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「実は、片思いの相手から告白されたんですっ」
「告白っ!? わぁ素敵じゃないですか!」
「ふふふふふふ!」
アンさんは照れ笑いを爆発させて、両手で顔を隠しながら小さく左右に体を揺らす。全身から幸せオーラを振りまいているようだ。
誕生日に片思いの相手から告白されるなんて、どんなに素敵なプレゼントだろうか! 少女漫画か! すげぇ! なにより相手の男すげぇ! 乙女心鷲掴みか!
「ずっといいなって思っていて、でも意気地なしだから自分からは告白できなかったんですけど、向こうも私のこと、好きだったみたいで。こんな夢みたいなこと、本当にあるんですね!」
「ふふ、本当にあるんですね」
「ふふふ、こんなプレゼントをもらったのは初めてですっ」
アンさんの顔は満面の笑み。素敵でハッピーな誕生日を迎えられたようで、こっちまで幸せを分けてもらったみたいだ。
「あ、でもマスター、笑わないでくださいね?」
アンさんは急にトーンを下げて言った。
「笑う? どうしてですか?」
「だって、良い歳したアラサーなのに、告白されたくらいでこんなに舞い上がっているんですから」
「ふふ」
あ、ごめん笑っちゃった。でも、そんなことを心配そうな顔で言うから、仕方ないじゃない。
「笑いませんよ」
「本当に?」
「もちろんです」
微笑みこそすれ、笑うなんてナンセンス! 恋する乙女はいくつになっても可愛いのだから。
「今度は彼氏さんといらっしゃって下さいね」
「ふふふ、はいっ」
ほら、満開の花みたいに微笑むのだから。
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