第30話美優16

「あの・・・・・私達この家を出て行こうと思っているんですけど・・・・」


「私達?美優さん一人じゃなくて?」


特に驚きもせず、姑は料理の手を進める。



「なんで私一人で出て行くって事になるんですか!」


「だって貴方。いつも頻繁に実家に帰っているじゃない」


「それはそうだけど・・・・。そうじゃなくて!

私と主人の二人で、この家を出て二人で暮らしていきたいんです」


「あの子は何て言ってるの?」


「主人は・・・・・・」


「出て行きたいなら、貴方一人で出て行きなさい。

もう戻ってこなくていいわ。

離婚届にキチンとサインしていってよ」


「えぇ?!ちょっと・・・・どういう事ですかー?!

私達に離婚しろって言ってるんですかっ?!」


「そう。こっちも我慢の限界なの。

仕事もろくに覚えず、フラフラ実家に帰ったり戻ったりを繰り返して・・・。

とんだ期待ハズレだったわ。結婚式の費用も全額ウチが持ってあげたのに」


「そんな・・・・・!しゅ、主人は嫌がります!!!

きっと私とは離婚したくないって!!!」


「それはどうかしら?あの子に聞いてみればいいじゃない。

もう話は終わりでいいかしら?

貴方と違って私達は忙しいの。

お店の切り盛りにおじいちゃんの世話があるから。

一日中文句ばっかり言ってフラフラしている貴方とは違うのよ?」



はあああああああああ????????

急いで2階に居る旦那の元へ駆けていった。

離婚だなんて嘘だよね?!

この家より私を選んでくれるよね?!

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