Twitterにおける企業の宣伝手法②
ではそのような中で広報したい作品や場所、情報などをいかに受け入れてもらうか? 冷ややかな反応のユーザーさんの見る目をいかに温めるのか。
それを解く鍵は、やはり共感と共有、という要素になってくると思います。
突然ですが、ここでSNS時代の企業の広報について、ここでまったく別の観点で話題になったツイートを追っていきましょう。
これはある旅館さんの公式ツイッターアカウントさんの投稿の要約ですが……
みずからの旅館の写真などを宣伝するよりもアニメの感想をツイートしたほうが宣伝になる、というような趣旨のつぶやきでした。
ツイート全体はゆるさと明るさにあふれたものでしたが、これは本当に企業のツイッターにおけるあり方を考えさせられるものでした。
またその公式さんは、ゆるい企業広報として有名なSHARPさんの「企業Twitterは広報ではない」といった趣旨のリンクを参照しつつ、「極意」だとした意見も述べています。
ゆるさばかりがすべてではないし、その対極にあるプレスリリース的な堅さのある公式情報の配信ももちろん必要だと思います。
そのうえで、ユーザーフレンドリーな「ゆるい」アカウントを運用する、という手法はかなり有効なのではないかとは思いました。
企業公式だって運用次第で個人に近い(ように見える)運用が可能であるはずで、企業公式そのものが「あなたという面白い人間がいる」という枠で評価されることだってできるはずなのです。
そのような「人間味が見える」ことが現代のマーケティングを考える上で重要なファクターだと私は思っています。
先の編集者さんがおっしゃっていた「宣伝が信用されなくなった」というのは、直接的に「私が作りました! 見てください!」というようなアピール法では、企業ないし個人が「押し付け」ているように見えるからではないか、と個人的には理解しました。
テレビや新聞、雑誌などのマスメディアが一方的に情報を与える、という20世紀的な時代ならば情報の摂取手段がそれしかなかったのですから多くの人は受け入れるほかなかったのですが、現代はすべての個人が情報を発信できる時代です。
宣伝や広報は一方的であってはならず、ユーザーと双方向であることが求められているのではないでしょうか。
そして私のように、コマーシャルに必ずしも嫌悪感を抱かない、といった人たちも存在するはず。
それに、また多くの人にとって本当に好きなものの宣伝ないし広報であるならば、それを見ることはイヤではない。それどころか心地いいと感じるはずです。
これはある方のおっしゃっていたことの受け売りですが、宣伝そのものが嫌いである、という人もまた少ないはずなのです。
逆説的にも聞こえることでしょうけれど、「宣伝」を感じさせないほどに好感を持たせる――つまりは「共感」させることができれば、最大の宣伝効果が生まれるのです。
宣伝を感じないほどに好感を持たせ興味のないユーザーさんの冷ややかな心を温めるには、ユーザーフレンドリーであること以上に、ユーザーと共にコンテンツを楽しんでいる時間を共有しているという「同時間性」の演出が効果的だと思っています。
先の旅館さんがアニメ関係のツイートをしたことがたまたま旅館そのものの宣伝につながった、という事例も、同じものを同じ時間で楽しんでいる「仲間」のひとりなんだ、と多くの人から受け取られたからなのでしょう。
コンテンツはひとつの物語の箱としてどこかに埋まっていて、誰かに見つけてもらう、というのではない。
その中身をいろんな人が同時に視聴することでその魅力を共有できる状況をいかに作っていけるか。
現代は――いや昔からそうだったのかもしれませんが――そのような環境の整備が重要になってくるのではないでしょうか。
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