第80話 心配ご無用っ!?
「気味が悪くないなら、使ってみないか?」
俺は、リーラが遺した長剣と円楯をリコに手渡した。
すでに虚命晶はすべて粉砕した後だ。サリーナの虚命晶からはいくつかの光が舞って少女達に新たな力を与えてくれていた。俺の方に来た光は一つだけだったが・・。
「・・使います」
少し考えていたリコだったが、決心したように頷いて長剣と円楯を受け取った。
どちらも良い物だ。
特に円楯の方は、俺の細剣をあれだけ受け続けて僅かな傷しか付いていない。それどころか、その傷も薄れて消えつつあった。
「色々と戦いを振り返りたいところだけど・・少し休もうか」
俺は地面に大の字に手足を伸ばして寝転んだ。
驚いた顔の少女達も、互いの顔を見合わせて笑いながら次々にひっくり返った。
「久しぶりに厳しかったなぁ」
「ですねぇ」
「きつかったぁ」
「駄目かと思いました」
「ぼろぼろですぅ」
安堵の声をあげて少女達が手足を伸ばす。
「まさか、あいつらが天空人だったなんて・・思いもしなかったな」
俺は自分の手を翳し見た。
****
固有名:シン
性 別:男性
種 族:花妖精種
生命量:9(113,749,119/999,999,999)
魔力量:6(10,221,879/35,957,887)
生命力:9
魔法力:7
筋 力:9
持久力:9
回復力:9
加 護:耐久防壁
:不撓不屈
習得技能:飢餓耐性8
:打撃耐性9
:蹴撃耐性9
:拳撃耐性9
:刺突耐性9
:斬撃耐性9
:投石耐性9
:冷熱耐性9
:爆音耐性9
:汚辱耐性9
:威圧耐性9
:疫病耐性8
:感冒耐性8
:寄生耐性9
:不眠耐性8
:睡眠耐性8
:恐怖耐性9
:吸血耐性6
:魅了耐性9
:支配耐性9
:心傷耐性9
:幻覚耐性9
:呪怨耐性9
:死霊耐性9
:屍鬼耐性9
:悪臭耐性9
:窒息耐性9
:毒霧耐性9
:毒食耐性9
:腐蝕耐性9
習得魔法:風刃Ⅹ
:閃光Ⅹ
:探知Ⅹ
:付与・聖Ⅹ
:付与・光Ⅹ
:付与・蝕Ⅹ
:付与・毒Ⅹ
:付与・速Ⅹ
:付与・魔Ⅳ(7,934/9,999)
:付与・闇Ⅳ(6,855/9,999)
:付与・重Ⅲ(8,276/9,999)
:付与・貫Ⅰ(001/999)
:消臭Ⅹ
:消音Ⅹ
:洗浄Ⅹ
:排泄Ⅹ
固有武技:細剣技:9*19mm(15/15 *9/h)
:細剣技:5.56*45mm(20/20 *9/h
:細剣技:7.62*51mm(960/960 *9/h)
:細剣技:12.7*99mm(1,100/1,100 *8/h)
:細剣技:Rheinmetall 120 mm L/44:M830HEAT-MP-T(10/h)
:細剣技:Rheinmetall 120 mm L/44:M829A3(5/h)
固有魔技:反撃*Ⅹ
:神眼・双
:無限収納
:吸命・爪
:操辱・指
:海兎*Ⅷ(78,531/99,999)
:天狼*Ⅹ
:火炎噴射
固有特性:自己修復Ⅹ
:物防特性Ⅹ
:物攻特性Ⅹ
:再生阻害Ⅹ
:物防阻害Ⅹ
:魔防阻害Ⅹ
:補助命力
:望遠阻害Ⅹ
:完全隠密Ⅹ
:肉体強化Ⅹ
:血河征旗
:剣聖
****
(これは・・・剣聖?)
リーラの置き土産なのは明らかだが・・。
(血河征旗の効果は分かった・・が、恐ろしいほど魔力を消費したな)
半分近くをもっていかれる感じだ。軽々に使ってしまうと自分の首を絞めかねない。
(特性・・・意識して発動できるものもある・・ということか)
なんとなく、自然に効果があるものだと思っていたが・・。
(それにしても・・それなりに鍛えたつもりだったけど、全然だめだったな・・・これは最初から鍛え直さないと駄目だな)
リーラは五つ名だった。そして、天空人には九つ名が存在するのだと言っていた。
五つ名にここまで追い込まれているようでは、九つの名を持つ存在にはとうてい太刀打ちできないだろう。
自分の手を眺めながら、
「まだまだ・・弱いな」
ぽつりと思った事を口にしてしまった。
「はいっ、強くなります!」
「もっと強くなりたい!」
「弱いままなんて嫌です!」
「もっともっと頑張りますよぉ~」
少女達が同じように自分の手を翳し見ながら宣言した。
(俺の事を言ったんだが・・)
草原に川の字に寝転んで、全員で掌を眺めている。
この状況に少し前の自分では考えられないような穏やかな気持ちが胸の底に生まれていた。これは4人の少女達がもたらしてくれたものだ。この気持ちがどういうものなのか、今の俺には分からない。ただ、胸の内側を温かくしてくれるものだった。
(一緒に旅をしていれば・・)
いつか分かるのだろうか?
(だが・・)
リーラが言っていたように、いつまで連れ回すのか・・。
世の常識には疎いが、14、5歳の少女といえば、じきに結婚適齢期だ。みんながみんな、召喚された者達の血だけを目当てにする訳じゃない。どこぞの宿屋でも言われた気がするが、4人共とても綺麗な顔立ちをしていると思う。どこかの町で穏やかに暮らしていれば、真剣に求婚してくる若者だって出てくるだろう。
(だが、冒険者は駄目だ)
冒険者になるような奴には、ろくな男が居ない。金でどんな汚いことでもやる連中の巣窟だ。言い寄ってくるような奴がいたら始末してしまおう。こんなに真剣に頑張ってる女の子達をクソ虫のような冒険者にくれてやるわけにはいかない。
ちゃんとした堅気の・・真面目に修行している職人の若者などはどうだろうか?
(あぁ・・)
しかし・・・万が一、夫婦喧嘩など起こったらどうなるんだろう? 平手打ち1発で、夫となった男が天国へ召されてしまう気がする。旦那が浮気でもやった日には、町一つが壊滅するんじゃなかろうか・・。
(ちょっと・・・鍛え過ぎたか?)
少女達が自分で自分の身が守れるようにと鍛えたつもりだったが、もしかしたら世間並に結婚をして家庭を築くという穏やかな未来を摘み取ってしまったのでは・・?
「なかなか・・難しいな」
簡単な問題じゃない。そもそも俺にはそういった世間並み・・という経験も知識も欠落している。
「でも・・頑張りますから!」
「絶対に強くなります!」
「どんな修行でも頑張ります!」
「まだまだ強くなるんですぅ」
気合いの入った少女達の声を聴きながら、ぼんやりと考え事をしていると、草原を吹き抜ける風に顔を撫でられて内に、いつしか心地良い眠りに落ちていった。
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