ホッとして、ゾッとした
それから、メガネ外しても視界がクリアだった。
左右の裸眼視力0.06のわたしにとって、裸眼でクリアな視界なんて、もう記憶のはるか彼方。逆に新鮮すぎる。
ちなみに、服は
その服を返してもらうまで、
「田村凜子さまの
なぜか、最後のほうで弱気になっている。自信がないのかな。
「いいもなにも、
「いいえ、そういうわけではございません。田村凜子さまが第10892世界『地球』に帰還されるおりに、返却することも可能です。それまでは、別の
「うーん」
答えは割とすぐに出た。
「ねぇ、わたしを地球に戻すことが、仕事だってダルたちが言ってたんだけど…………この世界に順応させるって、やっていることおかしくないの?」
「あわわわ……落ち着け、落ち着くんだ、995号。立派な世話係になるって誓っただろう。よし、
案の定、
そういえば、さっきトビーの中で干渉がどうのって話を聞いたようなきがする。
「それは
「これが
小さな
どうやら、
それにしたって、
外側の琥珀色の海だけじゃなくて、浮遊島みたいなのも見える。
「
「うわぁ……」
薄紅色の
大災害だ。
「これは、ほんのわずかな物質でも起きます」
「
「そうなんだ」
よくよく考えたら、地球が消滅も可能性ゼロだったわけじゃなかったんだ。ホッとして、ゾッとした。
ウノは、故郷の世界よりも
わたしは、
「わたくしどもの巡る円環は、異界人を
「うん。よくわかったよ。あ、でも、一度この世界に順応してまた元に戻るてことみたいだけど、本当に元に戻れるの?」
「もちろんです。元の状態にして帰還いただくのが、異界帰還
「へぇ……」
正直、不安だ。
だって、元の世界に帰ったあとのことまで、
でも、わたしの順応率が低下したら、
「ご理解いただけたところで、所持品の方はいかがいたしましょう?」
「うーん」
正直、迷う。
服とかも、きちんと頼めば、もっとちゃんとしたものを用意してくれそうだし、電源の入らないスマホなんて、手元にあっても意味がないしなぁ。
迷う。
「もし、後ほど必要となりましたら、わたくしに遠慮なくお声掛けしていただければ、少々お時間いただくかもしれませんが、いつでも返却いたします」
「じゃあ、とりあえず、服だけとかも大丈夫?」
「もちろんでございます。衣類の方は、順応率が基準値を超えておりましたので、今すぐご用意いたします」
得意げに
「今すぐにお着替えされるのでしたら、わたくしはもう一度、外で待機いたします」
「うん。じゃあ、お願い」
「かしこまりました」
かなり自信がついてきたみたいで、
「ハロー、ワールド。わたしも……」
「あわわわ! 田村凜子さま、申し訳ございません!!」
ワンピースのすそに手をかけただけだってのに、
「巡る円環の創立メンバーで三賢人の一人でもある、わたくしの
うん、
トビーたちから、
ピィちゃんの手がかりが早く聞き出せるかもしれないから、望むところだ。真性の変人ってのが不安だけど、ピィちゃんのためなら頑張れる。
だから、
嬉しいことなんだけど――。
「うん。話があるって聞いていたし、いいけど、その前に着替えだけさせてくれないかなぁ」
「あわわわわわ! し、失礼いたしましたぁああああ」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます