第14話 8月3日(火)今日はジンギスカン④

 結局、このジンギスカンは午後3時頃まで続いた。みんな交代で焼肉を食べ、用意したラム肉やウィンナーなども半分以上無くなった。母さんも伯母さんもさすがに今日は酔いつぶれる事は無かったけど、この一角だけは大量の空き缶が転がっていて、ホントにこの2人が飲んだのかよ!?と疑いたくなるような数だった。

 全ての材料を片付け、また、残った大判焼きとたい焼きは冷凍庫に移し、炭火を完全に消した後にコンロも洗って片付け、全部終わったら午後5時を回っていた。

さすがにこれだけ食べれば夕食はいらない・・・と思っていたら

「おかあさーん、夕飯は何時からになるのー?」

 おいおい、美紀のやつ、一体どんな胃袋してるんだ?僕は夕食を食べる気はないぞ!

「うーん、午後7時を回るけどいいかなあ。どうせ余り物を適当に並べるだけで済ますから、あんたがやってもいいわよー」

「じゃあ、あたしとみっきーでやりまーす」

「頼んだわよー」

 おいおい、マジかよ!?この二人、ホントに自分たちで夕飯の支度をするのかあ!?いや、絶対にあり得ない・・・こりゃあ、さっさと逃げるが勝ちだな。

 僕は気付かれないようにこっそりと玄関から入って・・・と思っていたら、いきなり左手を掴まれた。

「猛、どこへ行くつもりだ」

僕の手を掴みながら美紀はニコニコしている。そう、この笑い方は絶対に裏がある時の笑い方だ。

「あのー、僕、トイレ・・・」

「お前、さっき行ったばかりだろ?なら問題ないよな」

「えー、勘弁してくれよー。姉さんと美紀でやるって言ってただろ?」

「あたしもみっきーも『お皿を並べるのはやりまーす』って言ったんだぞ。準備するのはお前だ」

「そうよー。だからそれ以外はあんたがやってね」

「マジかよ!?」

「「そういう事だ」」

「・・・・・」

 は、ハメられた・・・。

 結局、僕は疲れた体に鞭打つ形で、余り物のラム肉に片栗粉を付けてジンギスカンの唐揚げにし、残り物のウィンナーや野菜を炒めてドライカレーの素を使って味付けし、それをお皿に小分けして人数分用意する作業を一人でやった。ご飯は昼の残り物の赤飯とおにぎりをテーブルの上に置いてセルフサービスの形にした。

 姉さんと美紀は宣言通りお皿を出す事と僕が盛り付けた料理をテーブルに並べる事はやってくれたが、それ以外は全くやってくれなかった。さすがに使ったフライパンや食べ終わった食器を片付けるのは美紀のお婆ちゃんがやると言ってくれたから僕は料理を作った段階で解放されたけど、またまた僕は疲れがドッと出て、シャワーをしたらさっさと寝てしまった。

 今日も滅茶苦茶疲れた・・・何のために摩周まで来たんだ!?

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