秋桜

6-1

「私、おとめ座になる」

 校門を出たところで、急にすーちゃんが言った。

「おとめ座。なんで?」

「なんでってそりゃ、可愛いからよ」

 言われてみると、おとめ座というのは可愛い気がする。

 これまで星座など気にしたこともなかった私だが、なれるなら私も「おとめ座」になりたいと思った。

「私も、なりたい」

「いいよ!」

「でも、どうやっておとめ座になるの」

「わからん。」


 私は自分の星座も知らなかった。

 それどころか星座に何があるのかも知らなかった。さらに言えば、どういう法則で星座があてはめられているのかも知らなかった。血液型みたいに生まれながらに、体の何かが星座を決めているのかと思った。


「あんたは、おひつじ座よ!」

 帰宅した後にお母さんが、笑いながら言った時、おひつじ座もなんだか可愛い気がして気に入った。

 4月生まれだから、私はおひつじ座。

 6月生まれだから、すーちゃんは、かに座。

 かに座は、あまり可愛いと思えなかった。

 だからだろうか、次の日すーちゃんに「私、おひつじ座だった」というと、すーちゃんは少し考えてから、「じゃあ、おとめ座になったらダメ」と言った。「私が、おとめ座になるし」とも言った。

 そう言われると、ずるいなあ、私もおとめ座がいいな。と思った。

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