第142話 魔神を喰う者
黒い雷を纏った触手、纏わない触手が入り乱れ、個々の触手には口の他に目玉も開くようになっていた。
魔神種の方も、少しずつ進化のようなものを始めたのか、ひたすら食いつく動きしかしなかった触手が、フェイントのように攪乱する動きを交え、こちらの死角を突いてくるようになっている。
(だけど・・)
そんな動きは子供だましだ。
むしろ、俺にとってはそうした動きこそ予想が尽きやすくなる。力が減じた今になって動きに工夫をしても遅いのだ。
与えたダメージの累積によるものか、神眼・百によって読み取れる情報は増えている。
(魔神種・・・固有核:永遠なる飢餓・・分裂核:生命の補食者・・厄災神・・)
見慣れない項目があり、見慣れない名称がある。
共通しているのは、どれもが危険な感じがするということ。
核を分裂させるより速く、細剣が分裂核を屠っていく。無限かと思われた分裂核も、確実に数を減じ続けて残り数千個ほどになっていた。
本体の固有核の統制下から外れた分裂核が触手を放ち、黒い雷を纏おうとする。それを狙って付与を盛った細剣技を打ち込む。
終わりは唐突だった。
変わらないペースで延々と細剣を繰り出し続ける俺を相手に、少しずつ工夫をした動きを見せていた魔神種の少年だったが、再生速度を上回る損壊速度で体を失っていき、とうとう固有核にまで細剣が届いてしまったのだ。
そうと知るなり、俺はそれまでに倍する速度で刺突を叩き込んだ。溢れんばかりに体に力が満ちてきている。凶暴さを増した今の刺突は、戦前の魔神種でも止められないだろう。
漆黒の鬼鎧から赤黒い戦気が焔のように立ちのぼり、巨大な殺意が魔神種に吹き付けられる。感情など無いはずの魔神種の少年が恐怖の形に顔を歪めて逃れ出ようと身を翻しかけたが、何もかもが遅かった。
固有核、分裂核を問わず、殺気を纏った細剣の連撃が粉々に貫き、魔神種の肉体総てを刺し殺していった。
最後に、やたら大きな魂石を貫き徹すと、
オギィアァァァァァァァァァァーーーー
悲痛な叫びが荒野となった辺りを震撼させた直後、何かが爆発したかのように膨大な数の光の玉が噴出して空を埋め尽くしていった。
細剣に軽く振りをくれた俺に3個が飛び込み、残る光の玉は遙かな遠くで応援していた少女達、オリヌシやアマリス達、ゾールやリリアン、さらにはラースやバルハル、タロンへと降り注いでいった。
(まぁ・・・な)
新しい力を3個も得られたと考えれば上首尾だ。例え、数千という数が舞い飛んだ内の3つだとしても・・。こういうのは、他人と比べてはいけない。
『お見事で御座います。御館様っ!』
励ますようにして、ゾエが賞賛の声をあげた。
(・・うん、なんとか勝てたな)
正直、最初はやられそうだったが・・。
(どうかな?)
神眼で、自身を鑑定してみる。
****
固有名:シン
性 別:男性
種 族:花妖精種
生命量:9(9,999,999,999/9,999,999,999)
魔力量:8(999,274,994/999,999,999)
生命力:9
魔法力:8
筋 力:9
持久力:9
回復力:9
加 護:耐久防壁
:不撓不屈
:基礎強化
:百花繚乱
習得技能:飢餓耐性9
:打撃耐性9
:蹴撃耐性9
:拳撃耐性9
:刺突耐性9
:斬撃耐性9
:投石耐性9
:冷熱耐性9
:爆音耐性9
:汚辱耐性9
:威圧耐性9
:疫病耐性9
:感冒耐性9
:寄生耐性9
:不眠耐性9
:睡眠耐性9
:恐怖耐性9
:吸血耐性9
:魅了耐性9
:支配耐性9
:心傷耐性9
:幻覚耐性9
:呪怨耐性9
:死霊耐性9
:屍鬼耐性9
:悪臭耐性9
:窒息耐性9
:毒霧耐性9
:毒食耐性9
:腐蝕耐性9
:渡界耐性9
:消化耐性1
習得魔法:風刃Ⅹ
:閃光Ⅹ
:探知Ⅹ
:付与・聖Ⅹ
:付与・光Ⅹ
:付与・蝕Ⅹ
:付与・毒Ⅹ
:付与・速Ⅹ
:付与・魔Ⅹ
:付与・闇Ⅹ
:付与・重Ⅹ
:付与・双Ⅹ
:付与・震Ⅹ
:付与・貫Ⅹ
:付与・回Ⅴ
:付与・吸Ⅹ
:付与・喰Ⅰ
:消臭Ⅹ
:消音Ⅹ
:洗浄Ⅹ
:排泄Ⅹ
固有武技:細剣技:9*19mm(15/15 *9,999/h)
:細剣技:5.56*45mm(20/20 *9,999/h
:細剣技:7.62*51mm(960/960 *9,999/h)
:細剣技:12.7*99mm(1,100/1,100 *9,999/h)
:細剣技:Rheinmetall 120 mm L/44:M830HEAT-MP-T(999/h)
:細剣技:Rheinmetall 120 mm L/44:M829A3(999/h)
固有魔技:反撃*Ⅹ
:神眼・千
:無限収納
:吸命・棘
:操辱・棘
:海兎*Ⅹ
:天狼*Ⅹ
:神雷*Ⅹ
:龍炎噴射
:魔法吸収
:荊棘触手
:麻痺放雷
:魔喰断絶
固有特性:自己修復Ⅹ
:物防特性Ⅹ
:物攻特性Ⅹ
:再生阻害Ⅹ
:物防阻害Ⅹ
:魔防阻害Ⅹ
:補助命力
:望遠阻害Ⅹ
:完全隠密Ⅹ
:肉体強化Ⅹ
:弱点痛撃Ⅹ
:絶対感覚Ⅹ
:鏡破応報
:血河征旗
:鬼魂憤怒
:剣聖
:魔族鏖殺
:天族鏖殺
:魔神鏖殺
****
(・・・なるほど)
微妙に変化していた。
歓声をあげて駆けつけてくる少女達に軽く手をあげて応えようとして、俺はふと違和感を覚えて自分の右手を見た。
「げっ・・」
思わず声が漏れた。
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