最強は、最高ぅ!!
『
もともと
尻尾の先までたぎるぜ。
バシンバシン尻尾で床を叩いて次の情報を待ってると、ラッセの硬い頭が勢いよく下顎に命中した。
「
「ダル、さっさと避難するよ」
「は?」
避難とか、意味わかんね。
この街の奴らは、亜空間転移
けど、俺は違う。戦闘民族、
顎をさすりながら首をひねっていると、ウノのウォーターボールがずいっと急接近してきた。
『だから、貴様は脳筋なのだ。今は、リンもいるのだぞ。その上、我らは今日すでにカテゴリー2の
「は?」
というか、リンならさっきアルゴ995号の案内で避難完了してるじゃないか。
意味わかんね。
「
「わっ」
ラッセの目が赤く光ったと思ったら、俺の後ろの壁に穴があいた。危うく丸焦げになるところだった。あぶねー。
つか、なんで、ごちゃごちゃ言われなきゃなんねぇんだよ。
「けど、俺の血が騒ぐんだよ。お前らは避難すればいいだろ。そうだよ、仕事じゃねぇし。何をしても俺の勝手だろ!」
「ちょ、ダル!!」
ラッセとウノが、まだ何か言ってるけど知るか。
尻尾の先までたぎってる俺は、誰にも止められない。
「最高かよ」
外に飛び出すと、防壁
夜の
「あれか。飛行
避難に急ぐ人々の頭の上に飛び上がる。
「ダル!!」
下からリンの声がした。
まだ、避難完了していなかったらしい。
青くなったアルゴ995号が、ブルブルと震えながら彼女のそばを離れて目の前に飛んできた。
『あわわわ……駄目ですよ。ダルは、
「うるせーよ。お前はリンを連れて、さっさと避難しろよ」
すぐにとっ捕まえて、リンの方に投げる。
『あわわわわわ!! ダル、無茶ですよぉおおお!!』
「はいはい。
わかってる。
自然発生の
まれにあるんだよ。
たぶん、そんな奴らが
こっちは、巡る円環の変態頭脳アルゴの防衛システムがしっかりしてるんだよ。
「
金色に光る拳を握りしめる。
空に浮かぶ歪な頭で、ポコポコ胸を叩きながら降下してくる
黒光りする剛毛に、ごっつい体。
「なかなか、いかつい顔してんじゃん」
島の外周から展開されてきた防壁
「ウッホ」
「ウホ」
「ウホォ」
降下してた
防壁
それにしても、奴ら、俺に気がついていないのか。
ラッキー。
これは、チャンスだ。
「左腕集束
「ウッホ」
「ウホウホ」
「ウホッ」
「ウホーイ」
奴らも俺に気がついたようだが、こっちは負ける気がしねぇ。
「ウホウホ、うっせーよ」
左腕から伸びる
「ちょーすげーヤバイ
「なんで避けねーんだよ」
秘密の特訓で取得した、ちょーすげーヤバイ
「ウッホ!!」
急降下しながらダムと両手で胸板を叩いた衝撃波で、俺のちょすげーヤバイ
「まじ……?」
ちょ、俺……
「ウホォオオオ!!」
まだ俺めがけて急降下してくる
俺、死ぬのかな。
死んで、
考える余裕なんてないはずなのに、じいちゃんの話とか、仲間のこととか、どうでもいいことばかり頭の中で考えてしまう。
こんなことなら、もっと食べていればよかった。
それから、それから、それから、俺も
「消えろ」
「ウ……」
そのかわり、忽然と現れたのは、灰色のマントの男。
「ゴリラもどき、か」
夜の
カッコよすぎて、もう無理。
尻尾の先まで震えるくらい、カッコよすぎる。
「ウッホ」
「ウホウホ」
ポコポコウホウホ、うるせーよ。
俺のあこがれの
最高かよ。
つか、待ってたんだよ。
もうさ、もう、もうもうもう……
「……死ねる」
「……死ねん」
やべぇ、
マジで、興奮する。
「おい、
「は、はいっ」
目深に被ったフードの奥から、ほんの少しだけ灰色の目が見えた。
最強の
「死んでもいい」
「おい。
尻尾の先までしびれるぜ。
ウホウホもポコポコも気にならねぇぜ。
「おい、俺は機嫌が悪い。巻き込まれたくなれば、下がれ」
「は、はいっ!」
防壁まで下がる前に、せめて俺の名前だけでも覚えてもらおうって振り返ったら、もう
「ウッホ」
「ウホウホ」
「ウッホッ」
「やっちまえ!
俺の声援が届いたみたいで、
最強の
俺もいつか、あんな風になるんだ。
「ウホォオオオオオオオオオ!!」
カテゴリー1の
「ふん、ゴリラもどきに、殺してもらうわけにはいかないんでね」
そして、
「
「ウホ?」
「ウホウホ……」
「
W
「ウホッ?」
戸惑っている
「Down will come b
「ウホォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ」
あっという間だった。
本当に、あっという間だった。
「最強は、最高ぅうううう!!」
俺に声かけてくれたし、尻尾の先までまだ興奮してるぜ。
「あぁ、もう、最高すぎて死にたい」
どこに隠れていたのか知らないけど、魚たちも戻ってきてる。
それから、トビーの羽音も聞こえてきた。
バクリ
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