第13話綾10

「ちょっと待って・・・・パートって・・・・。

私がやる訳?」


「そうだよ。うち金ないから子供もまだ作れないし」


「金ないって・・・。貯金はっ?!」


「ここの家借りるのと家具揃えるのに使い切ったよ。

お前が一銭も出してくれないからさ~」



えええええ?!

だって普通新居って旦那が出すモンじゃないのっ?!



「それに3年も銀行に勤めていた癖に貯金が10万しかないって・・・・。

貯金出来なさすぎだろ?何に使ってたんだよ・・・・」


「それは美容室代に洋服代に爪の手入れとエステと・・・・・。

維持するにはそれなりにお金がかかるんだからね!!!」


「失業保険は?これまで出てただろ?」


「それも毎月の美容代に使ったけど・・・・・・・」



旦那の為に綺麗で居る事は当たり前だと思っていた。

だからお金の全てをそれに注ぎ込んできたんだけど・・・・。



「はぁ・・・・・・。そんな金遣い荒い奴に家計は任せらんないわ。

家計は俺がやりくりするって事でいいよね?」


「えっ?!それは困る!今月から失業保険も出なくなっちゃうし!!!」



そろそろ家計を任せてくれるって思ってたから、貯金も失業保険のお金も使い切ってしまった。

お金を貰えなければスマホ代すら払えない可能性がある!



「困るならすぐにでもパート先探せばいいじゃん?

その為に求人誌を買ってきたんだからさ。

金足りなくなったら少し位なら貸せるけど、パート代出たらすぐに返せよ」



何それ?

どういう事?


「この私がパートしなくちゃならないって・・・・。

しかも貸すとか・・・・・、これって経済DVじゃないのっ?!」



「あぁ~・・・やっぱ金遣い荒い女よりも堅実に貯金出来る子の方がいいよな」



旦那は大きなため息をつくと、そう呟いた。

はぁ?意味わかんない。

私がパートするなんて嫌!・・・・・・だけど、離婚なんてカッコ悪くて出来ない。


金遣いが荒い女って私の事?ダッサイ貯金女の方がいいってどういう意味?

全然理解出来ないっ!!!

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