第3話 キッカケ
あれから蓮は色んなことで自分の能力を試した。
トイレに向かっていた社員を自分の席に戻らせたり
うどんを注文したお客さんをそば屋に向かわせたり
出社してきた元気の良い社員を体調不良で家に帰らせたり
自分の能力を使っていくごとに、どんどん疑問は確信に変わっていった。
また、能力を使って行くうちにいくつかルールがあることに気付いた。
・この能力は対個人にしか影響しない
・この能力の継続時間はおよそ30分
・相手の姿を確認しながら念じないと能力は発動されない
実際自分の席に戻らせた社員も30分後には思い出したかのようにトイレに駆け込んでいったし、家に帰らせた社員も午後から出社してきた。
蓮はどんどん自分の能力に興味を持っていった。
だが、この時蓮はまだあの史上最悪な計画を企ててはいなかった。
この能力は人を幸せにするために使っていこう。
そう思っていた。
あの日が来る前までは・・・
田中「あー今日もあのクソ上司にめっちゃ仕事押し付けられて終わんないよー」
蓮「マジでクソですよね、本当。俺もがっつり資料作り押し付けられましたよ・・・」
21時半、その日は蓮と田中さんだけが残業で会社に残っていた。
もちろん能力を使ってまた自分の仕事を減らすことも出来た。
でも蓮はこの能力は多用せず、いざという時に使っていこうと思っていた。
蓮「田中さん、これある程度終わったらまた飲みにいきませんか?愚痴付き合ってくださいよ~」
田中「お、いいね!私も愚痴りたーい」
蓮「じゃあ今日は愚痴り大会でも開催しますか!」
田中「私の愚痴の量半端ないよ!覚悟してね!」
そんなやり取りのおかげで残りの仕事はお互いやる気を出して行えた。
蓮と田中さんは仲の良い直属の先輩後輩ということもあり、定期的に飲みに行っていた。
ただ、田中さんは彼氏がいるのでそんな頻繁には誘わずに、彼氏の了承も得た上で飲みにいっていた。
その彼氏も交えて三人で飲みにいったこともあった。
蓮・田中「終わったー!!!」
時刻は22時、二人同時に仕事のキリが良いところまで終わらせていた。
田中「じゃあ飲みにいきますか!今日のお酒は美味しいぞ~」
蓮「そういや今日は連絡してるんですか?」
田中「あー、さっき連絡しといたよ。終電には帰るって」
蓮「それは良かったです。面倒事はマジ勘弁なんで」
田中「蓮君って本当クソ真面目だよね笑」
そんな会話をしながら身支度を整えて二人は会社を出た。
後にあんなことになるとはこの時二人は想像もしていなかった。
-------------------------------------------------------------------------
田中「ねえ、蓮君。キスしても良い?」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます