第33話 8月5日(木)異世界の扉の向こう側⑩

 僕たちのパーティはその後も快進撃を続け、ダンジョンに仕掛けられたトラップもうまく解析して前に進み、母さんや伯母さんの熱い声援(?)を背景にとうとう最下層にある冥王の玉座の間にきた。


ショータ『とうとう最後だね』

ミキティ『リリカさん、HPの回復頼みます』

リリカ 『はあい、今やりまーす』

まどか 『おっしゃあ、気合を入れていこうぜ』

ミキティ『おー!』

ショータ『OK』


「猛!この空間は広いから強力な攻撃呪文を使えるぞ。しかも冥王は不死生物アンデッドの王だから光系が弱点だ」

「分かってるよ。ただ、どんな特殊攻撃を仕掛けてくるかわからないよ」

不死生物アンデッドのボスキャラだから結構強力な技の持ち主だと容易に想像がつくぞ。HPの回復は任せたぞ」

「りょーかい」


 僕たちのパーティは冥王に攻撃を開始したが、僕たちは冥王がいる玉座のそばにたどり着けない。なぜならば冥王は大量の不死生物アンデッドを次々に召喚するから、僕たちのパーティは玉座の間の入り口付近で足止めを喰らった状態なのだ。


「猛、面倒だから呪文で全部吹き飛ばせ」

「さっきからやってるよ。でも、次々と召喚するからキリがないよ」

「だったらボスを一気に片づけるしかないのか?」

「!!!いや、方法はある!」

「はあ?どうやって??」

「あいつは不死生物アンデッドを召喚する時には、必ず左手の杖を地面に叩きつける。それをしない時は右手で不死生物アンデッドたちに補助呪文をかける事しかしてない。だから、あの手の動きを見ていれば次の動作が分かる。しかも、召喚した不死生物アンデッドが1体かゼロになると必ず召喚させるから、常に2体以上にしておけば召喚出来ない!」

「よくこの短時間に見破ったな」

「どちらにせよ、この距離では冥王を呪文で攻撃できない。だからあっちも僕たちを呪文で攻撃できないよ」

「そこにも気付いたとは褒めてつかわすぞ」

「美紀、呑気な事を言ってる場合じゃあないぞ。集団を攻撃する呪文は逆にあいつの術中にはまるから無理だ。僕が指示を出すからそれに従え」

「分かった。任せたぞ」

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