第5話 不思議な風

それから数日後。


山田さんに連れてこられたのは、往来の少ない古びた駅だった。


「じゃあ、西山さんはこっちのホームにいてね!私は反対側のホームにいるから!電車が来たら、そのまま、目つぶってて!」


早口でそう言うと、山田さんは反対側のホームへ続く階段を駆け上がっていった。


「おーい!!大丈夫だから!そのまま、なーんにも考えないで目つぶっててね!」


と、反対側のホームから手を振っている。

この状況で、何も考えられずにいれるのか、、と心配しているのも束の間、私と山田さんが立っている間の線路に、特急電車が、ものすごいスピードでやってきた。


私たちの目の前を、電車が通り抜ける。


フワッと全身が浮くような感覚と同時に、

顔に強い風が当たるのを感じた。


10秒ほど経って、風が止んだ。


ゆっくりと目を開けると、


向かい側に、私がいた。


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