『小説家になろう』の異世界転生流行とは②
ここで私が重要だと思ったのが、その「異世界転生」という「お題」を多くの人と「共有」している――という、「同時間性」です。
だからこそ「毎日投稿」ないし頻繁な更新が大事になってくるのです。
私はこれまで「なんで毎日投稿しないといけないんだろう? 頻繁に更新することで多くの人の目に留まるためか?」と思っていました。それはそれで一つの理由ではあるのでしょうけど、それはおそらく本質的な部分ではない。
この「毎日投稿する」ということは読者目線からしたら「毎日その物語と共にある」という時間を「消費」していることとなり、ここが現代の物語の受容のあり方を大きく規定しているように思えたのです。
読者目線で考えれば、それはもはや読者さんの生活の一部であり、自身を規定している一部でもある。その意味で毎日更新されていく「なろう」さんで見ることのできる数多くの物語は、フィクションではあるものの、「時間」という軸の中でリアリティが与えられた現実の一部として読まれているのではないか?
不断に更新されるその物語が、自分の生活と共にある種寄り添うことである種の「ナラティブ」さ――主体的な「私」を構成する物語として消費されているのではないか、という視点が『小説家になろう』や『カクヨム』などのWEB小説を見ていくうえで重要な鍵となりうるのではないでしょうか。
その時には、別に何も必ずしも「異世界転生」である必要はありません。
「異世界転生」ないし「伯爵令嬢」ないし、今は「おっさん転生」なんですかね――ともあれ「小説家になろう」さんの中で「お題」がなんとなーくゆるやかに共有されているという事実こそが本質で、また別の新しい「テンプレ」が生まれればまた別のテンプレに沿って多くの物語が展開されていくのでしょう。
その新しいテンプレが「カクヨム」で生まれ、「カクヨム系」と呼ばれるようになっていければカクヨムにも大きな可能性があるものと、私は確信しています。
もちろんその「お題」はなんでもいい、というわけではなく、「#魔女集会~」や「異世界転生」のように多くの人の心を捉える必要があるでしょう。
私は「恋愛」ないし「ラブコメ」ジャンルにその新しい可能性があるのではないか、と個人的には感じています。
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