第13話 鑑定、再び。

 アマンダ・ドーラン神官長との面談を何とかやり遂げた俺は、与えられた書物を読みながら頭の整理をやっていた。


 アマンダ神官長は修道女に呼ばれて出掛けている。


(使って良いって言われたよな・・)


 俺は壁際に置かれた鑑定器具を見た。

 アマンダ神官長が出掛け際に、好きに使って良いと言い残していた。


(せっかくだから見ておこう)


 俺は前回と同じように測定器具を扱ってみた。



****



 固有名:シン


 性 別:男性

 種 族:花妖精種


 生命力:8

 魔法力:3

 筋 力:7

 持久力:8

 回復力:8


 加 護:耐久防壁

    :不撓不屈


 習得技能:飢餓耐性7

     :打撃耐性8

     :蹴撃耐性7

     :拳撃耐性7

     :刺突耐性8

     :斬撃耐性8

     :投石耐性8

     :冷熱耐性8

     :爆音耐性8

     :汚辱耐性8

     :威圧耐性9

     :疫病耐性7

     :感冒耐性8

     :寄生耐性8

     :不眠耐性7

     :睡眠耐性7

     :恐怖耐性9

     :魅了耐性9

     :支配耐性9

     :心傷耐性8

     :幻覚耐性8

     :呪怨耐性7

     :死霊耐性7

     :屍鬼耐性8

     :悪臭耐性9

     :窒息耐性7

     :毒霧耐性7

     :毒食耐性7


 習得魔法:風刃Ⅰ(001/999)

     :閃光Ⅰ(001/999)

     :看破Ⅰ(001/999)

     :探知Ⅰ(001/999)

     :付与・聖Ⅰ(001/999)

     :付与・光Ⅰ(001/999)

     :消臭Ⅰ(001/999)

     :消音Ⅰ(001/999)

     :清浄Ⅰ(001/999)

     :洗浄Ⅰ(001/999)

     :排泄Ⅰ(001/999)


 固有武技:細剣技:9*19mm(15/15 *5/h)

     :細剣技:5.56*45mm(20/20 *5/h)


 固有魔技:反撃*Ⅰ(10915/99999)

     :神眼・双

     :無限収納


 固有特性:自己修復Ⅰ(001/999)

     :物防特性Ⅰ(001/999)

     :物攻特性Ⅰ(001/999)


****



「えらく・・・増えたな」


 俺は、ぽつりと呟いた。


 見慣れない項目がずらりと増えた。おまけに、知らない内に魔法を習得しているらしい。固有魔技のところに、ヨシマサとマサミが喋っていた神眼や無限収納があった。


(どう考えても、あいつらの技が俺に移ったって感じだろ?・・これ俺が奪ったということ?)


 ヨシマサ達が言っていたように、相手の武技を奪ったというのが一番分かりやすいが、俺には他人の武技などを奪うような技は無いみたいだ。


 直感的には、二人を斃した時にぶつかってきた光球じゃないか・・とは思う。

 ただ、どうしてそうなったのかが分からない。

 これまでにも山賊など人間を斃してきたが、一度もあんな事は無かった。


 召喚された者を斃したから、そうなったのか?

 俺自身には、そうした技能のような物は無いのだから、ヨシマサやマサミに何らかの原因がありそうなのだが・・。

 今の知識では、何がどうなったのか分からない。

 ただ、誰かから奪って集めていた魔技や魔法が、ヨシマサとマサミを経由して俺に与えられたのだということは、紛れもない事実だろう。


(魔法は・・たぶん、ヨシマサやマサミが使っていたやつだ)


 しかし、魔力の量というのは、どこにも表示されていないようだ。他にも、生命力の量も分からない。


 アマンダ神官長が読ませてくれた書物には、過去に発現した魔技や武技について記されていた。特性というのは、そうした事に適性が高いというくらいの意味らしい。固有とつくものは稀少なのだとか。


(称号とか・・神技とかは無いみたいだけど)


 書物に書かれているものは、召喚された勇者に協力をしてもらったらしい。

 勇者と同じ項目が無いのは当然だろう。

 

(でも、身体の適性値が変化したのはなぜだろう?)


 生命力とかの数値が増えている。

 この数値は、そうした適性があるという目安だと聞いていた。生まれ持った適性が変化することがあるのだろうか?


(・・ふうん?)


 書物には、神眼とは違うが、鑑定眼というものについて記載があった。

 鑑定眼を持つ者は、他者からの鑑定を阻害することが出来るそうだ。

 鑑定される部分を、氏名、性別、生命力、魔法力、筋力、持久力、回復力の7項目に限定できると記載されていた。

 


(・・俺が貰った神眼というのは?こうして鑑定具で全部でちゃってるけど?)


 そう考えながら自身を見てみると、それまで見えていた情報を上書きするようにして、新しい項目が目の前に表示されていた。


****



 固有名:シン


 性 別:男性

 種 族:転生者(花妖精種)


 生命量:6(6,328/6,328)

 魔力量:3(426/426)


 生命力:8

 魔法力:3

 筋 力:7

 持久力:8

 回復力:8


 加 護:耐久防壁

    :不撓不屈


    ・

    ・

    ・

    ・



(生命量と魔力量が出た・・・神眼なら見えるのか。あぁ・・今、俺は自分自身を神眼で見たんだ)


 鑑定具では無く、自分の神眼で自身を鑑定できるということだ。

 

 種族は転生者となっている。


 ならば、書物にあるように、見せたくない項目を伏せるにはどうすればいいのか?


(隠す・・見えなくする・・・塗りつぶす・・防御?)


 あれこれ思ってみるが、どうも効果が感じられない。


 項目一つ一つを見えるか見えなくするか選べれば良いのだが・・。


 そんなことを考えていると、視界に表示されていたものが二重に別れて左右へ展開された。俺の視界で、右へ移動した方は文字が灰色になっている。左へ移動した方は、文字が光っていた。


(・・光を消す?)


 固有特性という項目を見つめながら、光が消えるように念じると、フッ・・・と消灯したように光が消えて灰色になった。

 次は、固有魔技の中の神眼*双というのだけを消してみる。


(なるほど・・)


 大項目と小項目になっていて、上位項目を消せば下位に連なる項目も消えるわけだ。

 

 俺は片っ端から消していった。


 習得技能も、最初の三つを残して光を消す。加護は、耐久力だけを残す。生命量と魔力量も消した。


 その上で、改めて鑑定器具を使って鑑定を行ってみた。



****



 固有名:シン


 性 別:男性

 種 族:転生者


 生命量:6(6,328/6,328)

 魔力量:3(426/426)


 生命力:8

 魔法力:3

 筋 力:7

 持久力:8

 回復力:8


 加 護:耐久防壁

    

 習得技能:飢餓耐性7

     :打撃耐性8

     :蹴撃耐性7

   

 習得魔法:風刃Ⅰ(001/999)

     :閃光Ⅰ(001/999)



****



(・・よし)


 思ったとおりの表示となった。

 このぐらいなら、誰に知られても問題は無いだろう。


 小さな安心を得て、俺はそのままアマンダ神官長から与えられた書物を読み耽った。

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