孝則に課された使命
二人のすぐ背後には、口を大きく開けたライオンのオブジェが。
どうやらここが孝則のいる世界と、エロワリアとを繋ぐゲートらしい。
マッチョは商店街の中にある、今住んでいるおウチに孝則を案内する。
「ただいま、ゲップ」
「おかえりー、マッチョ」
ゲップちゃんが出迎えてくれた。
「ゲップ、エロワリアを救う救世主を連れて来たよ。この少年なんだけど」
「あら、初めまして。エロワリアに、人間の男の人が来るなんて珍しいです。わたし、ゲップと申します」
「あっ、どっ、どうも、俺は、孝則。って、俺が救世主!?」
握手を求められ、孝則は緊張気味に応じる。
「じつは今、ここエロワリアの平和と、自然環境が乱されようとしてるの。説明すると長いので、公式ホームページのトップ画面をご参照下さい」
ゲップは深刻そうに伝える。
「これを見てごらん」
マッチョはスマホ画面をかざして来た。
そこには、ストーリーの説明が。
豊かな自然と健全な性欲に満ちた幻想的な世界―――『エロワリア』
世界の中心には言の葉の樹がそびえ立ち、
その上空に浮かぶ神殿から、心優しい女神ソラミミが聖なる力で世界を治めていた。
その恩恵を受けて、人々は温かく、幸せな暮らしを送っていた。
――しかし、その平和は突如として崩れ去ることとなる。
ある者のあまりにひどい体臭によって、女神ソラミミはその力を封印されてしまったのだ。
その者の名は筆頭神官、足臭ヴ(アシシューヴ)。
女神ソラミミの右腕だったはずの彼女の謀略により、エロワリアの平和と自然環境は乱されようとしていた。
この世界の危機に、立ち上がった1人と1匹。
神殿に務めていたゲップとマッチョは女神を救う方法を求めて旅に出る。
そして、長い旅路の果てに辺境の村で、とある不思議な力を持つ少女――からだと出会う。
なんと彼女は、「まんがタイムからだ」のキャラクター達に呼び掛け、彼女達を召喚する伝説の魔法『コレラ』を使える召喚士だったのだ。
――わたし達と一緒に世界を救ってくれませんか?
ゲップの願いを聞いたからだは、共にアシシューヴを止める決意をする。
世界の平和を取り戻すため、少女達の冒険が今、始まる。
「この世界、こんな経緯があったのか。大変みたいだな」
孝則は憐憫の情を抱いたようだ。
「こんな感じでエロワリアは今、ひどい体臭によって人々を恐怖に貶めようとする、アシシューブとそいつに仕える七臭者達の脅威に晒されてしまってるんだ。エロワリアに持病ありの人が多いのは、あいつらが環境衛生を著しく悪化させたせいなんだ。そこで孝則っちに、アシシューブや七臭者のやつらに風呂に入る習慣を身につけさせて、エロワリアの美しい自然環境と人々の健康を取り戻して、女神ソラミミ様の封印を解いて欲しいんだ」
「それ、俺がやる必要あるのかな? 召喚したキャラがやるのが、このゲームのシステムだと思うんだけど。そもそもマッチョ強そうだし、マッチョが戦ったらいいんじゃないかな?」
「システム的に、ぼくは戦うようになってないからね。NPCなんだ」
マッチョはハハッと微笑む。
「俺もなってないし」
孝則は間髪入れず突っ込んだ。
「孝則様、そう言わずに、お願いします。召喚したキャラ達も、たちまち体調不調になってしまって、戦力的に心配なので孝則様の協力も必要なのです。どうか、いっしょにエロワリアを救って下さい」
ゲップはうるうるした瞳でお願いしてくる。
「でもなぁ、俺、学校あるし」
「この世界と孝則様のいる世界は、自由に行き来出来ますので、時間がある時だけでいいので」
「それでもなぁ」
まだ決めかねている孝則に、
「孝則っち、あっちの世界じゃ非リアル充でしょ?」
マッチョは微笑み顔で問いかける。
「図星だな」
孝則は苦笑いを浮かべた。
「このゲームに嵌っちゃう時点で、だいたい分かるよ。孝則っちのいる世界より、エロワリアの方がずっと楽しいよ。エロワリアの人間は女の子しかいないし」
「孝則様は陰キャみたいですし、月のもの戦士が良さそうですね。汎用性が高く、どの属性のクエストにも参加出来ますし。孝則様には月のものは来ませんが」
ゲップがそう言った直後、
「この属性で決まりですね。せっかくなので、便5にしましょう。ガチャでは排泄されない配布キャラということで」
クソレアが現れた。
「いきなり言われても。俺、まだ戦うって決めてないし。そもそもどうやって戦士になるんだよ?」
「孝則さん、お尻を出して下さい。特別な薬品の入った浣腸をすることで、孝則さんは便5月のもの戦士に生まれ変わります」
クソレアは輝かしい表情で告げる。
「そっ、それは無理。勘弁して」
「クソレア、一気にやっちゃって」
マッチョは孝則の両腕をつかみ、身動きを封じた。
「夜のお手伝い頑張ります」
クソレアは背後に回って孝則のズボンとトランクスをずるりと下ろした。
「孝則さんのおケツ様はきれいですね。では、イキますよぉーっ!」
「やっ、やめろぉぉぉぉぉーーーーーーーっ! ぬはぁっ!」
孝則のお尻にプチュゥーーーーーーーッと挿入される。
さらに、
「痛いですけど、すぐに終わりますので、我慢して下さいね」
クソレアちゃんは挿したまま、ぐりぐりぐりぐり回して来た。
「うわぁっ、ぎゃあああああっ、はっ、早く、出してくれぇぇぇ~」
孝則は悶絶の表情を浮かべる。
「はい、完了です! これにて、孝則さんは便5月のもの戦士に生まれ変わりました。おめでとうございます。わたしも頑張ります」
クソレアはそう伝えて、スポッと抜いてくれた。
「ハァ、ハァッ、ハァッ。最後は、気持ち良かった、ような」
孝則はホッとした表情へ。すぐさまズボンとトランクスを同時に履く。
「次は強化ですね。孝則様にたくさん与えてあっという間にレベル50にしますよ」
ゲップはバケツに入った大量の月のもの属性の強化素材を抱えて微笑み顔で言う。
「汚ねえーっ!」
「大丈夫です。鼻くそやうんこ、ゲロと名付けられていますが、人間のものではありませんから。自然の恵みです」
「いや、それでも、なんか」
ゲロはエチケット袋っぽいものに個別包装されていた。
「50まで上げても、アシシューヴにはまだ敵わないだろうから、さらに強くしないと。本来なら課金しまくっても、一カ月当たりの交換数制限からすぐには手に入らない限界突破素材8個と、便5専用進化素材使って、レベル100の最強チートキャラになっちゃおうぜ。コマクの店から勝手に持って来た」
マッチョは大量のアイテムを抱えて得意げに語る。
「それ泥棒だろ」
孝則は呆れ顔。
その直後、
「マッチョ、ゲップ、アイテムの不正利用をしたら、孝則くんのアカウントが停止になるから、それはダメ。今、孝則様のアカウントで今持っている分だけの使用に留めてね」
コマクから穏やかなトーンでお叱りの言葉が。
「ごめんなさい、コマクさん」
「すまねえ、コマク」
ランプとマッチョは反省しているようだ。
「俺、エロワリアの救世主として活躍するよ。急にやる気がわいて来た!」
孝則は普段の学校生活では決して見せないような清々しい表情で告げる。
「おう、やる気になってくれたみたいだな。サンキュー」
「ありがとうございます孝則様。助かりました」
「孝則さん、召喚成功ですね。クエストは属性が重要ですから、自分の力に頼り過ぎず、他のキャラ達とも協力して下さいね。もしよろしければ、たくさん課金してどんどんガチャを回して下さるとありがたいです。二十四時間営業なので、いつ訪れて下さってもけっこうですよ。皆さん、おやすみなさい」
クソレアは爽やか笑顔でそう言い残し、彼女の住む召喚の館へと帰っていった。
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