第32話 8月5日(木)異世界の扉の向こう側⑨

 この後も美紀の快進撃は続いた。僕はMPの消費に注意しつつ3人の補助や回復役に徹していたが、MPの回復薬もかなり持ってるからそんなに心配しなくてもいいし、MPを回復するスキルも使っている。ラスボスである冥王と対戦する時は全員のHPをフル状態にまで回復させる必要があるけど、それまでは気楽な立ち位置だ。

 バトルで得られる経験値も結構高いが、すでにレベル110のリリカにとっては少なすぎるくらいだ。リリカで少ないのだからレベル115のまどかにとってはもっと少ないはずだ。効率だけでいったら悪い方だ。

 でも、ドロップする宝箱はそれなりにある。売れば結構な値段になりそうなアイテムや防具を落として行ったが、決してレアアイテムと呼べる代物ではないな。


 だが・・・とうとうレアアイテムを落としていった!


「ちょ、ちょっと美紀!」

「何だよー、人が折角気持ちよくバッサバッサ倒しまくってるのによお」

「さっきの宝箱に入ってたアイテムは『悪魔払いの剣の書』だぞ!」

「はあ?たしか20万ゴールド以上の高値で取り引きされている、トップ10に入るレアアイテムじゃあないか!」

「さっきのスーパー亡霊騎士がドロップした宝箱に入ってたぞ」

「マジかよ!?」


ショータ『おーい、さっき、悪魔払いの剣の書が手に入ったぞ』

ミキティ『えー、マジ?』

ショータ『トップ10に入るレアアイテムを手に入れたのは俺は初めてだぞ』

ミキティ『私も初めて!超ラッキー!!』

ショータ『でもさあ、これは今の俺では作っても装備できないから売るしかないけ

     ど勿体ないなあ』

ミキティ『そう言えば私も無理無理。勿体ないけど売るしかないのかなあ』


「お母さん!小遣いアップ決定だよね!!」

「あらー、本当にレアアイテム、それもトップ10に入るレアアイテムを手に入れるとは思ってなかったからどうしましょうかねえ。まどか自身は装備出来るし、しかもリリカの分があるからねえ」

「そんな呑気な事を言ってないで、小遣いをちゃんと上げてよ!」

「わーかったわよ。じゃあ、1%上乗せね」

「えー、それだけ?」

「じゃあ、0.5%にしてあげる」

「卑怯だぞ!自分はビール片手に文句言ってばかりなのに!」

「だってー、あんたさあ、結構ダメージ喰らって猛君に何度も回復して貰ってるでしょ?お母さんから言わせて貰えればマイナスポイントよー」

「わーかったって!1%でいいよ」

「まいどありー」

「ったくー」

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