前に食道をどうやって通ったのかはなはだ謎である


「ふぉれー肉焼けたか?!」

「も、申し訳ありません…ま、まだ焼き始めたばかりで…え、えぇえ??」


「焼けたら起こせ寝る」

「はっ」


「「「……」」」




「レガシア!ご主人様の脈は?心臓は動いてますかっ?」

「は、ハイ、心音、呼吸、トモニ正常…デス」


「そう…そうね…私たちが生きているということはご主人様は健在なのだから

 ご主人様さえ無事ならそれで…」




「ソード、血まみれよ、奇麗にしたのち周囲を警戒、

メイス、ご主人様が冷えてしまわないように周囲50に真空層展開

バリスタ、そのまま調理を継続、二酸化炭素濃度に気をつけよ」

「「「は」」」





「ご主人様は良い夢を見られてるのですね…幸せが伝わってきてますよ

…愛してますご主人様」

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